ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

食と健康と日本の再建3

2007-02-22 10:18:21 | 教育
●自給率の低下

 わが国の食料の自給率は、熱量に換算して40%という低さである。40%ということは、毎日の食卓に並ぶ食料の60%は、外国から輸入しているということである。
 カロリーベースでの食料自給率は、昭和40年には73%だった。それが、約30年後の平成10年には、40%となった。その後は横ばいで推移している。40%というのは、先進国の中では最低水準である。
 特に食料の中心となる穀物の自給率を重量ベースでみると、昭和40年には62%だったのが、平成15年には27%に低下した。今や3割にも満たなくなっている。人口1億人以上の主な国での穀物自給率は、我が国が最低である。
 米は自給率99%だが、小麦は9%である。小麦はパン、スパゲッティ、パスタ等に使われる。主食の米の消費が減り、小麦を使った食品が多く食されていることが、自給率を下げている。
 大豆は、味噌・しょうゆ・豆腐など、日本食には欠かせない。その大豆の自給率は5%と驚くほど低い。ちなみに野菜の自給率は86%、魚介類72%、肉類56%である。

 自給率の低さを示すわかりやすい例が、月見とろろそばである。月見とろろそばは、純和風の食事と考えられる。ところが、食材を分析すると、月見とろろそばの自給率は、33%しかない。表形式にならないので、みにくいことをお詫びする。

食品名:自給率(%)、消費熱量(Kcal)、国産熱量(Kcal) 
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ゆでそば:自給率(%)18、消費熱量(Kcal)330、国産熱量(Kcal)59
大和芋:自給率(%)100、消費熱量(Kcal)60、国産熱量(Kcal)60
卵:自給率(%)10、消費熱量(Kcal)81、国産熱量(Kcal)8
ねぎ:自給率(%)98、消費熱量(Kcal)1、国産熱量(Kcal)1
みりん:自給率(%)99、消費熱量(Kcal)47、国産熱量(Kcal)47
しょうゆ:自給率(%)3、消費熱量(Kcal)12、国産熱量(Kcal)0
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合計 自給率(%)33、消費熱量(Kcal)531、国産熱量(Kcal)175

※自給率は食品の消費熱量内の国産熱量の割合。自給率=(国産熱量÷消費熱量)×100

 そば、卵、しょうゆの自給率の低さが目を引くだろう。

●食品の大量廃棄

 わが国の食料の自給率は、カロリーベースで40%しかなく、60%は外国から輸入している。日本人の飽食は、海外から食材を買い集めていることによって、もたらされている。
 その食材を十分利用しているかというとそうではない。わが国で1年間に排出される食品廃棄物は、約2千万トン(平成8年度度農水省推計)になる。これは、金額に換算すると11兆円にもなる。この金額は、平成12年度の農業総生産額に匹敵する。つまり日本で生産する農産物の総額とほぼ同じ金額の食料を、捨てていることになる。
 毎日食べている食材の60%をも外国から買っているのに、一方では食べずに大量に捨てている。これは尋常な状態ではない。「ありがたい」とか「もったいない」という感覚が薄れている。当然、日本人の食べ物に対する感覚は、麻痺しつつある。
 しかし、世界はこれから食糧危機を迎えようとしている。人口が爆発的に増え続けているとともに、発展途上国の食生活が欧米型に変化し、より多くの穀類・肉を消費するようになり、相対的な食料の不足を生じる。特に人口13億を抱える中国では、国民の食生活が急激に変化するとともに、環境破壊により食糧生産が低下しており、食材の輸入量が増えている。こうした諸条件が重なると、ある時点から地球的な飢餓の時代が始まると予測されている。
 こうした中で、飽食を続け、食の乱れによって病気になり、食糧の自給を怠り、食の恵みへの感謝を忘れた日本人は、大きく考え方を変えねばならないところにきている。

 次回に続く。

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