ほそかわ・かずひこの BLOG

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ロシア疑惑でトランプ政権が揺らぐ

2017-05-27 14:39:37 | 国際関係
 ロシア・コネクションの疑惑で、トランプ米政権が大きく揺らぐ可能性が出てきている。昨年の選挙期間中、トランプ氏の異常なプーチン讃美、ロシア寄り発言が問題になった。政権発足直後には、就任1ヶ月も経たないマイケル・フリン大統領補佐官が、ロシア疑惑に包まれる中で、更迭。フリン氏以外にも選挙期間中のトランプ陣営には、ロシアに情報を流すなどの行動をした可能性のある人間が複数いると見られる。
 FBIは本件の捜査を続けていたが、トランプ大統領は、5月9日突然、ジェイムズ・コミーFBI長官を解任した。
 解任の理由として、米国司法省はコミー氏が前FBI長官として大統領選挙中、ヒラリー・クリントンを起訴しないと言ったことを挙げた。司法省は検察であり、すべての起訴権を持つ。FBIは警察である。コミー氏の起訴しないという発言は権限外である。だから、司法省がこの点についてコミー氏の責任を追及するのは、当然である。だが、トランプ大統領は、コミー氏の解任について、司法省とは違う理由を述べた。報道によると、トランプ氏は10日ホワイトハウスでロシアのラブロフ外相らと会談した際、コミー氏解任に触れ、「ロシアに関して強い圧力に直面していたが、それは取り除かれた。私は捜査対象ではない」と述べたとニューヨーク・タイムズが伝えた。これが事実なら、大統領がコミー氏を解任したのは、都合の悪いことを隠したいという心理の表れと疑われる。長官解任は、ロシア疑惑の捜査が理由という見方を裏付けることになる。
 コミー前長官は、米上院情報特別委員会の公聴会で証言することに同意。今月末以降に公開の形で実施される予定と伝えられる。ここでコミー氏が何を語るか。発言内容によっては、解任は司法妨害とされ、大統領の弾劾要件となるだろう。既にアメリカの主要メディアは、ニクソン大統領のウォーターゲイト事件になぞらえて、ロシアゲイトと呼び、両者の原因、経緯等を比較している。ニクソンは弾劾による罷免確実という状況で、辞任を選んだ。米国政治史上、唯一の事例である。
 こうした状況で、米国司法省は、special counsel(司法省の特別顧問)にロバート・モラー元FBI長官を指名。民主党の求めていた同職の設置によって、捜査の独立性が一定程度確保されると期待される。モラー氏は10年が最長とされるFBI長官職を共和党ブッシュ子政権から民主党オバマ政権にかけて12年間務め、全米で「最も信頼されている検察官」といわれる。モラー氏は、司法副長官から「ロシア政府とトランプ陣営に関係する個人のつながりや調整」の捜査を命じられ、連邦犯罪を起訴する権限も与えられたとのこと。
 モラー氏が法の正義を貫くか、それともトランプ大統領及びその背後の勢力におもねるか。氏がどういう姿勢を取るかが、トランプ政権の命運を左右しそうである。もっともモラー氏は、ブッシュ子政権の時に起った9・11ことアメリカ同時多発テロ事件の前にFBI長官に就任し、同政権の期間中、その職にあったが、9・11に関する米国政府高官の関与の疑惑を追及していない。9・11の真相隠ぺいに貢献したともいえる。その点に氏の限界があるだろうと私は見ている。
 捜査は、1年以上から数年かかるだろうと見られる。もしトランプ大統領の弾劾ということに発展したら、国際社会の中心軸である米国が揺らぐことで、世界の混乱、混迷が一層深刻化すると懸念される。

関連掲示
・拙稿「トランプ時代の始まり~暴走か変革か」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-3.htm

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