●マキャヴェッリ(続き)
◆主張
マキャヴェッリの軍事思想は、君主はどうあるべきかに基づくものであり、また専制君主が行うべき外交と切り離せない。そこで次に、マキャヴェッリの説く君主論を概観し、その後に外交戦略・軍事戦略の要点を示す。
#君主論
・君主には悪徳も必要である。どの程度まで善人であればよいかをわきまえよ。
・君主は、あるときは善をなし、あるときは悪ができねばならない。悪人との妥協も必要である。
・君主の美徳が国を滅ぼし、悪徳が国を栄えさすことがある。
・君主に大切なことは、真義を守り、仁慈、誠実で、人情にあつく、信心深そうに見えることである。本当にそうであり、常にそのすべてを実行すれば、失敗する。善く見せかけることは容易である。人民は外見と結果だけで判断する。虚名の威力は絶大である。
・君主は、けちであれ。気前がよくても増税すれば怨まれる。君主の気前よさの恩恵に浴する者は近くにいる少数者であるが、その被害者は多数者である。
・決断力のない君主は、多くの場合、当面の危険を回避しようとして中立を選ぶ。そして、おおかたその君主は滅んでしまう。
・重臣や側近から決断力がない、と見くびられた君主は、危ない。
・君主は、自らの権威を傷つける恐れのある妥協は、絶対にすべきではない。
・君主にとっての敵は、内と外の双方にある。これらの敵から身を守るのは、準備怠りない防衛力と友好関係である。
・君主に強い軍隊があるかぎり、善良なる同盟国に不自由することはない。金がなくなると、悪友も寄りつかない。
・戦争とは、君主の唯一の研究課題である。君主は平和を息継ぎの時間、軍事上の計画を立案して、実行に移す能力を身につける暇を与える時間とみなさなければならない。
・次の二つは絶対に軽視してはならない。第一は、寛容と忍耐をもってしては、人間の敵意は決して溶解しない。第二は、報酬と経済援助などの援助を与えても敵対関係は好転しない。
・君主は愛され、また恐れられよ。両方は無理なら、恐れられるのが望ましい。
・君主は恐れられてもよいが、恨まれてはいけない。
・君主は、真義など守らなくてもよいことがある。
・政治は道徳とは無縁である。
・君主は獅子のごとく猛々しく、狐のごとく狡猾でなければならぬ。
・獅子は策略の罠から身を守れないし、狐は狼から身を守ることができない。人間ならば、策略の罠を知り尽くす狐のようであれ。また狼を威嚇する獅子でもあれ。(以上、『君主論』より)
マキャヴェッリは、君主のあるべき姿をこのように説いたうえで、そうした君主が行うべき外交と軍事について説いている。
#外交戦略
・他国が強くなるのを助ける国民は、自滅する。
・自治制国家を占領したら、国民を抹殺するか、君主自らそこに住め。
・味方でない国には中立を迫り、中立したら、わが国のために武器を取らせる。
・自国より強い国の手を借りるな。たとえ勝っても、獲物を横取りされ、悪くすれば自身がその国の捕虜にされる。(以上、『君主論』より)
・弱い国はつねに決断力を欠く。君主に決断のないほど国を危うくするものはない。
・名声はあっても、実力の伴わない国とは同盟するな。
・同盟が破棄されることも、考えておけ。
・共和国との同盟のほうが、君主国との同盟よりも信頼できる。
・敵中に味方をつくれ。
・内紛に乗じても、不用意に攻めると不覚をとる。逆に内紛が団結を促すことがある。
・強制されて結んだ約束は、守らなくてよい。
・征服した国の君主の血統は根絶せよ。歴史・国語・宗教を抹殺せよ。新しい宗教を新しい言葉で布教させればよい。
・戦いに敗れたら外交で勝て。(以上、『政略論』より)
次回に続く。
************* 著書のご案内 ****************
『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1
『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
『細川一彦著作集(CD)』(細川一彦事務所)
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◆主張
マキャヴェッリの軍事思想は、君主はどうあるべきかに基づくものであり、また専制君主が行うべき外交と切り離せない。そこで次に、マキャヴェッリの説く君主論を概観し、その後に外交戦略・軍事戦略の要点を示す。
#君主論
・君主には悪徳も必要である。どの程度まで善人であればよいかをわきまえよ。
・君主は、あるときは善をなし、あるときは悪ができねばならない。悪人との妥協も必要である。
・君主の美徳が国を滅ぼし、悪徳が国を栄えさすことがある。
・君主に大切なことは、真義を守り、仁慈、誠実で、人情にあつく、信心深そうに見えることである。本当にそうであり、常にそのすべてを実行すれば、失敗する。善く見せかけることは容易である。人民は外見と結果だけで判断する。虚名の威力は絶大である。
・君主は、けちであれ。気前がよくても増税すれば怨まれる。君主の気前よさの恩恵に浴する者は近くにいる少数者であるが、その被害者は多数者である。
・決断力のない君主は、多くの場合、当面の危険を回避しようとして中立を選ぶ。そして、おおかたその君主は滅んでしまう。
・重臣や側近から決断力がない、と見くびられた君主は、危ない。
・君主は、自らの権威を傷つける恐れのある妥協は、絶対にすべきではない。
・君主にとっての敵は、内と外の双方にある。これらの敵から身を守るのは、準備怠りない防衛力と友好関係である。
・君主に強い軍隊があるかぎり、善良なる同盟国に不自由することはない。金がなくなると、悪友も寄りつかない。
・戦争とは、君主の唯一の研究課題である。君主は平和を息継ぎの時間、軍事上の計画を立案して、実行に移す能力を身につける暇を与える時間とみなさなければならない。
・次の二つは絶対に軽視してはならない。第一は、寛容と忍耐をもってしては、人間の敵意は決して溶解しない。第二は、報酬と経済援助などの援助を与えても敵対関係は好転しない。
・君主は愛され、また恐れられよ。両方は無理なら、恐れられるのが望ましい。
・君主は恐れられてもよいが、恨まれてはいけない。
・君主は、真義など守らなくてもよいことがある。
・政治は道徳とは無縁である。
・君主は獅子のごとく猛々しく、狐のごとく狡猾でなければならぬ。
・獅子は策略の罠から身を守れないし、狐は狼から身を守ることができない。人間ならば、策略の罠を知り尽くす狐のようであれ。また狼を威嚇する獅子でもあれ。(以上、『君主論』より)
マキャヴェッリは、君主のあるべき姿をこのように説いたうえで、そうした君主が行うべき外交と軍事について説いている。
#外交戦略
・他国が強くなるのを助ける国民は、自滅する。
・自治制国家を占領したら、国民を抹殺するか、君主自らそこに住め。
・味方でない国には中立を迫り、中立したら、わが国のために武器を取らせる。
・自国より強い国の手を借りるな。たとえ勝っても、獲物を横取りされ、悪くすれば自身がその国の捕虜にされる。(以上、『君主論』より)
・弱い国はつねに決断力を欠く。君主に決断のないほど国を危うくするものはない。
・名声はあっても、実力の伴わない国とは同盟するな。
・同盟が破棄されることも、考えておけ。
・共和国との同盟のほうが、君主国との同盟よりも信頼できる。
・敵中に味方をつくれ。
・内紛に乗じても、不用意に攻めると不覚をとる。逆に内紛が団結を促すことがある。
・強制されて結んだ約束は、守らなくてよい。
・征服した国の君主の血統は根絶せよ。歴史・国語・宗教を抹殺せよ。新しい宗教を新しい言葉で布教させればよい。
・戦いに敗れたら外交で勝て。(以上、『政略論』より)
次回に続く。
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『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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