ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

福田政権は教育に力を入れよ

2007-12-05 19:30:03 | 教育
 安倍前首相のもと、昨年12月に戦後約60年ぶりに教育基本法の改正がなり、今年1月には教育再生会議の第1次報告が出て、6月には教育関連三法が改正された。教育改革は待ったなしであり、政府にはこうした展開を受けて、強力に改革を進めていく責務がある。
 ところが、福田政権になってから、教育改革への取組みが目立って失速した。教育再生会議は第3次報告をまとめ、それが政策に具体的に反映されていくべきなのだが、同会議の審議は勢いがにぶり、委員から不満や疑問が多く出ている。
 こうしたところへ、国際調査の結果、高校1年生の学力につき、わが国が大きく順位を下げたことがわかった。この調査は経済協力開発機構(OECD)によるもので、前回2003年調査(41カ国・地域)に比べ、科学的活用力が2位から6位、数学的リテラシー(活用力)が6位から10位、読解力が14位から15位と全体的に下降している。
 これは由々しき問題である。わが国は、資源に乏しい。近代のわが国の発展は、人材によるのみである。そのため、教育は、わが国の盛衰を決する。青少年の学力が低下すれば、国民の能力が低下していく。国民の能力が低下すれば、わが国は現在の繁栄を維持することができなくなっていく。国民生活も豊かさを失なう。

 急速な学力低下は、ゆとり教育に主たる原因がある。今日、このことは広く認識されている。現在政府が進めるべき教育改革の一つの柱は、ゆとり教育からの脱却である。授業時数の増加、基礎学力習得の徹底、指導内容の豊富化等を、すみやかに実施しなければ、学力の回復はそれだけ遅くなる。
 私は学力の増進のためにも、徳育の充実が必要だと考えている。単なる知識・技術の伝授ではなく、生活習慣やコミュニケーション能力等、人間としての基礎を培う道徳教育をしっかりやってこそ、自分を律し、目標を持ち、努力をいとわない子供が育つ。「読み書きそろばん」を身につけるには、根気や集中力が必要である。そういう基本的な能力を習得するためにも、人間としての精神を養う教育が必要だと思うのである。
 福田政権は、今回の国際調査の惨憺たる結果を真摯に受け止めて、教育改革に力を入れるべきである。
 以下は報道のクリップ。

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●読売新聞 

学力転落ショック、指導要領・理数一部を前倒し実施へ(読売新聞 - 12月05日 13:13)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=355312&media_id=20

 経済協力開発機構(OECD)が昨年、世界の15歳を対象に実施した国際学習到達度調査(略称PISA)で、日本が理数系の分野でトップレベルから転落したのを受け、文部科学省は5日、現在改定作業を進めている次期学習指導要領について、理科と、算数・数学の内容の一部を前倒しして、2009年度から実施する方針を固めた。
 今年度末に改定される新指導要領は、当初は小学校で11年度、中学は12年度、高校は13年度から実施される予定だったが、早期実施を求める保護者らの声を受け、文科省は先月、一部内容を09年度から前倒しする方針を打ち出していた。
 何を前倒しするかは未定だったが、今回の調査で理数系の順位の落ち込みが顕著だったことから、急きょ理科と、算数・数学の2分野から優先的に実施することにした。

●産経新聞

日本、全分野で順位が後退 OECD学習到達度調査 低い科学への関心
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071204/edc0712041823002-n1.htm
2007.12.4 18:23

 経済協力開発機構(OECD)が昨年、57カ国・地域の15歳を対象に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA)で、日本の高校1年生は前回2003年調査(41カ国・地域)に比べ、読解力が14位から15位、数学的リテラシー(活用力)が6位から10位と後退したことが、4日分かった。科学的活用力も2位から6位になったことが既に判明しており、実施3分野すべてで順位が低下し、トップレベルの分野はなくなった。前回に続く高校生の学力低下傾向に、渡海紀三朗文部科学相は学習内容・時間を大幅に削減した現行の学習指導要領の影響を認めた。
 科学への興味、関心がOECD平均に比べて低いことも判明し、「理数離れ」の傾向も鮮明になった。
 日本からは全国で抽出した約6000人が参加。PISAの学力テストはOECD加盟国平均が原則的に500点になるように調整している。
 数学は523点で平均よりは高いものの、11点落ち込み、トップとの差は16点から26点に拡大した。読解力は前回と同じ498点で平均レベル。下げ止まったものの、1位との差は45点から58点に広がった。
 科学は531点で上位グループだが、前回より17点低下。首位フィンランドとの差は1点未満から32点に広がった。
 数学は、生徒の得点を7段階に分けてみた場合、最上位層の「レベル6」の割合は8・2%から4・8%に急減した。成績下位層の得点を前回と比べると、全体では若干上昇し、底上げ傾向がみられたが、数学は上位層の得点が約22点下がった。
 学習内容・時間を大幅に削減した「ゆとり教育」が“落ちこぼれ救済”に寄与した半面、「上位層を伸ばしていない」(文科省)結果が浮き彫りになった形だ。
 無解答率が高いのも日本の特色で、読解力は平均13・5%(OECD平均9・9%)、数学11・9%(同11・5%)、科学7・8%(同7・0%)。最も高い、数学の人口ピラミッドに関する問題は49・4%(同39・3%)など特に記述問題に無解答が多かった。
国・地域の首位は、数学的活用力が初参加の台湾(549点)、読解力が韓国(556点)、科学的活用力がフィンランド(563点)。
 科学への興味、関心のアンケート調査では、日本はほとんどが最低レベルだった。「科学に関するテレビを見る」8%(同21%)、「科学に関する雑誌や新聞の記事を読む」8%(同20%)、「科学を話題にしているインターネットを見る」5%(同13%)で、いずれも最下位となるなど、日本の高校生の社会への無関心ぶりが表れた。

 ■OECD生徒の学習到達度調査 義務教育段階の学習内容を日常生活に活用する力を「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」に分けて3年ごとに調査。00年に始まった。今回は加盟30カ国と非加盟27カ国・地域の15歳生徒約15万人が対象。日本では昨年6~7月、無作為抽出された高1生約6000人が約2時間のペーパーテストを受けた。重点分野は毎回変わり、00年は読解力、03年は数学、今回は科学。13種類の問題から1種類を受け、正答した設問の難易度から他の問題の正答率を予測、合計点を算出する。
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関連掲示
・拙稿「教育再生は社会総がかりで」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02h.htm

お詫び=試写会は1月

2007-12-05 09:55:21 | 南京事件
 昨日書いた映画「南京の真実」の件は、私に理解に違いがありました。
 試写会は1月に延期となり、12月14日は「撮影完了報告大会という形で、当映画予告編をお見せする他、「南京の真実」についてのイベントをと企画しています。」(製作委員会)とのことです。
 お詫びと共に訂正させていただきます。

(※昨日の日記は本文を訂正しました)