梅雨の今の時期、きまって思い出す。
農家の屋敷回りに植えられた木に子供たちが群がってグミ(花巻地方ではシャゴミと言う)を食べたこと、そのグミの木も、昨今はほとんど見かけないから、昔、子供たちのおやつに植えられていたものだろう。
「一人一日一個、日本中で一億個の捨てられる、おにぎり」 腹いっぱいの子供たちは、渋いグミの実なんかに目もくれない。
今年、グミの実は大豊作、真っ赤なグミは昔懐かしい味がする。
数十年もの昔々、近くの小学校の講堂ではお年寄りがいっぱい集まって、何か楽しい催しが行われていた。
年老いたおばあちゃんは、仲間でも最高齢、話好きの人気おばあちゃん。
だが、家人は農作業に出かけてしまったし、一人で行くこともできない。
自家用車なんて夢のようなこの時代、この家に嫁いだばかりの孫嫁が見かねてリヤカーを引いてきた。
「おばあちゃん、学校に連れて行くからリヤカーに乗って・・・・」高台の小学校まで約2キロ、きつい上り坂をおばあちゃんをリヤカーで送り届けた。
20才を超えたばかりの、孫嫁に送ってもらった、おばあちゃんはよっぽどうれしかったんだろう、亡くなるまで「あの時、リヤカーで・・・・」思い出しては話していた。
それから50有余年、おじいちゃんと、あの時リヤカーを引いたおばあちゃんと小学生の孫二人、夏休みを利用して海辺のキャンプに出かけた。
キャンプ場入り口で寝具や明かり、バーベキュー道具や材料を受け取った。
テントまでは、緩い上り坂が数百㍍、借りたリヤカーに荷物、おまけに足の痛いおばあちゃんも乗せて、2年の弟が背中を丸めて懸命に引っ張り、6年の姉が力いっぱい押す。
美味しい魚や肉を焼きながら波の音をまじかに聞き、明日の海水浴を楽しみに、おじいちゃん、おばあちゃんと孫二人のキャンプ。
力一杯、リヤカーを引く孫たちの写真は暮れの年賀状に印刷し大好評。
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