老辣無双(ろうらつむそう)...、何かの故事成語かと思いましたが、これは芥川龍之介が晩年の
夏目漱石を評して使った表現だそうで...。たまたま人から聞きかじり、この言葉たいへん気に
入ってしまいましたので本日、明日とこの話題とすることに致しました。
国士無双という言葉あります。第一義的な意味は、国を憂える他に比類なき人物を指すものと
承知しております。麻雀好きな方にとっては憧れの役満かも...。無双と言う言葉は比類なき..と
解釈され、他に代わるものがいない(傑物)とでも。その前に老辣...。老練、悪辣...面白いです。
原典にあたってみました。僕は先生(漱石)のことを考へる度に【悪辣無双】の感を新たに
してゐる...。前段には、僕の知ってゐた(夏目)先生は才気煥発する老人。のみならず機嫌の悪い
時には...。成程天才と云うものはかう云うものかと思ったこともないではない...。
断片的にキーワードを拾っても、どんな人か?を表現するに十分な言葉が散りばめられております。
老いてなお天才的な仕事をし、気分屋で、とんでもないことを言ったり行ったり。だけど言外には
尊敬とか、愛情とか、そういう暖かさを感じる言葉であります...(続きは次回に)