風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

映画「糸」

2020-09-12 | 映画・芝居・TV

久しぶりで映画館での鑑賞。
歌や映画で意味する「糸」は人生。
2本の糸(2人の人生)が時々絡みあいながら
最後には織られていく物語だ。
よく言われる「運命の赤い糸」とはちょっと違うかな?
でも見方によっては物語の中に赤い糸も見えるかもしれない。

私は基本的に「運命の赤い糸」は信じていない。
一度握った手を離したら、2度と握れないとすら考える。
だからこの映画の主人公たちのように
何度も黙って相手を見送ることはできない。
言いたいことは飲み込まずに言う。
握った手を離したくなければ離さない。
普通はそうだろう。
けれどもこの作品は何度も再会を果たすことになる。
2人のそれぞれの糸(人生)を描いた物語だと理解しつつ
実は「帰る場所」の物語だからなのだろうと感じた。
帰る場所があったからこそ(それに気づいたからこそ)
2本の糸はまた紡がれることになった。

主役のひとりを演じた菅田将暉さんがすごい。
様々な役を演じたかれを見てきたが
それらを同じ人間が演じているとは思えないほど
その役になりきっている役者だなぁと。
例えばドラマ「MIU404」の菅田さん、auのCMの菅田さんと
この映画の菅田さんはそれぞれ全く別な人間だ。
素晴らしい。
小松菜奈さんの目の表現にも惹かれた。
美人だとか、スタイルがいいとか、そんな魅力とはまた別な
ぐいぐい引き込まれる魅力を感じた。

昨年、映画撮影の立ち合いをして以来
映画の見方が大きく変わった。
1カット1カットの撮影を繰り返してのあの演技。
プロの役者ってやっぱりすごいなぁ。
そして最終的な作品イメージを最初から持った上で
コツコツ撮影や編集をチームで積み上げていく
製作スタッフの仕事もすごい。
同じ「創る」仕事をする人間としてとても勉強になる。
かくあらねば。
コメント
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