世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

「てんやわんや」の看板が浮いた感じですが茶色の町並みが落ち着く岩松です

2013-12-01 08:00:00 | 日本の町並み
 炭鉱王の豪邸や辰野金吾設計事務所の設計になる銀行の遺構それに河村美術館など和、洋の建物群がすばらしい町が唐津でした。最近NHKの朝ドラの人気が盛り返していますが、1969年から1970年にかけて放送された朝ドラ、獅子文六作の「信子とおばあちゃん」の舞台も唐津でした。獅子文六は数々のベストセラーを出していて、朝ドラの第1作の「おはなはん」も文六の作品です。いっぽう、映画化で話題となった作品の一つに「てんやわんや」があります。「てんやわんや」は、戦時中に疎開をしていた作者の奥様の実家がある岩松が舞台になっていました。今回は、その岩松の町並みを紹介します。

 岩松は、合併によって愛媛県の宇和島市の一部になっていますが、宇和島市の中心部から南に10kmほどバスで30分ほど走った場所です。もちろん鉄道は、宇和島までしか来ていませんから、足は半島の付け根を山越えで宿毛に伸びる道を走るバスだけです。岩松川の河口に位置しており、かつては河川港として千石船も寄港していたそうです。ただ、近年になって河川の運ぶ土砂により川底が浅くなり、港としての機能が果たせなくなったようです。

 
 宇和島からのバスは、岩松川の右岸に沿って走り、向きを変えて海に向かう岩松川を津島大橋で渡って宿毛に向かいます。一方、古い町並みが残るのは、川の左岸、バス停のそばの橋を渡った対岸に川に沿って伸びています。通りの中央あたりに、「てんやわんや文六餅」と赤字で大書された看板が目立つ大野文六堂があります。正規の看板なのですが、どう見ても落書きに見えてしまいます。周りの古い町並みに、この看板だけが異質な感じがします。

 
 
 
 川に沿って伸びる町並みは、道路も町並みも微妙に曲がっていて、その先にどんな町並みが見えてくるのかな、という期待を持たせます。大野文六堂は白壁の土蔵造り風ですが、他の家並みの大部分は2階建て板壁の茶色の家並みが続いています。中には、土蔵造りの白壁の下部が板壁の蔵と思しき建物も混じっています。ただ、過疎化のためで無住になったのか、大屋根の途中がへの字に折れ曲がってしまっている家屋もありました。

 ヨーロッパなどでは、ハンブルグ港のようにエルベ川の河口から100kmもさかのぼった所にある大きな港も珍しくありません。しかし、地形が急峻で、川の流れは速いわが国では、淀川の伏見港が河口から30kmほどになるなど一部の例外を除いて、内陸に深く入り込んだ港は少ないようです。陸上交通が不便な時代には、荷物を比較的楽に運ぶ手段は船舶で、都市も大きな川沿いに発展してきたように思います。世の中は、ICT(情報通信技術)がもてはやされて、物流は不要になったような誤解を与えていますが、情報でお腹は膨れません。ICTは物流の無駄を抑えるでしょうが、これからも船による物流は絶えることは無いでしょうし、港湾都市の繁栄は続いていくのでしょうね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。