世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

久留米市内とは思えないのどかな風景の中にハゼの並木が連なっています

2006-12-03 13:48:25 | 日本の町並み
 カエデの紅葉もなかなか美しいですがウルシやハゼの紅葉は朱色が派手なように思えます。どちらもウルシ科の植物で、ウルシはその樹液を漆芸の原料とし、ハゼはその実が木蝋の原料となります。

今回は、ハゼの並木が1kmほども残っている福岡県の久留米市郊外を紹介します。
 ウルシ科の植物は、紅葉は美しいのですが触れるとかぶれるという欠点があります。人によっては、漆器になったお椀でかぶれたり、木のそばを通っただけでかぶれたりするそうです。ハゼの実から作られる木蝋は和蝋燭の原料として用いられてきましたが、和蝋燭そのものが作られなくなってきて、原料としてのハゼの必要性も減ったようです。かぶれを恐れて、人里近くでは見られなくなりつつあるようです久留米市郊外の柳坂のハゼ並木も木の数が減ってきているのだそうです。

 久留米市柳坂は市の中心部の東側、バスで30分ほどのところです。最寄の駅はJR久大本線の善導寺で、駅の西南西方向になります。ハゼの並木は南北に走る道路の側溝の土手の上に植えられています。この道路はかなり広いのですが、その拡張の時に移植され、木の勢いが弱くなり、美しく紅葉しなくなったのだそうで残念です。ハゼ並木の近くには、茅葺の農家や土塀などが残っていて、とても久留米市内とは思えないのどかさが残っています。

 このハゼ並木の南の端の山の麓に永勝寺があり、こちらはカエデの紅葉の名所になっています。

道が山に突き当たって少し上ったところに寺へ上る階段があって、九十九折の坂を登ると本堂に出ます。本堂のそばに植えられたイチョウの黄葉と裏手のカエデの紅葉、それに周りの木々の緑が美しいハーモニーを醸し出しています。本堂の裏の高みに登ると、本堂の屋根の黒も加わって四重奏です。

 ところで、漆塗りの塗膜はどんな塗料よりも頑丈なのだそうです。漆芸分野の人間国宝であった松田権六氏が書かれた著作の中に、船の塗料としてペンキと漆塗りとで耐久性を競ったのだそうです。遠洋航海の後に帰港した船のペンキの鮮やかさ見て、松田氏は漆の負け!と思ったのだそうです。しかしながら、ペンキのほうは、寄港地ごとに塗りなおさないともたないほど劣化が激しかったそうです。もちろん漆のほうは一度も手入れはしていなかったそうで、漆塗りの堅牢さが証明されたとか。ディジタル化社会になり、均質で高品質の製品が安く手に入る世の中ですが、最高の品質を得るためにはアナログ的な手仕事の分野が必要なんですね。


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