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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

美女劇 『伯爵令嬢小鷹狩鞠子の七つの大罪』

2011-08-21 | 舞台

*寺山修司作 宇野亜喜良構成・美術 金守珍(新宿梁山泊)演出 ザ・スズナリ 21日で終了
 Project Nyx (プロジェクト・ニクス)は、新宿梁山泊の広島かつら(現・水嶋カンナ)が2006年に立ち上げた実験演劇ユニット。宇野亜喜良の総合美術と金守珍の演出を基盤に、さまざまなジャンルのアーティストが出会うことにより、演劇という枠を超え、音楽、舞踏、人形、アートが融合した、新たなエンターテイメントの創造を志す(公演チラシより)とのこと。

 劇場外には当日券のキャンセル待ちの列。客席は上手の通路も丸椅子が置かれてみるまに満席。「SHUJI TERAYAMA」の文字が見える巨大な時計や蓄音機、寺山の作品や人形が並んだ舞台装置が迫りくるよう。けばけばしい舞台衣装とメイクのまま観客を席へ誘導する女優たちといい、開演前から賑々しくこちらを圧倒するような空気だ。

 登場人物の関係や造形、物語の流れやテーマなどを語ってもあまり意味がないような。これでもかと作り込まれた舞台美術に、素顔がほとんど判別できないほど強烈なメイクをしたおどろおどろしい姿の女優たち。寺島しのぶもまったく違和感なくこの世界に溶け込んでおり、隠微で猥雑、それでいて幻想的で美しい。まさにアングラ!

 カーテンコールは女優ひとりひとりに声がかかり、演出の金守珍がマイクを持って登場、制作スタッフ(宇野亜喜良も登場)を紹介して挨拶する。金氏はたいへんよい声をしていらっしゃるので地声でもじゅうぶん聞こえると思うが、そのよいお声がマイクを通すとまるで歓楽街の呼び込み、危ない世界へ強引に引き入れるかのように聞こえて、背中がぞくぞくする。

 強い酒を一気にあおったような高揚感で劇場をあとにした。アングラ、下北、寺島しのぶ。
 素敵な組み合わせであった。
 

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