グリーグ・ニールセン・シベリウスと、北欧の作曲家による室内楽を集め、エマーソン弦楽四重奏団が演奏したアルバム、今春(2006)リリースされたもの(DG)を聴く。
いずれも聴くのは初めてで、こうしてまとめられると聴くきっかけが出来るというのは本質的ではないが、けっこうなことだ。
最初のグリーグの弦楽四重奏曲(作品27)、グリーグはピアノ(協奏曲、独奏)と声楽くらいしかなじみがないが、これは心地よい、浸りやすい曲。エマーソンにも向いているようだ。
ニールセンの「若き芸術家の棺の傍らで」と題された3分半ほどの曲は、佳作であるが、このアルバムでは箸休めといったところだろうか。
さてシベリウスの弦楽四重奏曲(作品56)「親愛なる声」、この特に交響曲第4番以降に見られる誰とも似ていないシベリウスだけの孤高の音楽、こういう音楽を交響曲以外にも書くのだということをまず思った。もっとも第4番の静かで聴くものを容易に寄せつけず、その抵抗感から少しずつ感じ取っていくというつくりではなく、もう少し取り付やすさはある。後で作品番号を比較してみたら、交響曲第3番と第4番の間であった。なるほど。
冬から春にかけては毎年なぜかシベリウスが聴きたくなる。一つ楽しみがふえたようだ。
エマーソンの演奏だが、この団体特有の流れのよさがここでもある。がしかし、このシベリウスではもう少し音の像が、時間軸をしばし感じさせないで静止画のように一つの形で迫ってくるという形態が、結果として、欲しいのだが。
他の曲でもエマーソンはその傾向が強く、なかなかそうはいかないのかも知れない。