メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

桑原あい ザ・プロジェクト 『トゥ・ジ・エンド・オブ・ジス・ワールド』

2018-11-08 10:41:56 | 音楽一般
桑原あい ザ・プロジェクト『トゥ・ジ・エンド・オブ・ジス・ワールド』
2018年11月7日(水)東京・浜離宮朝日ホール
 
表向きは、桑原あい(Pf)が鳥越啓介(ベース)、千住宗臣(ドラムス)と組んだ新しいトリオと様々な共演者で作成し先日リリースされたアルバム「To The End Of This World」の記念ツアー最終日という名目のコンサートで、曲順はともかく曲名はアルバムと同じである。
 
アルバムは入手したが、このコンサートにも行くことにしていたので、聴くのはあえて一度だけにしておいた。それでどうだったのかはわからないが。
 
彼女のトークによれば、今回のテーマは女性、母、海だそうだが、それは曲の中で何か具体的な表現があるというより、その三つで大きく包み込まれている、と感じた。
 
これまで何度かウエストサイド・ストーリーの曲はとりあげていて、特に今回のマリアが好きだということは言っていた。今回のはベースのボウイングが繊細で、それに呼応したピアノがより効果的であり感動的だった。
 
吉田沙良のボーカルで3曲あったが、吉田の声と唱法はCD以上に繊細な質感と強さ、印象的な節回し(メリスマ?)に衝撃を受けた。
Daichi YamamotoのRapも、これほど音楽の中に一つの要素として位置しかつフィーチャーされたものがありうるということは、発見であった。それに呼応したピアノも見事。
 
プーランクの即興曲第15番(エディット・ピアフに捧げられている)をピアノと弦楽四重奏でやったものは、これまでこの組み合わせで別の企画はあったけれども、より溶け合い統合され、かなり長い曲だが堪能できた。
 
Mather Sea、To THe End Of This World、919 三曲でのしめくくりも見事。
アンコールは予想通り(これだけアルバム外)の「The Back」(クインシー・ジョーンズの背中)。もう私の中に定着してしまった。
 
今回のホールはこれまでの会場でおそらく一番大きい(一階が約450席、300以上埋まっていたから大したもの)、そして典型的なクラシック向け中ホールだからか、アコースティックもよく、聴きやすい。今回ピアノはもちろん、ヴォーカルも弦楽器もライブハウスなどではここまでいかないだろうという感じだったが、驚いたのはドラムの素晴らしさであった。考えてみれば、こういうドラムセットをこういう会場で聴くことはめったにない(以前のサントリー・ブルーローズではドラムなし)。クラシックではこういう組み合わせ、奏法ではないし。曲としては特に「Opening」が印象的。
 
欲を言えば、ウエストサイド・ストーリーは、7月のソロコンサートのようなメドレーで再度たっぷりと聴きたい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 嵐山光三郎「漂流怪人・きだ... | トップ | 桑原あい ザ・プロジェクト... »

音楽一般」カテゴリの最新記事