メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

私がクマにキレた理由(わけ)

2008-11-07 21:36:48 | 映画
「私がクマにキレた理由(わけ)」(The Nanny Story、2007年米、106分)
監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
原作:エマ・マクローリン「ティファニーで子育てを」
スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、アリシア・キーズ、クリス・エヴァンス、ニコラス・リース・アート、ドナ・マーフィ、ポール・ジアマッティ
 
私のようにすでにファンである人にとっては「ブーリン家の姉妹」より楽しめる。さんざん作りこんだ力の入った演技というよりは、脚本がそうさせた結果として自然流に見える演技になっている。日本の女優でも同じ20代前半で似たタイプがあるけれど。
 
なにしろ、出てこない場面がない。台詞、笑い、コミカルな動作、いずれも彼女がやると、こちらに気持よく入ってくる。
 
ニューヨークの上流階級のご婦人たち、小さい子供がいて、しかも仕事や付き合いを言い訳に子供は子守に預けっぱなし。その子守に、なぜか大学で人類学を学んだものの、就職で決心がつかなかったスカーレットがしばらくなって、その家庭、男の子などと繰り広げるどたばたと、セオリーどおりの結末。
 
脚本はすこしゆるい。もう少し緩急とわさびがきいて欲しいといえばそうだ。それにロケーションも他の映画で見慣れたところが多く、博物館など最近みた「ナイトミュージアム」とかぶってしまう。それでも、たしかに、スカーレットをここにもってきたのがうまくいった原因だだろう。彼女としても、ニューヨーク舞台の話で、キャリア・ウーマンなどやらなかったのは正解で、その場合だと、意外と出てくる味の出しようが少ないし、まず現代では身長が足りない。この映画では下半身をあえて絞ってないのだろうが、日本人にも親しみがわくプロポーションである。
 
ローラ・リニーは期待通り、いやな夫役の名優ポール・ジアマッティは、ここではいやな夫に徹していた。
スカーレットに言い寄るハーヴァード生役クリス・エヴァンスは、以前注目した「セルラー」の若者役に比べると、これも好青年に徹している。
 
とすれば、この映画はいい役者をステレオタイプの役にはめ込んで、あまりはみ出ないで味が出た(結果として)もの、といえるかもしれない。
 
随所に出てくる傘、そして挿入される歌から、「メリー・ポピンズ」が意識されているのは私でもわかるが、その映画を見ていないので、これもナニー(子守)の話というそれ以上のことはわからない。
 
なぜこの邦題か、ということは最後にわかる。なんとなくそれに似た一連のことを連想し期待させるものとして、よく出来たタイトルだ。
 
スカーレット・ヨハンソンは長身とは思ってなかったけれど、北欧系の女優としてはかなり小柄だなと思ったのは「ブーリン家の姉妹」で、姉アン役のナタリー・ポートマン(160cm)とほぼ同じだったことからで、調べたところ163cmだそうだ。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブーリン家の姉妹 | トップ | ピカソ展(サントリー美術館) »

映画」カテゴリの最新記事