セーラー服と機関銃(1981、112分)
監督:相米慎二、製作:角川春樹、原作:赤川次郎、脚本:田中陽三、音楽:星勝
薬師丸ひろ子、渡瀬恒彦、風祭ゆき、柄本明、佐藤充、北村和夫、三國連太郎
この映画、最初から最後まで見たのは実は初めて。TV放送で一部だけ見たとはおもうけれど。
話は荒唐無稽、子供っぽいところもあり、辻褄があわない、などあっても、見だして「ああこれは徹底して娯楽映画なんだね」と思えば、あとはその娯楽映画としてよくできている。
薬師丸ひろ子、小柄だし、ボーイッシュというよりまだ子供の顔、スカート姿はセーラー服だけ、でも彼女をここに起用したときに、すでにこの映画は半分決まり、そして独特のトーン、タッチの相米慎二が最後まで飽きずに連れてってくれる。
まあ、社会に広がりを持つ巨悪は見えないし、主人公の人格を深くえぐるところはせず表装だけを描いていくのだが、あたかも見えるのはそこまででしょうと言われているみたいだ。
世間的にこの結末で済むのかというのが、最後の疑問だけれど、機関銃をぶっ放したあとしばらくしての場面はなかなか面白く、主人公に感情移入していけるところもある。
その場面、セーラー服に学生カバン、しかし足元をよく見ると赤いヒール、そしてモンローのパロディ、にやっとして、でもよかったね、という感慨。
有名なテーマ曲は最後に流れるが、本編の途中でよく使われるのは「カスバの女」、妙にピタリ。
落ち目で人数も少ないやくざが持っている唯一の車がポンコツの日野コンテッサ、その伯爵夫人という名は、なかなかいい遊びである。