物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

オヤマボクチ ~2020~

2020-10-26 05:00:00 | キク科

オヤマボクチ(雄山火口)
<学名:Synurus pungens (Franch. et Sav.) Kitam.>
キク科 ヤマボクチ属 多年草

 

 

                                撮影日 2020.10.18: 群馬県

 

 

本州東部以北、北海道に分布するアザミ類に近い仲間。
茎は直立して分枝し、白い綿毛がある。

葉は互生、下部の葉は長さ15~35㎝の卵状長楕円形、
不規則な鋸歯縁(やや深いものから浅いものまで変化がある)
基部は心形、葉柄は長く基部に狭い翼がある。
裏には白色の毛がフェルト状に密生する。
茎上部の葉は短柄で小形。

花期は9~11月。上部で分枝した枝先に4~5cmの暗紫色の頭花を
下向きに咲かせる。
総苞は長さ約3㎝、幅35~4㎝、球鐘形、くも毛があり、
開花すると全体に紫色~紫褐色になってくる。
総苞にくも毛がいっぱいあります。

総苞片は覆瓦状に多列あり、中位の総苞片は下部の幅約2㎜、
線状披針形、先が刺状、外片~中片の先が開出し、
花後にさらに次第に開く。小花はすべて筒状花で花冠が紫色~赤紫色。
葯は暗紫褐色、後にすぐに退色して淡褐色になる。
小花は外側から咲き、外側の小花から退色する。


花柱はピンク色、柱頭は長さ約5㎜、ピンク色、先が2裂する。

痩果は長さ約6㎜、幅3㎜。冠毛は帯褐色、
不同長、長さ約16㎜ぐらい。

 

 

根は山菜「ヤマゴボウ」として漬け物にするなどして食べられる。
ゴンパ、ヤマゴンボ、ゴンボッパと呼ぶ地方もあり、蕎麦のつなぎに
葉の繊維が 使われたり、ヨモギの代わりに草餅に用いることもある。 
地域の特産品として利用されますが、採集だけでは需要を賄いきれないため
長野県や新潟県などでは栽培も行われている。

群馬県南牧村で「ごぼっ葉餅」売ってました。

 


名前の語源は、茸毛(葉の裏の綿毛)が火起こし時の
火打ち石から出る火花を移しとるための火口(ほくち)として
用いられたことからつけられた。
また、ヤマボクチより大きいことから「雄ヤマボクチ」呼ばれる。

 

 

↑は一秋の地元で撮ったものですがあちこちで出会っています。

⇒榛名のオヤマボクチ


センブリ ~2020~

2020-10-21 06:00:00 | リンドウ科

センブリ(千振)
<学名:Swertia japonica (Schult.) Makino> 
リンドウ科 センブリ属 二年草

 

 

先月、観察中に見かけたときは未だ蕾でしたが

撮影日 2020.9.27: 群馬県
そろそろ咲いているだろうなと見に行ってきました。

北海道西南部、本州、四国、九州の日当たりが良くやや湿り気のある
山野の草地などに広く分布する。

撮影日 2020.10.18: 群馬県

根は黄色を帯びる。
草丈は5~30 cm。茎は薄紫色を帯びて断面は四角く、直立し
根元から数本に分かれて生える。細長い線形の葉が対生する。

発芽した芽がロゼット状の根生葉となりそのまま越冬し、
翌年の8~11月に茎先に円錐花序を出し多数の花を咲かせる。

花は合弁花で、白い花冠は深く5裂し、縦に紫色の線があり 
雄しべは5本、雌しべは1本、
花びら(花冠裂片)の基部に 蜜腺溝があり蜜腺の周囲には
細い毛のような付属物がある。

5枚の萼片は、線形で尖り、長さは5~11 mm。
リンドウなどと同じで陽が当たらないと花が開かないんです。


近くに咲いていたリンドウの花

 

当薬と呼び、ドクダミやゲンノショウコと共に有名な日本固有の生薬です。 
開花期の全草が用いられ、乾燥させ、煎じてまたは粉末にして
飲みます。 薬効は、胃腸虚弱、下痢、腹痛、発毛などとされます。
日本固有の生薬で、漢方薬には用いられない。

花、葉、茎、根すべてとても苦くセンブリの名前の由来は
「千回振出してもまだ苦い」ということからつけられたとされています。


オケラ

2020-10-13 05:00:00 | キク科

オケラ(朮)
<学名:Atractylodes ovata (Thunb.) DC.>
キク科 オケラ属 多年草

 

本州~九州の日当たりの良い乾いた山野や丘陵地に生える。
雌花と両性花がある雌雄異株。根茎は長く、節がある。
茎は高さ40~100cmになり、
茎の下部の葉は羽状に裂けて、奇数羽状複葉になる。
葉は堅く、ふつう柄があって互生、単葉または羽状に
3~5深裂し、葉縁にはトゲ状の鋸歯がある。

                                撮影日 2020.10.03: 群馬県


葉は硬く長い柄があり、楕円形でする。
裂片の縁に刺状の鋸歯がある。

花期は9~10月。茎頂に白色または淡紅色のアザミに似た
筒状花だけの頭花をつける。

雄しべと雌しべの両方を持つ両性株と、雌しべだけの雌株がある。
総苞の周りには魚の骨に似た2列の苞葉に囲まれているのが特徴。 

果実は痩果で、暗褐色で狭楕円形でやや平たい。
果長い伏毛が上向きに密生し長い冠毛が多数つき、淡褐色で羽毛状である。
果実期にも、苞葉が残っている。

 

 

名の由来は不明だが、古名の「ウケラ」が転じたものといわれ
   ウケラ(宇家良)とは、
   ①葉が蓑(みの)、花が漁具の筌(うけ)に似ていることからとする説。
   ②軟毛をまとった若芽を、昔の雨具である朮〈うけら〉に見立てた説。
   (秋田では蓑のことをウケラという)
   ③葉が物を受けるのに良い、さじのような形をしているので「ウケラ」の説。
   などの説がある。
別名、ウケラ、カイブシとも呼ばれる。

 

 




近縁種とともに生薬として用いられる。また若芽を山菜として食用にもする。

新緑の5~6月頃の白毛に包まれた若芽は食用となり、お浸しや和え物にするか、
天ぷらなど山菜として利用される。
「山でうまいはオケラとトトキ。里でうまいはウリ、ナスビ嫁に食わすも、
惜しゅうござる」と、歌われるくらい、美味さでは代表格の山菜として
よく知られている。

刻んで焚くと、疫病よけになると信じられ、京都八坂神社では、
除夜の鐘とともに正月に白朮(オケラの根茎)を焚く白朮祭(をけらさい)が
行われ、この火を火縄に移して持ち帰り知られている。 
梅雨時に室内で焚き、カビ止めにも用いられていた。



 


キツリフネ

2020-10-12 05:00:01 | ツリフネソウ科

キツリフネ(黄釣船)
<学名:Impatiens noli-tangere L.>
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属 一年草

 


北海道~九州の低山から山地の谷あいの渓流沿いなどやや湿った薄暗い
半日陰地に生育する。ツリフネソウの分布と類似するため、ともに
群生していることも多い。


撮影日 2020.10.03: 群馬県


茎は軟らかく多汁質で、草丈40~80 cmほどになる無毛の1年草。
葉は柄があって互生、長さ4~10cm、幅2~5cmの長楕円形~卵形で軟らかく、
先端は鈍頭、縁に鈍鋸歯がある。ツリフネソウより楕円形に近い傾向がある。 
花期は7~9月(山地では 8月頃から、低地では9-10月。
開花初期、開放花より先に蕾状の閉鎖花もよくつける。)

茎の上部の葉腋から出た細長い花柄の先に3-4 cmほどの黄色い花が
ぶら下がって釣り下がるように咲く。花弁状の萼と唇形の花びらをもち、
距が長く筒状になっている。
萼片は3個。下の1個は筒状で後部は細い距になって巻かずに下に垂れる。

花弁は上側に反り返っているものが1枚、下側に2枚づつが合着したものが
2枚の計5枚であるが、側方の大小2枚がそれぞれ合着して3枚に見える。

合着した花弁は下に伸びて唇弁状となり、内側に赤褐色の斑紋がある。

距の中に蜜が入っていて、マルハナバチ類など大型のハナバチや、
ツリアブ類などががこれを目当てに集まり、花に潜り込んで蜜を
集める様子が観察できる。

果実は細長い蒴果で、ツリフネソウなどと同様、熟すと弾けて種子が飛び散る。

                学名のnoli-tangereは「触るな」の意味で、果実に触るとはじけることに由来している。

ツリフネソウに似る黄色い花が名前の由来になっている。

まれに花が薄い黄色のウスキツリフネ(ウスギツリフネ)という品種が見られる。