物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

羊歯 ⑤フユノハナワラビ

2014-10-31 06:00:00 | 羊歯
フユノハナワラビ(冬の花蕨)
<学名:Botrychium ternatum (Thunb.) Sw.>
ハナヤスリ科 ハナワラビ属

夏の終わり頃に小さな葉状体を広げ、冬に胞子葉をだして夏は枯れる、
冬緑性シダ植物。
 
冬に胞子葉をもたげ、あたかも花のようである羊歯というのが和名の由来。

撮影日 2014.10.19: 群馬県
本州~九州の日当たりの良い山野に生える。
栄養葉の柄は長く、基部近くで胞子葉を分岐する。
栄養葉は葉軸が三岐する。小羽片は広卵形で鈍頭、辺縁は鈍鋸歯。
葉柄や羽軸は無毛。

胞子葉は栄養葉より長く、上部につく胞子嚢穂は2回~3回羽状に分岐し、
円錐状に丸い胞子嚢をつけ、秋に熟した後に枯れる。

 撮影日 2014.10.19: 群馬県
 
秋から春までを生育期間するフユノハナワラビはヒガンバナや
在来種のタンポポなどとよく似ており、いずれも人間活動に関係するような
人里の植物である。
 
今回ちょっと変わった羊歯たちを中心に紹介しました予約投稿は
これでおしまいとなります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
 
 



羊歯 ④ヒメウラジロ

2014-10-30 06:00:00 | 羊歯
ヒメウラジロ(姫裏白)
<学名:Cheilanthes argentea (Gmel.) Kunze>
ホウライシダ科 エビガラシダ属

高さ5-20 cmぐらいの常緑のシダ。日本では岩手県以西の日当たりの良い
石垣や岩上、路傍など、比較的乾燥した場所に見られる。
冬季寒い所では葉が枯れる。
 
道端の石垣に群落を作っていました。

撮影日 2014.10.25: 群馬県
 
根茎は短くて直立から斜上し、赤みを帯びた暗褐色の線状披針形の鱗片を
つけ葉を束生する。
葉身は長さ3-10 cm程度になり、幅は同じかやや狭くなる程度
1回羽状,下部の羽片とくに一番基部の羽片は2回羽状になる。

葉は無毛で表面は深緑色、裏面は粉白色を帯びる。

胞子嚢群(ソーラス)は葉縁に生じ、合着して,連続する偽包膜に包まれる。
葉柄は紫褐色で光沢があり、葉身より長く折れやすい。
葉は乾燥すると巻いて強縮するが、水分が加わると開いて元の状態に戻る.
ヒメウラジロ属Aleuritopterisとして独立させることがある。

葉裏が真っ白です。 
 
和名は植物体が小型で、葉の裏面が粉白色を帯びることから
「ヒメウラジロ」と呼ばれますがウラジロGleichenia japonicaとは別の属です。

この羊歯も多くの県で絶滅危惧種の指定がされているようです。



羊歯 ③ハコネシダ

2014-10-29 06:00:00 | 羊歯
ハコネシダ(箱根羊歯)<学名:SeAdiantum monochlamys Eaton>
ホウライシダ科ホウライシダ属

山間の崖に生える。根茎は短く横に這うか斜めに立ち、多数の葉をつける。
根茎の表面には黒褐色の毛が密生する。
葉は全体の長さが20-40cm程度になり、その半分か、
それよりやや短い葉柄がある。
 
ちょっと変わった羊歯の仲間を取り上げてきましたが
今回はより普通の羊歯に近い形をしています。

撮影日 2014.10.24: 群馬県
 
葉柄は基部に鱗片があるがそれより上は無毛で、
黒っぽい褐色でつやがあり、硬い
葉身はよく育つと三回羽状複葉に分かれ、
枝先にはすべてほとんど同じ大きさの小葉がつく。

小葉は倒卵形で、やや三角がかる。基部側の両側面は平滑で、
先端側の曲線には鋸歯が入る。葉質は厚くないが硬く、
表面にはつやがなくて緑色、縁はわずかに裏側に巻くようになりがち。
ソーラス(胞子嚢群)は小葉に一つずつ着く。
 
葉裏 おや ちっちゃい芋虫くんが・・・

葉の先端が裏側に巻いて偽包膜となるが、見かけではほぼ円形になっている。



羊歯 ②クラマゴケ

2014-10-28 06:00:00 | 羊歯
クラマゴケ(鞍馬苔)<学名:Selaginella remotifolia>
イワヒバ科イワヒバ属:常緑性羊歯
 
苔と付いていますが羊歯なんです。
 
地表を這い、小さな集団を作る。茎は細くて緑色で、長く伸びて
まばらに分枝する主茎と、短くてよく分枝する側枝に分かれる。
どちらにも鱗片状の葉をつけ、主茎の方がまばらである。
主茎は長いものは30cmにもなり、地表に密着して伸びる。

撮影日 2014.8.14: 群馬県
 
側枝は数回分枝し、少し斜めに立つ。主茎からは多数の担根体が出る。
担根体は茎から出て真っすぐに下に伸び、土に触れるとそこから根を出す。

葉には2つの形があり茎の背面には、背葉(はいよう)と呼ばれる狭い葉が
二列に並んで茎に密着してつき、茎の側面には腹葉(ふくよう)と呼ばれる
やや幅広い卵形の葉が左右交互に横に広がってつく。
クラマゴケの特徴として、背葉の縁に鋸歯がある。

 
名前のクラマゴケは漢字で表記すると鞍馬苔で、京都の鞍馬山に由来する。



羊歯 ①イワヒバ

2014-10-27 06:00:00 | 羊歯
今日は羊歯植物を取り上げます。ご存知の様に(?)私は羊歯を苦手としています。
もし、間違いなどお気づきの点がありましたらどしどし教えてください。
 
イワヒバ(岩檜葉)<学名:Selaginella tamariscina>
イワヒバ科イワヒバ属:常緑性羊歯
 

幹の先端に葉を輪生状に出したような姿に見える。
この幹は実際には根や担根体が絡み合ったもので、仮幹と言われ、
仮幹の先端からは葉状のものを多数、輪生状に出す。
新たな茎の出る中心部からは茎が放射状に出て全体の姿はソテツか
ヤシの木状にも見える。
これは実際には枝で、本当の葉はその枝に着いた鱗片状で枝の表面を密に覆う。
その形には背葉と腹葉の区別がある。
 
先日ダイモンジソウを撮影した崖にいくつか付いていました。

撮影日 2014.10.18: 群馬県

乾燥するとこの枝全体が内側に巻き込むように丸まる特徴がある。
雨などで水分が十分に補給されると、数時間から数日の間に
この枝をのばして輪生状に広がる。
そのためイワヒバ科は復活草とも言われる。
盗掘などもあって数を減らしている植物で、たくさんの県で
絶滅危惧種の指定をされています。名前のように
復活してほしいものです。
 
名前の由来はその枝葉が桧に似ており、岩の上に生じることからで、
別名をイワマツ(岩松)とも言う。
姿のおもしろさから盆栽として、栽培され、古典園芸植物としても扱われる。
現在も数十の品種があり古典園芸植物としては巻柏と標記し、
読みはイワヒバである。