物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

タニウツギ  ~2019~

2019-06-30 07:00:00 | スイカズラ科

タニウツギ(谷空木)

<学名:Weigela hortensis (Siebold et Zucc.) K.Koch>

スイカズラ科 タニウツギ属 落葉小高木

 

長野県の北部へスミレ観察に行ったときに沢山咲いていました。

 最近の分類体系APGⅢではスイカズラ科からタニウツギ科として 分けられ変更されました。

撮影日 2019.06.16: 長野県

北海道の西部~本州の東北地方、北陸地方、山陰地方に分布し、 日本海型気候の山地の谷沿いや斜面に多く見られる落葉小高木。

 下部からよく分枝して株立ちになり、樹高2~5m、樹皮は 灰褐色で縦に裂け、はがれ落ちる。

 

新しい枝は茶褐色ときに紫褐色で、ほぼ無毛。 葉は対生、長さ4~10cm、 幅2~6cmの卵状楕円形。先端は鋭く とがり、

基部は円形~広いくさび形。縁には細かい鋸歯がある。 裏面は全面に白い毛がある。(とくに脈の両側に密生し、 脈上には少ない。)

葉柄は長さ3~10mm、有毛で赤みを帯びる。

花期は5~6月。今年枝の先端か葉腋の散房花序に多数の 花ををつける。花冠は桃紅色または紅色の漏斗状で、 長さ2.5~3.5cm、径2cm、

先端は放射相称に5裂する。

 

花冠の内側より外側が色が濃く、開花しているものより 蕾のほうが濃い。雄蕊は5本あり、花柱はそれより長い。

 

蒴果は長さ1.2~1.8cm、径2.5-3mmの細い筒状、種子は 長さ1mmの楕円形。

 

花色が美しいため、鑑賞目的で庭園などに植栽されることも 多い。梅雨の時期、山道の新緑の中でひときわ映えて咲く

ピンクの花は良く目立つ。「田植え花」などの目安にされる 異名がある。

 


若芽を食料にしたり、材木を葬儀の際に骨を拾う箸に 利用したことや、花が燃えるように美しく、花の時季には 辺り一面が

山火事になったように見えることから カジバナ(火事花)、

シビトバナ(死人花)、ソウシキバナ (葬式花)などの異名もあり、忌み嫌う地方もある。


コヒルガオ ~2019~

2019-06-28 05:00:00 | ヒルガオ科

コヒルガオ(小昼顔)

<学名:Calystegia hederacea Wall.>

 ヒルガオ科 ヒルガオ属 蔓性の多年草

 

本州~九州の日当たりのよい草地や道ばたにふつうに生える蔓性の多年草。

 地中に白色の地下茎を伸ばして増え、蔓はほかのものにからみついて伸びる。

たくさん花が咲く割には種ができることが少なく、地下茎があちこちに 伸びて、

途中から新しい芽を出して増える栄養繁殖をしている。

 撮影日 2019.07.23: 群馬県

葉は互生し、長さ3~7cmのほこ形で基部が耳のように横に張りだす。

 この張りだした部分が2裂するものが多い。葉先は普通、鋭頭。

 "ヒルガオの葉はほこ形から矢じり形、コヒルガオの葉はほこ形で、

 左右に張り出す側裂片がとがり気味になるのが特徴"とされていますが、

葉の形はかなり変化に富んでいて、葉の形では両種を区別することは できません。

あくまでそのような傾向がある、・だけです。

 花期は6~8月。 葉腋から長さ2~5cmの花柄をだし、淡紅色の花を1個つける。

花は小形のロート形。花冠は直径3~4㎝、五角状になることが多い。

 萼は5裂し、大きな苞に包まれている。多くは結実しない。 蕾は螺旋形に巻いている。

花柄の上部には縮れた狭い翼があるのが特徴。 花は早朝、夜明けとともに開花し、

夕方には花の命を終えてしまう 一日花である。 毎日、次から次へと花が咲くので、

同じ花が咲いているように見えるが、 花の命はたった一日限りである。

 朝咲く朝顔に対して、昼にも咲いているので昼顔の名があり、 小昼顔の名は昼顔より

全体が小型であることに由来する。 何故か「雨降り花」といった、雨と絡めた地方名が多い。

 

昼顔/小昼顔の識別について よく似たヒルガオとの識別については 

こちらで ⇒ ◎

 

両種を確実に区別できる決定打は花柄です。

 

 


花の首の部分を見てください。 ヒルガオの花柄はつるっとしていますが、

コヒルガオの花柄には 必ず縮れが出ます。ここが両種を区別する、確実な相違点です。

ヒルガオの苞の先端は丸みがあるかへこみます。 (時に三角形にとがるものもあるので、

苞の部分はあくまで目安です。) コヒルガオの苞は、先端が三角形にとがるのが普通です。

ヒルガオは花冠の直径が5~6㎝と大きく、葉の先が鈍頭、  葉の基部が下側方へ張り出し、

苞が大きく、鈍頭、葉柄に翼がない。

 


 

ただし、中間的なものも多く、アイノコヒルガオという雑種もある。

 アイノコヒルガオは未だ見たことがありません。 いつかで会ってみたいですね。

 昼顔はよく見かけます。機会があれば記事にしてみます。


アヤメ ~2019~

2019-06-25 05:00:00 | アヤメ科

今の季節を代表する花(梅雨の季節の花)を紹介します

アヤメ (菖蒲、文目、綾目)

<学名:Iris sanguinea Hornem.>

 アヤメ科 アヤメ属 多年草

 

北海道〜九州の山野の草地に自生し、高さ40~60cm程度。

 多数の茎が株立ちになり葉は直立し、短く這う根茎からは多数の ひげ根が伸びています。

 撮影日 2019.06.23: 群馬県(榛名山)

(湿地の植物のように思われていますが、低山から高原の明るい草原に 見られる植物で、

他のアヤメ属のノハナショウブやカキツバタのように 湿地に生えることは稀です。)

 5月~6月ごろ茎の先端に径8cmほどの紺色の花を1~3個付ける。

花茎は分岐しない。

外花被片(前面に垂れ下がった花びら)は広倒卵形、網目模様があるのが 特徴で、

和名の元になっている。

 内花被片は長楕円状披針形で直立、長さ約4cm。 花柱の先は2深裂し、裂片には鋸歯がある。

 

古くは「あやめ」の名はサトイモ科のショウブ(アヤメグサ)を指し、 現在のアヤメは「はなあやめ」と呼ばれていた。

 (古くから栽培されていますが、ハナショウブやカキツバタほど園芸品種は 多くは無いようです。)

一般的にアヤメ類の総称として、アヤメ以外の別種にあたる、 ハナショウブやカキツバタを、

アヤメと呼称する習慣が広まっている。

 

ついでですが 端午の節句に根や葉を風呂に入れて沸かす「菖蒲湯」で使われる ショウブは、

ハナショウブではなく、サトイモ科のショウブです。

 

古くは「あやめ」はサトイモ科のショウブ(アヤメグサ)を 指していた。現在のアヤメは「はなあやめ」と呼ばれていた。

アヤメ類の総称として、厳密なアヤメ以外の別種、ハナショウブや カキツバタを、アヤメと呼称する習慣が一般的に広まっている。

「いずれアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。 優劣はつけがたくどれも素晴らしいという意味である。 見分けがつきにくいという意味にも用いられる。

 


サンリンソウ

2019-06-24 05:00:00 | キンポウゲ科

サンリンソウ (三輪草) 

 <学名:Anemone stolonifera Maxim.>

キンポウゲ科 イチリンソウ属 多年草

 

 

 

中部地方以北、北海道の亜高山やブナの林縁や 林床に生える多年草。

地下に太く短い根茎をもち、 細く長い走出枝を出して繁殖し、群落を作ることが多い。

 

 撮影日 2019.06.16: 長野県

根出葉は3出複葉で、側小葉はさらに2深裂する。 茎は高さ15~30cm。

茎葉は3枚が輪生し、白い斑点はなく、 短いがはっきりした柄がある。

 ニリンソウが輪生する茎葉に葉柄がないのに対して、 本種は短い柄をもつ。

また、ニリンソウにみられる葉の小さな斑がないので 区別できます。

 花期は6~7月、花茎は15~30cmで、白い花弁状の 萼片を持つ花をつける。

 花は径1.5cmで、萼片は普通5枚ある。

 


 1本の茎から3輪の花をつけることが三輪草の名の由来と なっているが、

必ずしも3輪とは限らず、1~4輪つく。


ニリンソウ

2019-06-23 18:00:00 | キンポウゲ科

ニリンソウ(二輪草)

<学名:Anemone flaccida>

 キンポウゲ科 イチリンソウ属 多年草

 

 

山地のやや湿った落葉樹の林下や半日陰の林縁などに 生育する多年草。

草丈20~25cmほどで根茎で増え 群生していることが多いです。

 撮影日 2019.05.19

 

 

早春に芽を出し、春に花をつけ結実させて、初夏には 地上から姿を消す、いわゆる

スプリング・エフェメラル (春の妖精)

と呼ばれる1群の植物のひとつ。

 深く裂けた根生葉を持ち、茎につく3枚の輪生する葉には、 サンリンソウのように柄はない。

 3~6月に、白い萼片を持つ直径約2cmの花をつける。

 

多くは1本の茎から特徴的に2輪ずつ花茎が伸びるので 二輪草の和名の由来となっている。

(まれに1輪や3輪のものもあり、二つ目の花は少し 遅れて咲き始める。)

白い花を咲かせますが 花びらではなく " がく " なんです。

 

 

この仲間はガク片の枚数にいろいろと変異が多いです。

 

 

 

若葉は山菜として食用になりますが、有毒植物であるトリカブトの 若葉に似ていることから注意が必要。

トリカブトとの誤認を防ぐ為には、ニリンソウの採集は蕾を 確認してからが望ましい。