物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

キツリフネ

2020-10-12 05:00:01 | ツリフネソウ科

キツリフネ(黄釣船)
<学名:Impatiens noli-tangere L.>
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属 一年草

 


北海道~九州の低山から山地の谷あいの渓流沿いなどやや湿った薄暗い
半日陰地に生育する。ツリフネソウの分布と類似するため、ともに
群生していることも多い。


撮影日 2020.10.03: 群馬県


茎は軟らかく多汁質で、草丈40~80 cmほどになる無毛の1年草。
葉は柄があって互生、長さ4~10cm、幅2~5cmの長楕円形~卵形で軟らかく、
先端は鈍頭、縁に鈍鋸歯がある。ツリフネソウより楕円形に近い傾向がある。 
花期は7~9月(山地では 8月頃から、低地では9-10月。
開花初期、開放花より先に蕾状の閉鎖花もよくつける。)

茎の上部の葉腋から出た細長い花柄の先に3-4 cmほどの黄色い花が
ぶら下がって釣り下がるように咲く。花弁状の萼と唇形の花びらをもち、
距が長く筒状になっている。
萼片は3個。下の1個は筒状で後部は細い距になって巻かずに下に垂れる。

花弁は上側に反り返っているものが1枚、下側に2枚づつが合着したものが
2枚の計5枚であるが、側方の大小2枚がそれぞれ合着して3枚に見える。

合着した花弁は下に伸びて唇弁状となり、内側に赤褐色の斑紋がある。

距の中に蜜が入っていて、マルハナバチ類など大型のハナバチや、
ツリアブ類などががこれを目当てに集まり、花に潜り込んで蜜を
集める様子が観察できる。

果実は細長い蒴果で、ツリフネソウなどと同様、熟すと弾けて種子が飛び散る。

                学名のnoli-tangereは「触るな」の意味で、果実に触るとはじけることに由来している。

ツリフネソウに似る黄色い花が名前の由来になっている。

まれに花が薄い黄色のウスキツリフネ(ウスギツリフネ)という品種が見られる。


ツリフネソウ ~2020~

2020-10-12 05:00:00 | ツリフネソウ科

ツリフネソウ(釣船草、吊舟草)
<学名:Impatiens textorii Miq.>
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属 一年草

 


北海道~九州の低山から山地にかけての水辺などやや湿った薄暗い場所に多く、
キツリフネとともに群生していることも多い。

高さ40~80 cm程度。茎はやや赤みを帯び、節がふくらむ。
葉は互生し、長さ5~13cm、幅2~6cmの菱状楕円形から広披針形で
細かい鋸歯がある。



撮影日 2020.10.03: 群馬県


花期は7~10月 (山地では 8月頃から、低地では 9-10月)。
花序は茎の先端付近の葉腋から斜上し、赤紫色の3~4 cmほどの花を
釣り下げるように多数咲かせる。

花序の茎には紅紫色の突起毛がある。

花弁3個、萼片3個からなる。萼片も紅紫色で花弁のように見え、
下の1個は大きく袋状になり、その先端は細長い距になって、
クルリと巻き、この長く筒状になった距の部分に蜜がたまる。

花弁は下の2枚が大きくて黄色の斑点がある。

雄しべは5本で、花糸は短く、葯が合着して雌しべを包み込んでいる。

花とその造りの記事   ⇒★

 

果実は長さ1~2cmの紡錘形の蒴果で、熟した果実にふれると
ホウセンカなどと同様に裂けて種子が弾けて飛び散ります。

実と種の記事          ⇒★

 


花が帆掛け船を釣り下げたような形をしていることが
名前の由来と考えられている。


 

稀に白い花の、シロツリフネ(f. pallescens)や、花軸の下部に毛のない
ナメラツリフネソウ(トガクシツリフネ)と呼ばれる品種も
見られることがあります。

 


ツリフネソウ属の花は普通葉の下に咲きますが、ツリフネソウはその例外で
葉の上に咲きます。