物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

トリカブトの勉強  その7

2023-09-07 20:08:20 | キンポウゲ科


花柄に屈毛の有るトリカブト 「キタザワブシ

 



撮影日 2023.09.02: 長野県

 

ミヤマトリカブト Aconitum nipponicum subsp. nipponicum の亜種。

 


キタザワブシ(北沢附子)
<学名:Aconitum nipponicum Nakai subsp. micranthum (Nakai) Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草(疑似一年草)

 

 

 

本州の日光や関東山地、中央・南アルプス、御岳山などの亜高山帯~高山帯の
草地、林縁などに生える多年草。(ミヤマトリカブトが日本海側に分布するに対し、
太平洋側の山岳に分布している。)


環境省レッドリストでは絶滅危惧II類 (VU)に指定されている。

 

 


花柄には屈毛が生える
萼に屈毛、縁の内側には長い毛が目立っています。

雄しべには毛が密生する。


花弁



葉は基部付近まで3深裂し、さらに2~3深裂し、裂片は狭倒披針形で羽状に裂けます。



 

名前は南アルプス赤石山脈の北沢峠で発見されたことによるとのことです。


若い果実    無毛のようです。


遅ればせながら   ~ 節分草

2023-03-21 05:00:00 | キンポウゲ科

だいぶ暖かくなってもう春ですね。
皆さんいろいろと春の記事を投稿されていますが、
私の方はなかなか…  
出し遅れの記事です。

 

セツブンソウ(節分草)
<学名:Eranthis pinnatifida Maxim.>
キンポウゲ科 セツブンソウ属 多年草


スプリングエフェメラル(春の妖精)と呼ばれ人気のある植物です。

撮影日 2023.3.4: 埼玉県


関東地方以西に分布し、石灰岩地帯を好み落葉樹林内の斜面などに
群生していることが多い多年草。

高さ10cm、地下に球形の球根(塊茎)があり、茎頂に1個、
直径2cmの白い花を咲かせる。

埼玉県秩父には何か所か自生地が知られています。
中でも堂上の自生地は観光バスで大勢の方々が訪れるなど
沢山の花と沢山の人でごった返すほどです。
私はあまり人の来ない自生地で撮っています。



花期は2~3月、1本の花茎を出し細かく切れ込んだ総苞片
(花序全体を包む葉の変形したもの)を開き、
その先に可憐な白い花を1輪咲かせます。
総苞葉は花茎の先端につき、無柄でふぞろいに深裂し、裂片は線形。
花びらに見える部分は萼で通常5枚あります。
本来の花びらは退化して、先端が2又に分かれた黄色い蜜腺
(甘い蜜を出す器官)になっていて、雄しべを囲むようにつきます。

黄色い花弁が小さくなり蜜線に変化したものが、
蕊と共に中央に固まっています。
雄しべの先端に付いている花粉が入った葯は鮮やかな紫色。
面白い造りの花です。

 

地下に球形の塊茎があり、花後、根生葉を出します。

根生葉は5角形で3全裂し、幅3~5cm、側小片は
さらに2深裂して、各小片は羽状に細裂する。

 

可憐な花は人気が高く、現在は、乱獲や自生地の
環境破壊によって希少植物になっている。
環境省レッドリストでは 準 絶 滅 危 惧 (NT)に指定されている。
          準絶滅危惧(現時点の絶滅危険度は小さいが、生育条件の
          変化によっては絶滅危惧に移行する可能性のある種)

 

 

名前は、早春に芽を出し、節分の頃に花を咲かせることから
つきました。が、秩父での最盛期は2月末~3月頭ぐらいです。

通常1つの花茎に1つ花をつけますが、2つ花をつけたもの、
愕の丸いの 尖っているもの 数の変異や 色白のものなど
いろいろと変異も見られることがあります。


トリカブトの勉強  その6

2022-11-07 06:00:00 | キンポウゲ科

花柄に屈毛の有るトリカブト 「ツクバトリカブト」 

 

ツクバトリカブト(筑波鳥兜)
<学名:Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum (Tamura et Namba) Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草(疑似一年草)

以下の写真は長野県で撮ったものです。

ヤマトリカブト A. japonicum subsp. japonicum を分類上の基本種とする亜種群の一つ。
東北地方南部から関東地方の太平洋側沿岸山地、群馬県、長野県に分布し、
低地から山地帯の林縁、草原などに生育する。

茎は草原に生えるときは直立、林内や林縁に生えるときは斜上し先端は垂れて、
高さは60~150cmになる。

中部の茎葉の葉身は五角形から五角形状円形で、長さ4~14cm、幅4.5~16cmになり、
3全裂から3深裂し、側裂片はさらに2深裂する。

裂片には粗い大きな鋸歯があり、長楕円状卵形になり、鋭頭またはやや鈍頭になる。
質はやや厚く、葉の両面に屈毛が生え、葉柄にも屈毛が生える。

花期は8~10月。花序は長さ5~10cmで、散房状または小さな円錐花序になり、
2~6個ほどの花がつき、上部から下に向かって開花する。

花柄は長さ3~10cmになり、全体に下向きの屈毛が密生する。

花は長さ35~40mm。花弁状の萼片は5個(上萼片1個、側萼片2個、下萼片2個)で
かぶと状になる上萼片は僧帽形、前方の嘴は長い、または円錐形となり、前方の嘴は短い。


萼片の外面に屈毛が生える。

花弁は2個で頂萼片の内側に隠れ、身部の中ほどで長い柄につきイの字形になる。

花弁の距は太く長く180度以上に屈曲するか、または太く短い。

雄蕊には多少とも開出毛が生え

雌蕊は3~5個あり、ふつう無毛でときに屈毛が生える。


果実は長さ16-20mmの袋果になり、直立する。


トリカブトの勉強  その5

2022-09-20 05:00:00 | キンポウゲ科

今回は花柄に開出毛の有るトリカブト 「センウズモドキ」 です。


影日 2022.9.17: 群馬県(榛名山)

 

センウズモドキ(川烏頭擬)
<学名:Aconitum jaluense Kom. subsp. iwatekense (Nakai) Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草

 

 


多年草のなかの疑似一年草に分類されます。
地下に紡錘状にふくらんだ塊根があり、1本の茎が出る。

...........  ..... .....   疑似一年草とは   .....  .....  ...........
 母根は、栄養繁殖体 ( 子根 ) を残して、自身は1年で枯れ
翌年、子根は、親となり新たに子根を残して1年で枯れる。
このように「1年毎に根が更新される」生活史を持つ植物を、
擬似一年草という。 多年草として捉えられることが多い。
..............................................................................

何か所かあるセンウズモドキの見られる場所のうち、一か所に
通信施設ができるとかでトリカブトの自生している所をつぶして
道が作られていました。
掘り起こされて根が出ているものがあったので塊根の観察をしました。

右の茶色の濃い方が母根  左の白い方が子根ですね。


高さ0.8~1.8m、直立し、あまり分枝しないで上部は垂れる。

中間部の葉は3深裂し、側裂片はさらに2深裂して粗い鋸歯がある。
葉身は草質で光沢がなく、葉裏脈上や柄には屈毛がある。


花期は8~10月。花序は総状から散房状になり、上部から下部に向かって
開花する。

花はやや小ぶりで淡青紫色のものが多くしばしば赤紫色に
なります。花の外面には開出毛と腺毛が混じる。




雄ずいと雌ずいには毛がある。

花弁は上萼片の中にかくれて見えないが、柄、舷部、蜜を
分泌する距、唇部で構成される。1対あり、柄は長さ10-16mm、
舷部は幅3-6mmあってふくらみ、距は長く屈曲する。

前出のサンヨウブシの花弁は舷部があまり膨らみません。

 群馬県で観察したサンヨウブシ

 長野県で観察したサンヨウブシ

比較してみました。センウズモドキは出っ張りが大きいです。

花柄には開出毛に腺毛が混ざり、時に屈毛も見られます。



トリカブトの勉強  その4

2022-09-19 05:00:00 | キンポウゲ科


今回も花柄無毛のトリカブト「サンヨウブシ」をご覧ください。
一秋の地元で見られるサンヨウブシです。
花の色の変異が見られます。


サンヨウブシ(山陽附子)
<学名:Aconitum sanyoense Nakai>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草



撮影日: 群馬県








花柄には毛が生えていません。

花を分解してみました。

花弁の様子。(次回センウズモドキを取り上げる予定でその時に
花弁を比較をしてみます。)
雄蕊も無毛です。心皮にも毛がなく果実は無毛です。