ちょっと前にヤマグワの問い合わせを受けました。
(私の住む群馬県は養蚕が盛んで群馬経済との密接な関係があり
群馬にゆかりの歴史上の人物や名所、名産等を詠んだ上毛カルタの
札のなかには養蚕に直接的、間接的に関わる札が多くあります。
『繭と生糸は日本一』など・・・詳しくは県のHPでご覧ください。)
なんですが・・・・ 一秋はクワについてよく知りませんでした。
そこで少し勉強してみました。
北海道〜九州の丘陵から低い山地に生え高さは3〜15mになる。
山中に生えるが、植採されたものや、鳥の種子散布などによって
街中に生えていることも多い。古くからの有用樹で、養蚕の他に、
山菜としてや家具材として使われた。樹皮は灰褐色で縦に不規則な
筋が入り、薄くはがれる。本年枝は淡褐色で、無毛。
撮影日 2018.6.10: 群馬県
若木は成長が早く、枝が長く徒長する。
冬芽は、卵形で長さ3〜6mm。芽鱗は4〜7個あり、淡褐色で無毛。
葉痕は半円形〜扁円形。
多数の維管束痕が輪状に並ぶ。
葉は有柄で互生。長さ6〜14cm、幅4〜11cmの卵形または卵状広楕円形。
切れ込みのないものから3〜5裂するものまである。
変異が大きく、切れ込みがないものから、1つ切れ込みがあるもの、
切れ込みが2つ、3つ、4つなど、いろんな形態をしています。
先端は尾状に長くとがり、基部は切形または浅いハート形。
鋸歯はほとんど単鋸歯でやや粗く、先は尖る。
表面はざらつき、脈上には短毛が散生する。
裏面は脈上に短毛がある。
葉柄は長さ2〜3.5cmで、無毛または短毛を散生する。
花期は4〜5月頃。
雌雄別株まれに同株。雄花序も雌花序も新枝の葉腋に1個ずつつく。
雄花序は長さ1.5〜2cmの円筒形。雌花序は長さ4〜6mm。花柱は
長さ2〜2.5mmと長く、その先に線形の柱頭が2個ある。
花は淡黄色小形で新枝の基部に腋生し有柄の穂状花序を出し下垂する。
果実は「マルベリー」と呼ばれる集合果で長さ1〜1.5cmの楕円形
6〜7月、赤色からしだいに黒紫色に成熟し食べられる。
果実を乾燥したものは関節痛の痛み止めにも利用された。
果実は多肉質になった宿存萼で包まれ、密に穂軸について長楕円形
となり、これがいわゆる桑の実ですが、増大した萼片が熟して
黒紫色となった果穂。
~ 桑畑の地図記号 ~
地図記号で樹木を表す記号がいくつかありますが、植生記号に
分類されているなかで、具体的に植物名が出てくるものは、
ハイマツだけです。ほかは桑畑、茶畑が具体的です。
ヤマグワは単にクワ、あるいはノグワともいい、養蚕用に
日本で広く栽培されるクワの母種の一つになったものです。
現代の養蚕に使われるクワは、中国原産の葉の大きい品種を
改良したもの。
我が家の庭に生えてきたマグワ
葉は若い時には天ぷらにして、また茶の代わりに
桑茶として飲まれます。
養蚕用には葉がヤマグワより厚いマグワからの品種が多数
育成栽培されて用いられてきました。
最近では養蚕が少なくなり、果実の摘み取りに酸味が少なく、
甘味と風味のあるものに人気が出てジャムなどに加工されたりして
食べられるようになりました。
枝や葉を傷つけるとアルカロイドが含まれている白い乳液が出る。
乳液は虫害を防ぐ効果があるが、蚕はこのアルカロイドに
耐性を持っている。クワはカイコガの食草で、カイコはクワしか
食べることができない。多くの植物は虫に食べられないために、
様々な化学物質を含有して防御を行っている。
一方、この防御物質に対して無毒化することができる虫は、
その植物を専門的に食べるようになる。
クワとカイコガの関係もそのような密接な関係があると考えられるが、
実際にはクワは特別な忌避物質を持っていない。
全く忌避物質を持っていない植物は大変珍しく、
そのような植物だけをカイコは食べることができることがわかった。
そのような研究を元に、忌避物質を含まない餌を作り、
これでカイコを育てることが可能となっている。
クワは古くは「クハ」、蚕がその葉を食うさまから、食(クハ)れるもの
としてついた名。ヤマグワは山に生えるクワの意味。
よく似たマグワ(クワ)は雌雄異株あるいは同株で花柱がきわめて短い。
~◆~ マグワ(クワ)とヤマグワとの識別 ~◆~
葉 葉先の尖り方が違います。
写真では質感は表現できませんがどちらもざらざらした感じ
ですがマグワは厚くごわごわ感があります。
果実 花柱は長く、その先に線形の柱頭が2個ある。
実になっても残った花柱、柱頭が長いのが分かります。