物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

ミミガタテンナンショウ

2023-05-09 06:00:00 | サトイモ科

ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)
<学名:Arisaema limbatum Nakai et F.Maek.>
サトイモ科 テンナンショウ属 多年草


撮影日 2023.4.23: 群馬県


東北地方の太平洋側、関東地方、中部地方東部、兵庫県淡路島、
四国高知県沖の島、九州の大分県の落葉樹林下や林縁に生える。

地下にある球茎は扁球形で、ほぼ2列に並んだ腋芽群があり、
上部から多くの根をだす。高さ30~70cm。

葉はふつう2個で、葉柄は短く、小葉間の葉軸がやや発達する。
小葉は7-11個が鳥足状につき、小葉は披針形から楕円形で、長さ
10-17cm、縁は全縁かときに微細な鋸歯縁となり、中脈に沿って
白斑が生じることがある。偽茎部は長さ4~42cmになる。

花期は暖地では3月から、東北では5月頃、葉の展開より先に
花序が伸びて咲きだす。

花序柄は花時には葉柄より長い。仏炎苞は黒紫色、紫褐色、
黄褐色で、白色の縦条があり、長さ13~16cmになる。

緑色のものが稀にあり、品種(キイロミミガタテンナンショウ 
f. viridiflavum Hayashi) として区別することがある。

 

 

 

 

口辺部が耳状に大きく開出。舷部は卵形になり、先は尖る。

花序付属体の柄は長さ6mm、花序付属体は長さ6.8~7.7cm、
径3-10mmになり、棒状からやや棍棒状で先端はふくれて
円頭になり、仏炎苞口部から完全に外に出る。

 

和名のミミガタテンナンショウは「耳形天南星」の意で、
仏炎苞の口辺部が耳たぶのように張り出すことから名づけられた。
[ 和名、学名ともに前川文夫博士 による命名です。 ] 

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ミクニテンナンショウ

2023-05-08 05:00:00 | サトイモ科

ミクニテンナンショウ(三国天南星)
<学名:Arisaema planilaminum J.Murata>
サトイモ科 テンナンショウ属 多年草

ミクニテンナンショウのタイプ標本は、採集地:群馬県多野郡上野村の十石峠。

撮影日 2023.5.3: 群馬県(十石峠)

関東山地(群馬県、長野県、埼玉県、山梨県)および茨城県、
愛知県の内陸部に分布。落葉樹林下のやや暗い林床にに生育する。

高さは70cmに達する。

偽茎部の長さは葉柄よりはるかに長く、葉柄基部の開口部は
襟状に開出する。

葉は2個。葉身は鳥足状に7~15小葉に分裂し、小葉間の葉軸は
発達している。小葉は披針形から楕円形で、先端および基部は
尖り、縁にしばしば細かい鋸歯が出る。

花期は4-6月。葉が先に展開し仏炎苞はやや遅れて開く。

花序柄は葉柄部とほぼ同じ長さかまたは短い。仏炎苞筒部は
淡色で縦の筋がなく、上部に向かってやや開く円筒形、仏炎苞
口辺部は耳状に開出する。

仏炎苞口辺部および仏炎苞舷部は緑色で、
舷部は広卵形ときに卵形、舷部基部から舷部内面の中央脈に沿って
淡色で、内面および外面の中央の白い筋が目立ち、その他は緑色、
舷部内面の緑色部分には隆起する細かい脈がある。

舷部外面の中央はドーム状に盛り上がらず、やや平坦、舷部先端はやや尖って
前に曲がる。舷部と筒部の長さはほぼ同じ。

花序付属体は淡緑色で、基部に柄があり、棒状になって直立、
仏炎苞舷部筒口部からほとんど突出しない。

ミクニテンナンショウの名前は、本種が、上野国(群馬県)の
十石峠、武蔵国(埼玉県)の二子山・武甲山・両神山、信濃国
(長野県)の角間渓谷に分布していることから、「上野国、武蔵国、
信濃国」の三国に分布することで「三国天南星」とされた。
[ 和名、学名ともにこの仲間の第一人者、邑田仁博士 による命名です。 ]

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甘菜

2023-03-21 07:00:00 | ユリ科

アマナ(甘菜)
<Amana edulis (Miq.) Honda >
ユリ科 アマナ属 多年草

アマナはスプリング・エフェメラルとして人気の花ですが、
だんだん数が減ってきている植物です。
今年も出会うことができました。


撮影日 2023.3.11: 群馬県

背丈の高い草地には生えないため、春先に草刈りやなどの行われるような、
里山的環境に見られることが多い。

葉の間から15cm程の花茎を立て、その先端に白い花を一つだけ
つける。

花の少し下には一対の苞があり、小さな葉状で緑色をしている。
花は日が照ると開く。(陽が陰ってくると閉じる。)
アマナには 晴れた日には花がよく開くが、曇りの日には閉じてしまう。
陽が陰ってくると閉じてしまうという性質のある花なんです。

アマナはチューリップに近い仲間です。
(花の見かけはごく小さなチューリップそのものという感じ。
以前はTulipa edulisとしてチューリップ属に入れられていました。)
チューリップとの違いは花柄に1対の苞が付いていること。
チューリップの花柄には苞は付いていません。

コメント (1)
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遅ればせながら   ~ 節分草

2023-03-21 05:00:00 | キンポウゲ科

だいぶ暖かくなってもう春ですね。
皆さんいろいろと春の記事を投稿されていますが、
私の方はなかなか…  
出し遅れの記事です。

 

セツブンソウ(節分草)
<学名:Eranthis pinnatifida Maxim.>
キンポウゲ科 セツブンソウ属 多年草


スプリングエフェメラル(春の妖精)と呼ばれ人気のある植物です。

撮影日 2023.3.4: 埼玉県


関東地方以西に分布し、石灰岩地帯を好み落葉樹林内の斜面などに
群生していることが多い多年草。

高さ10cm、地下に球形の球根(塊茎)があり、茎頂に1個、
直径2cmの白い花を咲かせる。

埼玉県秩父には何か所か自生地が知られています。
中でも堂上の自生地は観光バスで大勢の方々が訪れるなど
沢山の花と沢山の人でごった返すほどです。
私はあまり人の来ない自生地で撮っています。



花期は2~3月、1本の花茎を出し細かく切れ込んだ総苞片
(花序全体を包む葉の変形したもの)を開き、
その先に可憐な白い花を1輪咲かせます。
総苞葉は花茎の先端につき、無柄でふぞろいに深裂し、裂片は線形。
花びらに見える部分は萼で通常5枚あります。
本来の花びらは退化して、先端が2又に分かれた黄色い蜜腺
(甘い蜜を出す器官)になっていて、雄しべを囲むようにつきます。

黄色い花弁が小さくなり蜜線に変化したものが、
蕊と共に中央に固まっています。
雄しべの先端に付いている花粉が入った葯は鮮やかな紫色。
面白い造りの花です。

 

地下に球形の塊茎があり、花後、根生葉を出します。

根生葉は5角形で3全裂し、幅3~5cm、側小片は
さらに2深裂して、各小片は羽状に細裂する。

 

可憐な花は人気が高く、現在は、乱獲や自生地の
環境破壊によって希少植物になっている。
環境省レッドリストでは 準 絶 滅 危 惧 (NT)に指定されている。
          準絶滅危惧(現時点の絶滅危険度は小さいが、生育条件の
          変化によっては絶滅危惧に移行する可能性のある種)

 

 

名前は、早春に芽を出し、節分の頃に花を咲かせることから
つきました。が、秩父での最盛期は2月末~3月頭ぐらいです。

通常1つの花茎に1つ花をつけますが、2つ花をつけたもの、
愕の丸いの 尖っているもの 数の変異や 色白のものなど
いろいろと変異も見られることがあります。

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トキリマメ

2023-03-19 05:00:00 | マメ科

トキリマメ(吐切豆)
<学名:Rhynchosia acuminatifolia Makino>
マメ科 タンキリマメ属 つる性多年草


未だ枯野の世界だったんですが道端に何やら赤いものが・・・
 ? 花 ?  新芽 ?   覗いてみると
トキリマメの鞘でした。



撮影日 2023.2.25: 群馬県


宮城県以西~九州の低山の林縁などで見られ、他の植物に巻き付いて
伸びるつる草。
葉は互生で、3小葉。小葉は薄く、先がやや急に細くなって尖る。
葉の中央より基部寄りで葉幅が最も広い。

花期は7~9月、
葉腋に総状花序を付け細長い筒状の形をした黄色い蝶型の花を
密集するよう咲かせる。



豆果はほとんど柄がなく、長さ15~17mm、秋に紅く熟し、
莢の中には楕円形をした黒く光沢のある種子が2個入っていて、
開裂したあとも莢の縁(縫合線)の上にぶら下がってついている。

和名の由来はよくわかっていない。別名、オオバタンキリマメ。
タンキリマメによく似ている。タンキリマメとの違いは、
葉先にかけて細くなるところ。

枯れた葉が付いていました。
丸まった葉を開いてみると・・・

葉の中央より基部寄りで葉幅が最も広く、先が急に細く
尖っているのでトキリマメですね。

タンキリマメは全体に毛が多く、
葉先が尖らず、葉質が厚い。また、最下の萼片が萼筒より長い。
葉裏や萼片に黄色の腺点があり、豆果が赤く熟すのは同じ。

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