サンチュウトリカブトに付いて数度出向いて調査、観察してきましたのでその詳細を記録として載せます。
前記事にも記したのですが
去年の10月遅く長野県からの帰りに県境の南牧村を通ったのですが、
花柄に開出毛腺毛を多く交えるトリカブトを見ました。花はいくつかの残り花が見られるのみで
葉は枯れていて正確な同定はできませんでした。
そこで今年調査に出向き花を見るのを楽しみにしてきました。
そして今年数回、(主に 10/2と10/12中心に)観察に行ってきました。
花柄に開出毛を持つ種類はいくつか知られていますがこのあたりで見られる可能性があると考えられるのは
センウズモドキとサンチュウトリカブトぐらいだと考えられます。
去年観察した時には花弁の舷部があまり膨大していないようだったのでサンチュウトリカブトではないかと
推察して今年、花の時期に詳しく観察してみたのです。
サンチュウトリカブト(山中鳥兜)
<学名:Aconitum ohmorii Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 擬似一年草
ではまず、サンチュウトリカブトに付いてちょこっと解説しておくと、
サンチュウトリカブトは 群馬県自然史博物館の大森威宏氏が発見し、2019年に門田裕一博士が新種として
記載発表されたトリカブトの新種です。
群馬県の"レッドデータブック2022年"で絶滅危惧ⅠB類に指定されています。群馬県上野村の2地点の
石灰岩地のみに分布が確認されているものです。
サンチュウトリカブトはなぜか関係する雑種が多く、花柄の毛は屈毛の混じったものなど良く見かけます。
今回の調査でも何か所かで見かけています。純粋なサンチュウトリカブトは屈毛などが混じらないものですが、
少ないようです。
今回見つけたものは上野村の2地点のものに次ぐ3か所目になるのでしょうか。
サンチュウトリカブトの特徴としては、
① 花柄の開出毛
② 花弁の舷部はあまり膨大していない
③ 葉形-3中~深裂し側裂片は2裂、鋸歯が粗くて浅く、先が丸みを帯びる感じになる。
④ 上萼片の嘴が短い
⑤ 葉柄上部や脈沿いの毛が長い直毛で散生
などがあります。
次回はそんな特徴を紹介していきたいと思っていますが、今回は全体の様子をいくつかご覧ください。
この写真の花や葉の様子がサンチュウトリカブトの特徴を一番表しているように思います。
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トリカブト類は多年草のように毎年生えてきますが、実際には子根を残して親は枯れてしまうという
繁殖サイクルを持っています。このようなものを疑似一年草と呼びます。
他にも、イヌサフラン科のチゴユリやホウチャクソウなども新しい芽を残して親が枯れる疑似一年草に分類されます。
........... ..... ..... 疑似一年草とは ..... ..... ...........
母根は、栄養繁殖体 ( 子根 ) を残して、自身は1年で枯れ
翌年、子根は、親となり新たに子根を残して1年で枯れる。
このように「1年毎に根が更新される」生活史を持つ植物を、
擬似一年草という。 多年草として捉えられることが多い。
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