物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

ユウゲショウ ~形態や名前の由来~

2020-07-30 06:00:00 | アカバナ科

こちらでは基本的な形態や生態、名前の由来などについて載せています。

 

ユウゲショウ(夕化粧)
<学名:Oenothera rosea L'Her. ex Aiton>
アカバナ科 マツヨイグサ属  多年草

 

 

北米南部から南米原産。明治時代に観賞用として移入されたものが
本州の関東地方から西に帰化し野生化している。
道端や空き地でもよく見かける。

茎は叢生し高さ20~60cm
葉は長さ3~5cm、幅1~2cmの披針形~卵状披針形で、互生。
ふちは波打ち、波状の浅い鋸歯がある。

花期は5~9月。上部の葉腋に直径約1cmの淡紅色の花をつける。
花弁はまるくて紅色の脈が目立つ。柱頭は4裂して平開し、
大きくよく目立つ。雄しべは8個で葯は白色。

時に白花が見られます。

隣町でこんな色の花も見かけました。

数年前に我が家の近くで見かけたもの

と同じタイプのようです。

 

 


     ★ 粘着糸 ★


小さい花の中をよく見ると、花粉が納豆のように糸を引いているような
感じに見えます。実際に花粉を指につけると、糸を引いているのが
よく分かります。ネバネバした感じはありません。さらっとしています。

これは「粘着糸」と言うもので,花粉に長い糸状のものがついている
のです。より多くの花粉を運んでもらうため、この糸で花に来た虫に
花粉を絡みつかせようとしている知恵なのです。

拡大してみましょう。

同じ粘着糸をもつものに、同じ仲間のマツヨイグサ類やツツジの仲間が
あります。花粉を観察してみるのも面白いです。

 

 

     ★ 雨滴散布 ★


果実はさく果で、上部が膨らんだこん棒のような形で8稜が目立ち、
断面は八角形。

↑ こん棒状の若い果実が写っています。
熟すと先端から4裂する。雨に濡れると開き、中の種子が
流れていきます。雨滴散布と呼ばれるタイプの散布方法です。
━ 乾燥すると閉じ、濡れるとまた開きます。これを繰り返すことで、
あちこちに種子が運ばれていきます。 ━
フデリンドウなども「雨滴散布」をする 植物で果実は日射しがある時
(乾燥している時)には閉じていて、水(雨)に濡れると開き、
雨水を利用して種子を散布するのです。

雨滴散布の記事  ◎

日射しを独占できる春に花を咲かせ、梅雨時の雨を利用して種子を散布する
自力で動くことのできない植物の良く出来た仕組みに今更ながら驚かされます。

 

 

     ★ 名の由来 ★

ユウゲショウという和名の由来は、「夕方、化粧したように咲く花」
ということです。午後遅くに開花して、艶っぽい花色を持つことから
とされます。実際には昼間でも開花した花を見られます。

{昼間から咲いている個体がほとんどで、夕方になるとしぼんでしまうもの
さえあるのです。マツヨイグサ属が総じて夜咲きであることや、帰化する
段階で花が昼咲きに変化したことによる説もありますが、いずれも推測の
域を出ていません。} 

とも出ていました。

 

一秋の勤める会社の駐車場にも生えているのですが朝の出社時(7:30頃)には
綺麗に咲いていますが、

帰り(19:00頃)には開いていません。

夕方というより夜の開花ですね。



開花時間を調べてみるのも面白そうですね。

   ━ 別名:アカバナユウゲショウ ━
別の科の花にオシロイバナ(白粉花)があり、夕方から開花するため
その花の別名がユウゲショウ(夕化粧)と呼ばれます。
オシロイバナの夕化粧と区別するために、
アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)
とも呼ばれるようになりました。

 

こちらの記事もどうぞ

ユウゲショウ ~帰化植物として~   ⇒ ◎

 

 


キハギ  ~2020~

2020-07-25 08:06:39 | 

この前の日曜日地元の山に観察に出かけました。
萩が咲きだしていたのを見て萩の花撮りに目的変更しました。

まずは盛りだったキハギから

撮影日 2020.07.19: 群馬県
色のコントラストがハッキリしていて綺麗な萩です。

 

キハギ(木萩)
<学名:Lespedeza buergeri Miq.>
マメ科 ハギ属 落葉低木

 

 

 



東北地方から北陸地方にかけての日本海側を除く本州、四国、九州の
丘陵地帯から山地帯下部に分布。中国にも分布しているとのことです。

樹高1~3m。半日陰の林の中や、尾根筋(すじ)の岩の上などに普通に
みられる。幹は灰褐色、樹皮が浅く縦に裂ける。枝には微毛が密生する。

枝はやや水平に広がり、多少ジグザグになる。



葉は3出複葉で互生。
小葉は長さ2~4㎝の長卵形~長楕円形、先は尖り、
柄があり、やや白味を帯びる。

葉の表側は無毛で濃緑色。
葉裏は灰緑色で毛が生えています。
葉縁は全縁、波打つ。先端は尖鋭頭。

 


花期6月~9月、花は長さ2~7㎝の総状花序につき、
淡黄白色の蝶形花で他の種よりやや小型で長さ7~8mm。

旗弁は淡黄白色で、基部に紫色の斑がある。
翼弁は紫紅色、竜骨弁は黄白色。耳状突起はよく発達する。

淡黄白色の花で、旗弁の中央部と翼弁が紫紅色をしています。
色のコントラストがハッキリしてとても綺麗です。

萼裂片の先端は鈍形または鋭形であるが、鋭尖形とはならない。
つまりは尖がらないということ。


果実は長楕円形で、長さ約1.5㎝、毛が散生し、先は尖り、
1種子が入る。
種子は長さ(乾いた状態)3.5~4㎜の扁平な惰円形。

和名の由来は萩類の中では最もよく木質化して木立になることからです。
黄萩ではなく木萩か樹萩なんです。

 

 

過去記事もご覧ください。

    , 


ヤマホタルブクロ   ~2020~

2020-07-14 07:00:00 | キキョウ科

ヤマホタルブクロ(山蛍袋) 
<学名:Campanula punctata Lam. 
            var. hondoensis (Kitam.) Ohwi>
 キキョウ科 ホタルブクロ属 多年草

 

 

一秋の地元の山ではホタルブクロはたくさん生えています。
いたるところでヤマホタルブクロも見られます。

撮影日 2020.06.20: 群馬県


東北地方南部から近畿地方の東部にかけて分布する ホタルブクロの
日本固有の変種。

山地から亜高山帯の日当たりのよい草原や林縁などでに 広く分布する。

初夏から夏の前半にかけて釣り鐘形の花を多数咲かせます。

細い地下茎を伸ばしてふえ、開花した株はタネと多数の 子株を残して枯れます。
子株は1~2年で花を咲かせます。

萼片の湾入部に反り返った付属体がないことが特徴です。

ホタルブクロではがくとがくの間に上にそっくり返った 部分がありますが、
ヤマホタルブクロは萼片の湾入部に 付属体のない変種です。


ホタルブクロ ~2020~

2020-07-14 06:00:00 | キキョウ科

ホタルブクロ(蛍袋) 
<学名:Campanula punctata Lam.> キキョウ科
ホタルブクロ属 多年草


北海道西南部から九州にかけてのやや乾燥した草原や道ばたなどで
よく見られる高さ30cmくらいの多年草。 
全体有毛(茎には粗い開出毛がある。)で匍匐枝を出して増え、
そこから茎を直立させて株が広がっていきます。

撮影日 2020.06.20: 群馬県

根生葉は長い柄があり、卵心形で花期には枯れる。 茎葉は互生し、
長さ5~8cm、幅1.5~4cmの三角状卵形または 披針形でふぞろいの鋸歯がある。

花期6~7月。初夏に花茎を延ばし数個の釣り鐘型の花を 穂状につける。
花は柄があって、うつむいて咲く。

花冠は淡紅紫色または白色で濃色の斑点があり、 先は浅く5裂する。
花色には変化があり、赤紫のものと白とがあって、関東では 赤紫が、
関西では白が多いといわれています。 
萼と萼との間にある付属体が反り返っているのが特徴。

〔 萼片の湾入部(萼と萼との間)には反り返った部分 (付属体)がある。 〕

近畿以東の山地には萼片の湾入部に付属体のない ヤマホタルブクロという
変種がある。

 


山間部では人里にも出現する野生植物であるが、 美しいので山野草として
栽培されることも多い。 暑さには弱い一方、日陰でもよく育つ。
トーローバナ、チョウチンバナ、チョウチン、フクロバナ、 ツリガネソウ
などの別名があります。

 



和名の語源には、以下の2つの説があります。

① 子どもがホタルブクロの袋のような花にホタルを入れて   遊んだことに
  由来する。 

② 火垂る(ほたる)が語源という説   ホタルブクロの花が手に持つ提灯に
  似ていることから、  「火垂る袋」と呼ばれるようになった。 


≪虫の蛍も、「火垂る」が語源ではないかと言われている。≫


クモキリソウ

2020-07-11 11:00:00 | ラン科

クモキリソウ(蜘蛛切草、蜘蛛散草、雲霧草)
<学名:Liparis kumokiri F.Maek.>
ラン科 クモキリソウ属 多年草

 

 

北海道~九州、琉球までの日本各地に分布し、
平地から亜高山帯までの疎林下などやや湿ったような所にに生育する。
ネジバナが野原などでの身近な蘭なら林の中などではクモキリソウが
最も身近な蘭といえます。



撮影日 2020.06.5: 群馬県

肥大した卵形の偽球茎から茎を出し基部に普通2枚が相対してつく。
長さ5-12cm、幅2.5~5cmの卵状楕円形で、先端は鈍頭で、縁は縮れる。 

花期は6~8月。高さ10~20cmの直立した花茎の先端に5~15の花を総状につける。
下方から開花し、花色は淡緑色ときに淡紫褐色、黒褐色と変異がある。
苞は小さく長さ1~1.5mmの卵状3角形。萼片は長さ6~7mmになる狭長楕円形で細い。
側花弁は長さ6~7mmになる狭線形で、虫の足に似る。唇弁はくさび状倒卵形で、
長さ5-6mmあり、直角に反り返る。蕊柱は長さ3mmになり、上端に狭い翼がある。

雲霧草と雲の字が当てられているが、花の姿が蜘蛛に似ているからという説もある。
蜘蛛の子を散らしたように見えるので、蜘蛛散り草が訛ったとか、
霧のかかる所に生えるから雲霧草などの諸説がある。