物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

ヤナギラン

2022-08-15 17:00:00 | アカバナ科

ヤナギラン(柳蘭)
<学名:Chamerion angustifolium (L.) Holub>
アカバナ科 ヤナギラン属 多年草

 

 

夏の高原を代表する紅色の綺麗な花の群落です。

撮影日 2022.07.23 : 長野県


本州中部以北、北海道の亜高山帯から山地帯の草地や礫地に
分布する。森林の伐採跡地や林道沿いの湿った草地などに
群落をつくっていることが多い。

高さ0.5~1.5 mで、ほとんど枝分れせずまっすぐ上に伸びる。

葉は互生し、長さ5~18㎝の披針形、ヤナギに似た細い葉で
細かな鋸歯がある。

花期は7~9月。茎頂の総状花序に濃紫色の花を下から順に咲かせる。



長さ1-1.5 cmの花弁は4個で、雄しべは8個、
花は下から上に順次咲き、雄しべだけの花が先に開き、
後から雌しべの先が十字に開いて雄しべの花粉を受粉する雄性先熟。

蜂や蝶に人気の花でした。

花を横から見ると花柄と花の間に棒状の部分が見られます。
ここが実になる所で子房と呼ばれます。
アカバナ科は花の下に子房が見られる『子房下位』が特徴です。
花が散って棒状の子房だけになってやがて中から綿毛の付いた小さい種が
風に乗って旅立って行きます。

 



何年か前の秋に撮った実の画像をご覧ください。

果実は細長く、白い綿毛を付けた種子を飛び散らせます。

下の方の実は裂けて綿毛の付いた小さい種が飛び立とうとしています。

 


和名の由来は、ヤナギ(柳)に似ている細長い葉をしていて花が美しく
ラン(蘭)の花を思わせるのでヤナギランと呼ばれます。
柳の仲間でも蘭の仲間でもなくアカバナ科です。(マツヨイグサの仲間に近いものです。)


ユウゲショウ ~形態や名前の由来~

2020-07-30 06:00:00 | アカバナ科

こちらでは基本的な形態や生態、名前の由来などについて載せています。

 

ユウゲショウ(夕化粧)
<学名:Oenothera rosea L'Her. ex Aiton>
アカバナ科 マツヨイグサ属  多年草

 

 

北米南部から南米原産。明治時代に観賞用として移入されたものが
本州の関東地方から西に帰化し野生化している。
道端や空き地でもよく見かける。

茎は叢生し高さ20~60cm
葉は長さ3~5cm、幅1~2cmの披針形~卵状披針形で、互生。
ふちは波打ち、波状の浅い鋸歯がある。

花期は5~9月。上部の葉腋に直径約1cmの淡紅色の花をつける。
花弁はまるくて紅色の脈が目立つ。柱頭は4裂して平開し、
大きくよく目立つ。雄しべは8個で葯は白色。

時に白花が見られます。

隣町でこんな色の花も見かけました。

数年前に我が家の近くで見かけたもの

と同じタイプのようです。

 

 


     ★ 粘着糸 ★


小さい花の中をよく見ると、花粉が納豆のように糸を引いているような
感じに見えます。実際に花粉を指につけると、糸を引いているのが
よく分かります。ネバネバした感じはありません。さらっとしています。

これは「粘着糸」と言うもので,花粉に長い糸状のものがついている
のです。より多くの花粉を運んでもらうため、この糸で花に来た虫に
花粉を絡みつかせようとしている知恵なのです。

拡大してみましょう。

同じ粘着糸をもつものに、同じ仲間のマツヨイグサ類やツツジの仲間が
あります。花粉を観察してみるのも面白いです。

 

 

     ★ 雨滴散布 ★


果実はさく果で、上部が膨らんだこん棒のような形で8稜が目立ち、
断面は八角形。

↑ こん棒状の若い果実が写っています。
熟すと先端から4裂する。雨に濡れると開き、中の種子が
流れていきます。雨滴散布と呼ばれるタイプの散布方法です。
━ 乾燥すると閉じ、濡れるとまた開きます。これを繰り返すことで、
あちこちに種子が運ばれていきます。 ━
フデリンドウなども「雨滴散布」をする 植物で果実は日射しがある時
(乾燥している時)には閉じていて、水(雨)に濡れると開き、
雨水を利用して種子を散布するのです。

雨滴散布の記事  ◎

日射しを独占できる春に花を咲かせ、梅雨時の雨を利用して種子を散布する
自力で動くことのできない植物の良く出来た仕組みに今更ながら驚かされます。

 

 

     ★ 名の由来 ★

ユウゲショウという和名の由来は、「夕方、化粧したように咲く花」
ということです。午後遅くに開花して、艶っぽい花色を持つことから
とされます。実際には昼間でも開花した花を見られます。

{昼間から咲いている個体がほとんどで、夕方になるとしぼんでしまうもの
さえあるのです。マツヨイグサ属が総じて夜咲きであることや、帰化する
段階で花が昼咲きに変化したことによる説もありますが、いずれも推測の
域を出ていません。} 

とも出ていました。

 

一秋の勤める会社の駐車場にも生えているのですが朝の出社時(7:30頃)には
綺麗に咲いていますが、

帰り(19:00頃)には開いていません。

夕方というより夜の開花ですね。



開花時間を調べてみるのも面白そうですね。

   ━ 別名:アカバナユウゲショウ ━
別の科の花にオシロイバナ(白粉花)があり、夕方から開花するため
その花の別名がユウゲショウ(夕化粧)と呼ばれます。
オシロイバナの夕化粧と区別するために、
アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)
とも呼ばれるようになりました。

 

こちらの記事もどうぞ

ユウゲショウ ~帰化植物として~   ⇒ ◎

 

 


ヤナギラン ~2018~

2018-08-20 18:00:00 | アカバナ科
ヤナギラン(柳蘭)
<学名:Chamerion angustifolium (L.) Holub>
アカバナ科 ヤナギラン属 多年草

過去記事  ◎ 

雑草日記の方でマツヨイグサの仲間をいくつか取り上げていました。
同じアカバナ科に夏の高原に咲く綺麗な花"ヤナギラン"があるのを
思い出して見に行ってみようと出かけました。

撮影日 2018.07.15: 群馬県
もうほとんどが終わりかけで、残花が少しだけ見られました。
 
 
 


 

 
花を横から見ると花柄と花の間に棒状の部分が見られます。
ここが実になる所で子房と呼ばれます。
アカバナ科は花の下に子房が見られる『子房下位』が特徴です。
 

花が散って棒状の子房だけになって
 
やがて中から綿毛の付いた小さい種が風に乗って旅立って行きます。
 



ヤナギラン~季節外れの花便りその⑫~実と種

2017-12-14 06:00:00 | アカバナ科
ヤナギラン(柳蘭)
<学名:Chamerion angustifolium (L.) Holub>
アカバナ科 ヤナギラン属 多年草
 
 
 
 

夏に記事にしたヤナギラン

夏の高原で紅色の綺麗な花が目立ちます。
撮影日 2017.08.06: 群馬県
花の元の棒状のものが果実です。
 
 
 
 
 
 

ハンゴンソウの黄色い花と並んで種ができていました。

撮影日 2017.08.27: 長野県
細長い果実が割れて白い糸状の毛のついた種が出てきます。
タネは白い糸状のもので、風に乗って飛散する。



ヤナギラン

2017-08-08 22:00:00 | アカバナ科
 
ヤナギラン(柳蘭)
<学名:Chamerion angustifolium (L.) Holub>
アカバナ科 ヤナギラン属 多年草







群落になっていることが多いです。
撮影日 2017.08.6: 群馬県

本州中部以北、北海道の亜高山帯から山地帯の草地や礫地に
分布する。森林の伐採跡地・林道沿いの湿った草地などに
群落をつくることが多い。

 
やや薄い緑色または薄紅紫色を帯びた茎は高さ0.5-1.5 mで、
ほとんど枝分れせずまっすぐ上に伸びる。葉は互生。
 
 
 
花期は7-9月。茎頂に総状花序を形成する。濃紫色の花が
下から順に咲く。


長さ1-1.5 cmの花弁は4個で、雄しべは8個、
花は下から上に順次咲き、雄しべだけの花が先に開き、
後から雌しべの先が十字に開いて雄しべの花粉を受粉する雄性先熟。
 
 
 
 
 

果実は細長く、白い綿毛を付けた種子を飛び散らせる。
 
和名の由来は、葉が柳に似ていて、花を蘭にたとえたもので
ラン科ではありません。