物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

トリカブトの勉強  その5

2022-09-20 05:00:00 | キンポウゲ科

今回は花柄に開出毛の有るトリカブト 「センウズモドキ」 です。


影日 2022.9.17: 群馬県(榛名山)

 

センウズモドキ(川烏頭擬)
<学名:Aconitum jaluense Kom. subsp. iwatekense (Nakai) Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草

 

 


多年草のなかの疑似一年草に分類されます。
地下に紡錘状にふくらんだ塊根があり、1本の茎が出る。

...........  ..... .....   疑似一年草とは   .....  .....  ...........
 母根は、栄養繁殖体 ( 子根 ) を残して、自身は1年で枯れ
翌年、子根は、親となり新たに子根を残して1年で枯れる。
このように「1年毎に根が更新される」生活史を持つ植物を、
擬似一年草という。 多年草として捉えられることが多い。
..............................................................................

何か所かあるセンウズモドキの見られる場所のうち、一か所に
通信施設ができるとかでトリカブトの自生している所をつぶして
道が作られていました。
掘り起こされて根が出ているものがあったので塊根の観察をしました。

右の茶色の濃い方が母根  左の白い方が子根ですね。


高さ0.8~1.8m、直立し、あまり分枝しないで上部は垂れる。

中間部の葉は3深裂し、側裂片はさらに2深裂して粗い鋸歯がある。
葉身は草質で光沢がなく、葉裏脈上や柄には屈毛がある。


花期は8~10月。花序は総状から散房状になり、上部から下部に向かって
開花する。

花はやや小ぶりで淡青紫色のものが多くしばしば赤紫色に
なります。花の外面には開出毛と腺毛が混じる。




雄ずいと雌ずいには毛がある。

花弁は上萼片の中にかくれて見えないが、柄、舷部、蜜を
分泌する距、唇部で構成される。1対あり、柄は長さ10-16mm、
舷部は幅3-6mmあってふくらみ、距は長く屈曲する。

前出のサンヨウブシの花弁は舷部があまり膨らみません。

 群馬県で観察したサンヨウブシ

 長野県で観察したサンヨウブシ

比較してみました。センウズモドキは出っ張りが大きいです。

花柄には開出毛に腺毛が混ざり、時に屈毛も見られます。



トリカブトの勉強  その4

2022-09-19 05:00:00 | キンポウゲ科


今回も花柄無毛のトリカブト「サンヨウブシ」をご覧ください。
一秋の地元で見られるサンヨウブシです。
花の色の変異が見られます。


サンヨウブシ(山陽附子)
<学名:Aconitum sanyoense Nakai>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草



撮影日: 群馬県








花柄には毛が生えていません。

花を分解してみました。

花弁の様子。(次回センウズモドキを取り上げる予定でその時に
花弁を比較をしてみます。)
雄蕊も無毛です。心皮にも毛がなく果実は無毛です。


トリカブトの勉強  その3

2022-09-15 21:00:00 | キンポウゲ科


撮影日 2022.09.04: 長野県

今回も花柄無毛のトリカブトを紹介します。

前掲のハクバブシと同じく花柄が無毛なんです。
ではどうやって識別するか。
他の部分、今回は葉で区別します。

 

ほとんどのトリカブトでは切れ込みが深いのですが

サンヨウブシは切れ込みが深くありません。ハクバブシと葉の比較をしてみると違いがはっきりしています。

切れ込みが浅いのが分かるかと思います。

 

 

サンヨウブシ(山陽附子)
<学名:Aconitum sanyoense Nakai>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草


関東地方以西の本州、四国の湿った温帯林内に生え全体が大きく
高さは、50㎝~1.5m程度だが、時に2mに達するトリカブト。


葉も大きな円腎形で厚く、5~7中裂する。裂片は浅裂し荒い鋸歯がある。


花期は8-10月。総状またはやや円錐状の花序をつけ、4cm内外の青紫色の
花を咲かせる。


上萼片のくちぱしは長く、花柄と雄しべは無毛。


ちなみに本種は無毒といわれている。


トリカブトの勉強  その2

2022-09-15 07:00:00 | キンポウゲ科

・・・ トリカブトの見分け方 ・・・


先ず花柄の毛の状態を確認します。それだけで名前が特定できるわけではありませんが
手がかりの第一歩です。
雨や露で濡れていると困難なこともあります。肉眼ではよく分かりませんので
ルーペとかを利用します。
写真で拡大するとわかりやすいです。まずは大きく3つに分けられます。
{ 無毛 ・ 屈毛 ・ 開出毛 } の3種類です。

 

まずは、花柄無毛のものを1つ紹介します。
上越国境の山々に分布するハクバブシです。



ハクバブシ(白馬附子)
<学名:Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot subsp. kishidae (Nakai) Kadota>
キンポウゲ科 トリカブト属 多年草



撮影日 2022.9.10: 群馬県

タカネトリカブトの亜種で花柄に毛のないトリカブト。
白馬岳や谷川連峰、上越国境の山々、苗場山などの山地~亜高山帯の草原などに
生えるトリカブトで、基準標本が採集されたのは白馬岳だそうですが、近年
白馬岳では本種は見つかっていないそうです。

高さ1m前後




中部の葉は幅10~14cm、3中裂~3深裂し側裂片は2中裂する。



葉を調べるときは元の方と中部、先端で形状が異なるので注意が必要です。

 



葉の毛の状態




花は散房状に付き、3.5~4cmとやや小型

花柄は無毛

上萼片(かぶと)は僧帽状。







雄蕊と雌蕊(心皮)には、毛が密生または散生する。

ちょっと濡れていたので分かり難いかもしれませんが、雄蕊に毛が生えています。


若い果実

毛が生えていますね。雌蕊に毛が生えていた名残りです。


トリカブトの勉強  その1

2022-09-12 05:00:00 | キンポウゲ科

秋の代表的な花の一つ、トリカブト はたくさんの似た種類がありなかなか難しいものです。
「分かりません。」ですましていましたが多少でもわかるように勉強たいと思います。


まずは、図鑑やHPでチェックしてみました。
色々な方がネット上にトリカブトをアップしていますが沢山の種類を撮っているぞ、とか、
こんな珍しい種類を載せています。とかの自慢ばかりのところもありますが、
私が参考にしている所を紹介します。トリカブトの分類の方法を詳しく参考となるところです。

◎野山の花たち -東北と関東甲信越の花-
http://hanatachi.sakura.ne.jp/pl1a/kinpouge/kinpouge_ap3.html#torikabuto
◎植物検索システム・撮れたてドットコム
http://www.plantsindex.com/plantsindex/demo_html/column/aconitum.htm

 

分類するためには花の構造などを知っていないといけません。
というわけで   今回は トリカブト の花のつくりに付いて勉強してみました。
知識は図鑑などの本などで得られますが1番は実物をしっかり観察することだと思います。

ということで分解してみました。

紫色の花弁のように見えるものは実は花びらではありません。
がくなのです。

上の帽子のようなのが頂がく片 横の2枚が側がく片 下に出ている2枚が下がく片 といいます。
頂がく片はヘルメットとも呼ばれます。

変わった形の花弁は距がくるっと丸まった形でかぶとの中に入っています。

距の中に蜜が入っているので蜜弁とも呼ばれるんだそうです。
かぶとや花弁の形も分類のポイントになるそうです。

花柄の毛の状態も良く観察しておかないといけないようです。

今回花を分解してみて気づいたことがあります。
雄しべ

曲がって収まっているようですが、花粉を出す頃には伸びて真っ直ぐになり
役目を終わるとまたくるっと後に丸まるみたいです。面白いものですね。

雄しべを除くと中の雌しべが見えてきます。