物臭狸の『花日記』

YAHOOから引っ越してきました。
色々な植物たちを紹介しています。

ニガイチゴ  ~2018~

2018-06-29 11:00:00 | バラ科
ニガイチゴ(苦苺)
<学名:Rubus microphyllus L.f.>
バラ科 キイチゴ属 落葉低木 




      ⇒          ⇒  

本州、九州、四国に分布。林道沿いなど山野の林縁や、
日当たりの良い荒地に自生する。森林内よりも攪乱
されたところによく出現する。道ばたに出ることも多い。
森林を伐採するとモミジイチゴやクマイチゴと共に
伐採跡に茨の藪を形成することがあるが、それらよりは
小柄で大きな藪は作らない。
茎は少し白粉を持ち、棘が多い。高さ1.5m程になり
やや立ち上がり、よく分枝して先端はしだれる。
地下の根は横に這い、あちこちから茎を立てて、
ちょっとした藪を作ることが多い。

撮影日 2018.04.17: 群馬県
葉は単葉で浅く3裂する。葉は卵形で、基部は切形
または心形、先端は円頭または鋭頭。
ときに大きく3裂し、縁には細かい鋸歯がある。
葉はやや硬く、葉脈でくぼんでいるのでしわに見え、
表面には少し光沢がある。
葉裏は粉白色。刺は葉柄や葉裏の葉脈上にもでる。
葉柄は赤色を帯び、刺がある。托葉は長さ約5㎜の線形。

花は短い枝の上につく。この枝には小さい葉がついており
花は白色の5弁花、直径2~2.5㎝。

花弁は細く、花弁の間の隙間が目立つ。

萼片は5個、先が鋭く尖り、綿毛がある。



6~7月ごろには赤い実が成り食べられます。

撮影日 2018.06.24: 群馬県
果実はいくらかオレンジ色を帯びたような紅色です。
今年はあまり実に出会いがなく良い写真がありませんので
↑のリンクで過去記事をご覧ください。


小核に少し苦味が有るので『ニガイチゴ』と呼ばれます。
甘くておいしいのだが食べた後味に苦味が残るものがある。
が、さほど苦にはならないと思うが・・・

苺が5月に赤くなることから別名ゴガツイチゴ(5月苺)とも呼ばれる。



ナワシロイチゴ  ~2018~

2018-06-28 11:00:00 | バラ科
ナワシロイチゴ(苗代苺)
<学名:Rubus parvifolius L.
バラ科 キイチゴ属 落葉低木


              


日本全国に分布する蔓性の落葉低木。
畑地や道路脇の石垣や小川の岸辺など日当たりの良い傾斜地に
垂れ下がって生育していることが多い。
茎は軟毛が密生し下向きの刺があり木質化するが、立ち上がらず、
他の草の上に覆い被さるように育ち、その茎から出る枝は
短く立ち上がる。

撮影日 2018.6.24: 群馬県
匍匐性の地上茎を伸ばして、その先端部で接地した場所で、ラミートと呼ばれる子株を形成します。匍匐性の地上茎は、二年目に開花・結実し、その後枯死します。その結果、子株は、自動的に母株から分離され独立します。したがって、ナワシロイチゴは、モミジイチゴなどの「地下分枝型」キイチゴ類のクローン成長とは異なり、独立した子個体を形成することから「栄養繁殖(無性繁殖)」を行っていると見なすことができます。親株はもとより、新たに形成された子株からも毎年、地上茎を伸ばし成長することから、空いた空間であれば占有し、その株数を急速に増大させることが出来ます。さらに、他の植生が存在する場合でも、地上茎の蔓性植物として、他の植物に乗りあがり、被圧を回避することも出来ます。こうしたキイチゴ類は「布石型」キイチゴと呼ばれ、その移動性は、植物は移動しないものという概念を打ち破るもので、ナワシロイチゴの場合、条件さえ良ければ、年に3mほどの地上茎を伸ばすことができ、その先に新たな子株を形成することが出来ます。「布石型」キイチゴ類としては、フユイチゴ類をはじめ、ゴヨウイチゴサナギイチゴキビナワシロイチゴなどがあります。ブラックベリー(セイヨウヤブイチゴ)もその一つです。
落葉性の葉は互生、長さ8〜14cmの3出、まれに5小葉からなる
奇数羽状複葉。小葉の葉先は丸く、あらい二重の鋸歯がある。
葉の表は明るい黄緑で、葉脈がくぼむのでしわがあるように見える。
葉裏は白い綿毛を密生する。
真夏の日射が強いときには葉を丸め、裏面の白さが目立つようになる。
夏の日射しを避けているようである。

頂小葉は長さ3〜5cmの菱形状倒卵形。先はまるく、縁には欠刻状の
重鋸歯がある。葉柄は長さ3〜5cm。葉柄と葉軸には軟毛と小さな刺が
ある。托葉は長さ約5mm。

花期5〜6月、短く立ち上がる枝の先に散房状に上向きにつく。

花は赤っぽい紫だが花弁が小さいので目立たない。

5枚の花弁は雄しべに寄り添い包んだまま開かない。
花を分解してみると、たくさんの花柱が束になっていて、
基部が合着した雄しべが周囲を取り巻いている。
その基部には蜜が分泌されている

ナワシロイチゴは、花弁が開かず、もっぱら花弁の裏側でのみ、訪花昆虫を誘引します。エビガライチゴやミヤマウラジロイチゴなどでも見られ受粉効率が下がるといったことはないようです。さらにご丁寧にも、受粉後にガク片が閉じ、果実の成長と共に開いて行きます。もちろん、これは果実の成長過程を昆虫類の被食から守るための手段と考えられます。

果実は集合果。直径約1.5cmの球形で、6月頃に橙色から暗紅色に
熟し、食べられる。
生食には向かないが、砂糖を加えてジャムにすると美味。
⦅果実は美味く、酸っぱみもあり、ジャムの材料としては打って付けのものです。⦆

果実の写真は↑の実のリンク開いて見てください。


核は長さ約1.5mm、表面に網状のしわがある。



ちょうどイネの種を蒔く「苗代」を作る頃に赤い実が熟すことから、
苗代苺の名が付いた。
別名アシクダシ、サツキイチゴ、ワセイチゴ、サオトメイチゴ、
ウシイチゴなどがある。




ミヤマタムラソウ

2018-06-26 18:00:00 | シソ科
ミヤマタムラソウ(深山田村草)
<学名:Salvia lutescens (Koidz.) Koidz.
              var. crenata (Makino) Murata>
シソ科 アキギリ属 多年草
 
 
 
 

中部地方以北に分布し、深山の半日陰に生える多年草。
茎は直立し、高さ25~50cmになり、茎の切り口は四角形で
シソ科の特徴を示す。
(学名で分かるように Salvia:サルビアの仲間です。)
撮影日 2018.06.24: 群馬県
葉は対生で、1~2回の羽状複葉。
 
 
小葉は倒卵形で縁には鋸歯がある。裂片はやや丸みを帯びる。
葉柄の基部に開出毛がある。
 
 
花期6~8月、茎の先端に穂状の花序をつける。
花序の柄の節ごとに輪生状に唇形の花がつく。
花は淡紫色で花冠は長い毛が生える。
茎の先端の穂状花序に、長さ1㎝ほどの淡青紫色~白色の
唇形花を咲かせる。
 
 
長い雄しべが2個あり、花冠の外へ
突き出ている。
 
 
花冠の外面に軟毛が目立つことからケナツノタムラソウ
毛夏の田村草)の別名がある。

ミヤマタムラソウはアキノタムラソウに似ているが、雄しべが長く花の中央に突き出すようになる。
(アキノタムラソウは雄しべが花冠の外に出ることはない。)
変種のナツノタムラソウもミヤマタムラソウと同じ特徴をもつが、ナツノタムラソウは太平洋側の山地に生え、花の色は濃紫色で花冠外側に毛は少ない。
 
基本種のウスギタムラソウは、鈴鹿山脈特産で花が淡黄色。深山でアキノタムラソウより少し早く咲き始める。



コヒルガオ ~2018~

2018-06-26 08:00:00 | ヒルガオ科
コヒルガオ(小昼顔)
<学名:Calystegia hederacea Wall.>
ヒルガオ科 ヒルガオ属 蔓性の多年草





撮影日 2018.06.24: 群馬県
本州〜九州の日当たりのよい草地や道ばたにふつうに生える蔓性の多年草。
地中に白色の地下径を伸ばして増え、蔓はほかのものにからみついて伸びる。
たくさん花が咲く割には種ができることが少なく、
地下茎があちこちに
伸びて、途中から新しい芽を出して増える栄養繁殖をしている。

葉は互生し、長さ3〜7cmのほこ形で基部が耳のように横に張りだす。
この張りだした部分が2裂するものが多い。葉先は普通、鋭頭。
 

ヒルガオの葉はほこ形から矢じり形、コヒルガオの葉はほこ形で、
左右に張り出す側裂片がとがり気味になるのが特徴とされていますが、
葉の形はかなり変化に富んでいて、葉の形では両種を区別することは
できません。あくまでそのような傾向がある、だけです。


花期は6〜8月。
葉腋から長さ2〜5cmの花柄をだし、淡紅色の花を1個つける。
花は小形のロート形。花冠は直径3~4㎝、五角状になることが多い。
萼は5裂し、大きな苞に包まれている。ふつう結実しない。
蕾は螺旋形に巻いている。


花柄の上部には縮れた狭い翼があるのが特徴。
花は早朝、夜明けとともに開花し、夕方には花の命を終えてしまう
一日花である。


毎日、次から次へと花が咲くので、同じ花が咲いているように見えるが、
花の命はたった一日限りである







朝咲く朝顔に対して、昼にも咲いているので昼顔の名がある。
小昼顔の名は昼顔より全体が小型であることに由来する。
何故か「雨降り花」と言った、雨と絡めた地方名が多い。


昼顔/小昼顔の識別について

よく似たヒルガオとの識別については こちらで ⇒ 


両種を確実に区別できる決定打があります。それは花柄です。
花の首の部分を見てください。
ヒルガオの花柄はつるっとしていますが、コヒルガオの花柄には
必ず縮れが出ます。ここが両種を区別する、確実な相違点です。


苞の形も大事です。

ヒルガオの苞の先端は丸みがあるかへこみます。
(時に三角形にとがるものもあるので、苞の部分はあくまで目安です。)
コヒルガオの苞は、先端が三角形にとがるのが普通です。


ヒルガオは花冠の直径が5~6㎝と大きく、葉の先が鈍頭、
葉の基部が下側方へ張り出し、苞が大きく、鈍頭、葉柄に翼がない。
ただし、中間的なものも多く、アイノコヒルガオという雑種もある。

アイノコヒルガオは未だ見たことがありません。いつかで会ってみたいですね。
昼顔はよく見かけます。機会があれば記事にしてみます。