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Howard, "The Means to Attain a Happy Life"

ヘンリー・ハワード、サリー伯
「幸せな暮らしに必要なもの」

マルティアリス、幸せな暮らしに
必要なのは次のようなものじゃないかな。
親からの財産、働いて手に入れたものでなく。
豊かな土地、落ちついた心。

同じ階級の友がいて、怨みや争いがないこと。
支配や統治の重責がないこと。
病がなく健康なこと。
同じところに住み続けること。

ほどほどの食事で贅沢しないこと。
賢く素朴に考えること。
夜に心配ごとなく、寛げること、
ワインを飲みすぎないですむように。

妻が浮気をしないこと、やかましくないこと。
寝ていることを忘れるくらいぐっすり眠れること。
自分の暮らしに満足していること。
死を望まず、また恐れないこと。

*****
Henry Howard, Earl of Surrey
"The Means to Attain a Happy Life"

MARTIAL, the things that do attain
The happy life, be these, I find:
The riches left, not got with pain;
The fruitful ground, the quiet mind:

The equal friend, no grudge, no strife;
No charge of rule, nor governance;
Without disease, the healthful life;
The household of continuance:

The mean diet, no delicate fare;
True wisdom join'd with simpleness;
The night discharged of all care,
Where wine the wit may not oppress:

The faithful wife, without debate;
Such sleeps as may beguile the night.
Contented with thine own estate;
Ne wish for Death, ne fear his might.

http://www.luminarium.org/renlit/martial.htm

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マルティアリス、エピグラム10.47の翻訳
Martial, Epigram 10.47

Tottel's Miscellany (1557) に所収。
ここからマルティアリスの翻訳・翻案がはじまった。

ホラティウスのエポード2からのフレーズで知られる
「幸せな人」(Beatus ille: ベアトゥス・イッレ)の
主題を広めた作品のひとつ。翻訳としては
このエポードよりも先に。

死の恐怖のところはルクレティウスとも関連。

16世紀から18世紀まで、この主題を扱う詩が
本当に多い。天国における死後の幸せを生きる
目標とするキリスト教に対し、この世の幸せを
正当化する思想として刺激的・現実的・理知的な
ものとしてとらえられたのだろう。

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キーワード:
幸せな人 beatus ille
隠遁 retirement
心の安定 ataraxia
満ち足りたくらし content
死の恐怖 the fear of death
古典 classics
ホラティウス Horace
ルクレティウス Lucretius

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