goo

Jonson, "To Celia" ("Come, my Celia, let us prove")

ベン・ジョンソン
「歌--シーリアに--」

シーリア、さあ、しましょう、
できるあいだに、楽しい愛のお遊びを。
〈時〉はずっとぼくたちの味方、ではありません。
時間がたてば、いずれ、ぼくたちの気持ちも離れてしまいます。
だから、〈時〉の贈りものは、大切にしないといけません。
太陽は、沈んでも、またのぼります。
でも、ぼくたちがこの命の明かりをなくしたら、
その後はずっと夜なんです。
楽しみやよろこびを先送りしてたら、ダメではありませんか?
評判や噂なんて、気にすることはありません。
だませばいいんです、
家にいる二、三人のスパイの目なんて、
それから、君の旦那の耳もです。かんたんですよ、
うまくあざむいて、もうずっと遠くにいますから。
愛の果実を盗むこと、これは罪ではありません。
この甘い窃盗行為が表に出たら、それが罪になるんです。
つかまった、見つかってしまった--
罰せられるのは、そういう人たちなのです。

* * *
Ben Jonson
"Song: To Celia"

Come, my CELIA, let us prove,
While we may, the sports of love;
Time will not be ours for ever:
He at length our good will sever.
Spend not then his gifts in vain.
Suns that set, may rise again:
But if once we lose this light,
'Tis with us perpetual night.
Why should we defer our joys?
Fame and rumor are but toys.
Cannot we delude the eyes
Of a few poor household spies;
Or his easier ears buguile,
So removed by our wile?
'Tis no sin love's fruit to steal,
But the sweet theft to reveal:
To be taken, to be seen,
These have crimes accounted been.

* * *
喜劇『ヴォルポーネ』の挿入歌。

金持ちのヴォルポーネは、本当は健康体なのに、
病気で瀕死、というふりをしている。生きているあいだに
やさしくしておけば遺産を残してくれるかもしれない、
と期待して寄ってくる者たちから、逆に金品を巻きあげるため。

そんな遺産目当ての男のひとりが、自分の妻のシーリアを
ヴォルポーネにさし出す。(!)

この男が妻を残して去ると、ヴォルポーネは、ベッドから
飛びはねて出てきていう--「君があまりにもきれいだから、
病気が治っちゃったよ、まさに奇跡だね」。(!)

そして、この歌で誘惑しようとする。(シーリアは拒む。)

もちろん、こんなヴォルポーネを笑う場面だが、
「金のために君を売るような、本当の愛を知らない
あいつより、熱く、気高く、そして陽気なぼくの
ほうがいいよ」、という彼のセリフには、無駄に
説得力があって、少し考えさせられたりする。
(何を?)

* * *
「カルペ・ディエム」のテーマの、いけない方向への一変奏。

人の生を昼間に、死を夜にたとえる箇所の元ネタは、
古代ローマの詩人カトゥルス(Catullus)の歌5番(Carmen V)。

* * *
英語テクストは、The Works of Ben Jonson (1853) より。
http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/celia1.htm

* * *
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。


コメント ( 0 ) | Trackback (  )