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Watson, Hekatonpathia 27

トマス・ワトソン
恋の歌100
XXVII

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この恋の歌の最初の6行で、作者は次のようにはじまるロンサールのオードを完全に模倣している。

人を好きにならない人は不幸。
でも、不幸なのは恋する人。
でも、いちばん……

この詩の最後においても、作者はロンサールの他の詩とほぼ同様のことを言っている。ロンサールは愛しい人にこう語る。

プルトにキスしたいの?
死の国で? カロンが
君を小舟で連れていく前に?
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不幸せ、それは恋をしていない人。
不幸せ、それは恋に苦しんでいる人。
でも、いちばん悲しいのはこんな人--
愛しい相手が傲慢で、冷たくて、
嘲りの帆を堂々と高く張って、そして
思いに応えてくれない、むしろ利用されるだけ、という。
これがぼくの苦境、などと言えば、たぶんみんな、
ぼくの好きな相手はひどいと思うだろう。
こう言うだろう、恋と不幸は仲よしで、
がんばるだけ損をする、報いもなく死ぬだけ、と。
そう、ぼくは永遠にあの人の
奴隷。ぜんぜん優しくないご主人さまの奴隷。
あの人は(ひょっとして)自分は死なない、永遠に若い、と思ってる?
カロンの小舟にのっていったとしても、
かわいい顔でプルトの心を奪えると思ってる?
それは無理。プロセルピナが黙っていない。
プロセルピナは認めない、自分以外の誰かが
プルトに愛されるなどということは。

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Thomas Watson
Hekatonpathia
27

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In the first sixe verses of this Passion, the Author hath imitated perfectly sixe verses in an Ode of Ronsard, which beginneth thus:

Celui qui n'ayme est malheureux,*
Et malheureux est l'amoureux,
Mais la misere, &c?

And in the last staffe of this Passion also he commeth very neere to the sense, which Ronsard vseth in an other place, where he writeth to his Mistresse in this maner:

En veus tu baiser Pluton
La bas,* apres che Caron
T'aura mise en sanacelle?
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VNhappy is the wight, thats voide of Loue,
And yet vnhappie he, whom Loue torments,
But greatest griefe that man is forc't to proue,
Whose haughtie Loue not for his loue relents,
But hoysing vp her sayle of prowd disdaine,
For seruice done makes no returne of gaine.
By this all you, which knowe my tickle state,
May giue deserued blame to whom I serue,
And say, that Loue hath miserie to mate,
Since labour breedes but losse, and letts me sterue:
For I am he which liues a lasting thrall
To her, whose heart affords no grace at all.
She hopes (perchance) to liue and flourish still,
Or els, when Charons boate hath felt her peaze,
By louing lookes to conquer Plutoes will;
But all in vaine: t'is not Proserpin's ease:
She neuer will permit, that any one
Shall ioy his Loue, but the her selfe alone.

https://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A14822.0001.001/

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ロンサールの模倣と言っているカロンのところの
元ネタは、セクンドゥスのエレゲイア1.5。
Secundus, "Elegia V"

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