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Wroth, Pamphilia 1

メアリー・ロウス (1587?-1651/1653)
『パンフィリアが歌う、アンフィランサスに』
ソネット 1

黒い夜のマントがいちばん暗いとき、
死の分身である〈眠り〉がわたしの感覚を支配していて、
自分でも自分がわからないような、そんなとき、想いは
駆けめぐる、どんなに急いでいる人よりも速いスピードで。
眠りのなか、空飛ぶ〈欲望〉に引かれた馬車を
わたしは見た。そのなかには輝かしき愛の女王ウェヌスがいて、
さらにその足下には彼女の子クピドがいた。ウェヌスは
恋に燃える心臓をいくつももっていて、クピドがさらに炎を注いでいた。
ひとつだけ、他のものよりも激しく燃える心があって、
それをウェヌスはわたしの胸に差し入れた。
そしていった、「さあ、クピド、撃ちなさい、勝利をおさめるのです」。
クピドはそのとおりにして、哀れなわたしの心を撃ち殺した。
眠りから覚めたわたしは、夢だからすぐに忘れるわ、と思った
が、違った。わたしは恋する女になってしまっていた。そして、ああ、今でもそうなの。

* * *
Lady Mary Wroth
Pamphilia to Amphilanthus
Sonnet 1

When night's blacke Mantle could most darknesse proue,
And sleepe (deaths Image) did my senses hyre,
From Knowledge of my selfe, then thoughts did moue
Swifter then those, most [swiftnesse] neede require.
In sleepe, a Chariot drawne by wing'd Desire,
I saw; where sate bright Venus Queene of Loue,
And at her feete her Sonne, still adding Fire
To burning hearts, which she did hold aboue,
But one heart flaming more then all the rest,
The Goddesse held, and put it to my breast,
Deare Sonne now [shoot], said she: thus must we winne;
He her obey'd, and martyr'd my poore heart.
I waking hop'd as dreames it would depart,
Yet since, O me, a Lover I haue beene.

* * *
学問や創作が男性のものだった時代に女性が書いた
恋愛ソネット集から。ロウスはフィリップ・シドニーの姪。

* * *
3-4
thoughts did moue Swifter then those [who]
neede [adv.] require most [swiftnesse].

* * *
英語テクストは、次のページより。
http://darkwing.uoregon.edu/~rbear/mary.html

* * *
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