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日本神話

2014-07-18 20:37:00 | Weblog

 『日本神話の地図帳 地図とイラストで読む「古事記」「日本書紀」』(武光誠編著 別冊宝島2151 宝島社 2014年刊)

 小学校で使っている社会の教科書では、この国の歴史について、私が50年近く前に習ったのと全く変わらず、縄文時代に続いて弥生時代がきて、何の脈絡もなく卑弥呼の邪馬台国がり、突然に大化の改新、聖徳太子と続く。

 この国は、その成り立ちを教えることができていないのだ。温故知新という言葉と同様に、先端、すなわち未来の方向を探るとすれば、初源、その成り立ちを突き詰める必要がある。初源のない国、いつ、どのようにして、この国が成り立ったのかが分からない国のままならば、この国のとるべき方向もわかるはずがない。

 本書は、「古事記」「日本書紀」に書かれている神話をビジュアルに解りやすく解説している良書である。天照大神から神武天皇に至る物語は、そのスケール、発想力、ダイナミックなストーリー、読み物として本当に楽しめる。

 「記紀」は、天皇制成立後にそれ以前の歴史をあたかも天皇制が存立していたかのように書き換えているという制約を持つが、その中の神話には、その時代に起こった事実が形を変えて書き込まれていると解釈すべきである。

 戦前の歴史教育は、記紀神話をそのまま無条件に皇国史観として教えていたと思うが、戦後になってその反省から皇国史観を排除するとともに、神話に入っている事実までも捨て去ってしまった。私は、天皇制統一国家の成立を確定し、それ以前の歴史から天皇制の要素を取り除き、神話から事実を自由に想像するような歴史教育があってもいいのではないかと考える。

 この国の歴史の初源が、虚構と隠ぺいであれば、いつまでも先端は、虚構と隠ぺいの連続とならざるを得ないであろう。最近の事実からでも、集団的自衛権なる議論経過も、虚構と隠ぺいそのものである。

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