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戦後左翼史 その33 1949年① 国際情勢の緊迫化 国鉄合理化(下山事件 三鷹事件 松川事件) 『伊藤律回想録』

2016-12-18 09:07:32 | Weblog

日ロを隔てるベルリンのような物理的な障壁は存在しない。そこにあるのは国家という共同幻想だ。僕らの観念の中に、領土、領海、国境、国益などがあるから自由な往来ができない。アへが頑張ったか、プーチンは頑なだったかには興味が無い。国家を開く方向に進んでいるかが問題だ。究極には、国家は廃絶されるべきと考える。

真夜中にカラスの鳴き声を聞いた。この一週間で2回、昨日は23時ころにカアー、カアーと。天変地異の前触れだろうか。

 

◎1949(昭和24)年

『伊藤律回想録―北京幽閉二七年』(伊藤律著 文芸春秋 1993年刊)を20数年ぶりに再読。1980年9月、伊藤律が帰国したときに驚いたことを覚えている。僕が生まれる(1954年)前の1951年9月に北京に密航し、野坂参三らによる査問、徳田球一委員長の病死を機とした伊藤の除名(スパイ容疑)、投獄された以降の消息は不明。野坂は、「中国の関係者から伊藤は死んだと聞いた」と流布していた。伊藤の生存を一番やっかいなことになったと思ったのは、野坂と党中央を簒奪していた宮本顕治だろう。たとえ党内の権力闘争であっても、公開での弁明機会も与えず、政敵を27年間幽閉するという論理と倫理は説明のつくものなのだろうか。彼らが目標にする社会は、この事実とどのように整合性をとるのであろうか。

 (★は日共、Θ印は労働運動、●印は国際関係)

*1949年、経済相互援助会議(コメコン)設置、北大西洋条約機構(NATO)結成、東西両ドイツ・中華人民共和国の建国、ソ連の原爆保有などにより国際情勢は緊迫化。その影響で国内の労働運動も分裂。

1.6 国連総会、中国内戦不介入を決議

Θ1.17 西欧の労組、世界労連執行局を脱退、11.28国際自由労連結成

●1.25 ソ連・東欧5か国経済相互援助委員会(コメコン)設置

Θ1.31 全労連、世界労連加盟

Θ2.22 国鉄民同(民主化同盟)の星加要ら社会党に入党、この後民同派幹部の入党続く

*(参考)星加要:1909-1989労働運動家。1947年国鉄反共連盟(のちの国鉄民主化同盟)結成。1950年3度目の国鉄労組書記長。1951年新潟大会で愛国労働運動をもとめる星加案が左派の反対により否決され退陣。

Θ3.7 炭労、全労連を脱退、以下脱退相次ぐ

4.20 第1回平和擁護世界大会開催(パリ、プラハ)

4.25 平和擁護日本大会、日本平和を守る会結成を決議

5.3 全学連、国立大学設置法・教育職員免許法に反対して全国130校でスト

●5.6 ドイツ連邦共和国臨時政府(西ドイツ)成立 10.7 ドイツ民主共和国(東ドイツ)成立

5.30 東京都議会に向けた公安条例反対デモが警官隊と衝突、橋本金二(東交労働者柳橋支部)死亡(5.30事件)

Θ6.9 国鉄、定員法に反対してストライキ(東神奈川車掌区、組合幹部19名の懲戒免職)、神奈川で人民電車(京浜東北線・横浜線、労働組合管理で運転)

★6.30 福島県平市で労働者・市民(共産党員、朝鮮人連盟員)が警官隊と衝突、警察署を占拠(平事件)

Θ7.4 国鉄、定員法に基づく37,000人の第1次人員整理通告、7.12第2次整理63,000人通告

Θ7.5 国鉄総裁下山貞則、行方不明になり轢断死体で発見(下山事件、常磐線)(*未解明)

Θ7.15 国鉄三鷹駅で無人電車が暴走、6名死亡(三鷹事件、中央線)(*謀略)

Θ8.17 国鉄東北本線金谷川・松川間で列車の脱線・転覆事故、3名死亡(松川事件)(*謀略)

*日共党員労働組合員の所業に見せかけた謀略事件と判明しているが、当時は日共の仕業と宣伝された。これらの事件を境に労働運動が逆流に転じた。現在、『下山・三鷹・松川事件と日本共産党』(佐藤一著 三一書房 1981年刊)を35年ぶりに再読中。佐藤氏は松川事件容疑者(無罪)。

9月 『改造』特集「日本共産党批判」

9.3 国際自由労連加盟促進第1回懇談会

9.8 団体等規制令(第4条)に基づき朝連(在日本朝鮮人連盟)ほか4朝鮮人団体(在日本朝鮮民主青年同盟ほか)解散命令(金天海ら朝連幹部多数が公職追放)

*(参考)4.4団体等規制令(政令64号)公布、即日施行、1952破壊活動防止法と公安調査庁の前身

●9.24 ソ連、原爆保有を公表(タス通信)

●10.1 中華人民共和国建国宣言(毛沢東主席)

10.22 全国大学教授連合、レッドパージ反対声明

Θ10.22 全逓大会(再建同盟主導、~24)、産別会議脱退を決議

Θ10.29 三鷹・松川事件対策本部設置

11.30 対共産圏輸出統制委員会(ココム)設立

12月 小田切秀雄「共産主義的人間」『人間』

Θ12.5 日本官公庁労働組合協議会(官公労)結成

Θ12.10 全国産業別労働組合連合(新産別)結成(委員長金山敏、ファシズム及び共産党の独裁政権に反対)

 

 

 

 

 


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