晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展』

2019-07-14 15:21:54 | Weblog

新元号になった日に「令和の誓い」を立てた。それは、「昼食に菓子パンを食べないこと!」。体重が増えてしまった身体が重く感じていたのでランニングのために。今も何とか続いている。

 

『東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展』 北海道立近代美術館 

この緑青色はどのようにして作りだしたのだろうか。空の色にもない、海にもない、湖の色か、小学生の頃行ったオンネト―がこんな色だったかな。昔見た記憶の中の色。

部屋の壁面はふすまや壁はシネマスコープのようにワイドな横長キャンバス。強風にしなる木々、波に洗われる岩々、なんと荒々しく寂しい絵なのだろうか。波も風も右の方から左に向かって押し寄せ吹き付ける。左利きの人は少し違和を感じるのではないか。

東山魁夷が想いを至らせたのは、鑑真のこころ。中国からの渡航に何度も失敗した鑑真、鑑真は自らの視力を失ってまでこの苦難を乗り越えて唐招提寺を開いた。こんな試練を描いた部屋に入ると、希望を抱くより何かに押しつぶされそうになる。

長野県信濃美術館東山魁夷館から持ってきた下図、割出図、試作も展示してあり、それらからは建物の設計図のように緻密な計算のうえに障壁画が描かれたことが見て取れる。ふすまに向かって一気に書き上げたのではない。御影堂内の部屋の配置を考慮に入れ、その一部屋ごとの構造、壁面の形状、寸法、それらをメッシュに切った図面上に落とし、そこに下絵を書き、それを壁面に正確に等倍率で拡大して描いている。

展示方法も唐招提寺の各部屋の柱や床の間などを再現してあって、照明の効果もありとてもリアリティを感じる。

 

唐招提寺御影堂障壁画は東山魁夷による渾身の一作だ。一見の価値あり!北海道立近代美術館で7月28日(日)まで。

 

 

 


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