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矢部宏冶 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』

2018-01-12 17:09:58 | Weblog

明治維新は1868(明治元)年のこと。蝦夷地が北海道と命名されたのは翌年の1869(明治2)年。今年2018年は、「明治150年」と「北海道150年」が同時に祝うということですが、明治は満で、北海道は年目になるという数え方です。ちなみに1968年の100年の時も同時でした。でも、なんか1年早くない?

 

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(矢部宏冶著 講談社現代新書 2017年刊)           

沖縄で米軍ヘリの不時着事故が相次いでいる。翁長沖縄県知事は、「言葉を失う。日本政府も当事者能力のなさを恥ずかしく感じてもらいたい」と述べたと報じられている。本書を読むと、日本政府が米国に対して物を申すことができない理由が明確にわかる。それは、日米安全保障条約と日米行政協定、日米地位協定、そして日米間に密約も存在するためだ。

3Dで表現すると解りやすいのだが、例えば、首都圏上空の大部分は横田基地の専用空域として米軍以外は飛行禁止。民間旅客機はその隙間を縫うように飛んでいるのが実態。僕は行ったことがないので実感がないが、沖縄では空港を利用する民間機がリスクの高い超低空飛行を長い時間しないとならないそうだ。また、米軍機(ヘリ)は米軍宿舎の上は飛ばないが、沖縄の人々の民家の上空は平気で飛んでいる。このようなことに異議を唱えることができない現実があり、軍事面からみるとこの国は第2次大戦後の占領状態そのままで米国への従属状態が続いている。

この現実を見せつけられたのが先日のトランプ訪日だ。大統領機が直接横田基地に乗り入れたことに違和感を持った方も多かったのではないか。まるで厚木基地に降り立ったマッカーサー元帥のようだ。それは、米国がこの国を完全にコントロールしているということをアッピールする狙いだったのではないか。

こんな国は世界中のどこにもないのではないか。憲法改正よりも急を要するのは地位協定の見直しだと思う。しかし、沖縄は気の毒だと同情を示すまでで、米国に対して正面切って安保条約、地位協定の見直しを言い出す政治家はいないようだ。皆、米国の虎の尾を踏むことを恐れているのだろう。「護憲、憲法9条堅持」をスローガンに掲げていれば免罪されるという問題ではない。現状のままということは、日本中が沖縄に泣き寝入りを強いていることではないか。

アへ首相は、憲法改正を急いでいる。何をどう変えるということよりも、改正が自己目的化している。誰もが思っていることは、なぜ憲法を変えなければならないのか。今、変えないことで何か決定的に困ることがあるのか、という点だ。急ぐべきことは別にある。

沖縄問題の解決のためにはどうしたらいいのだろうか。ラジカルに考えると方法は2つあると思う。ひとつは、現行の地位協定などを前提にした場合で、沖縄の米軍基地、軍事演習をこの国全体で引き受けることで、沖縄の負担を軽減することだ。各地域による基地・演習の誘致活動だ。当然、反対の声は大きいだろう。もう一つは、安保、地位協定の見直しによる米軍基地の縮小・撤去だ。真の独立をめざす運動と言っていい。明治政府も徳川幕府が列強と締結した不平等条約の解消のために大変なエネルギーを使った。明治150年、今やるべきことは何だろうか。


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