格差社会は最近論じられることが多いテーマの一つである。しかし、政治的に語られることが多いので、TV等で短いコメントを聞くと、きちんとした議論になっていないことが多いと感じる。
この本には、「世界」「文藝春秋」などに発表された、重要論文・対談12本が収録されている。
ちょっと下品な書き方だね、と思うものも入っているが、相対的に冷静な筆致であり、まとめて学べる。
目次
第1部 「格差」は本当にあるのか
「格差はいけない」の不毛―政策として問うべき視点はどこにあるのか 大竹文雄
「みえる格差」と「みえない格差」 白波瀬佐和子
「規制緩和」と「格差拡大」は無関係だ―「『くたばれGNP』の現代版『くたばれ格差社会』」と言われたら) 仲正昌樹
第2部 ニート=新たな「下流社会」か
希望格差社会の到来―努力が報われる人、報われない人 山田昌弘
ニートがそれでもホリエモンを支持する理由 斎藤 環
そんなにいるわけない!ニート「85万人」の大嘘 稲葉振一郎+本田由紀+若田部昌澄
「下等遊民」のイデアルチュプス 小谷野 敦
第3部 「格差社会」を生き抜くために
格差批判に答える―日本人よ、「格差」を恐れるな 竹中平蔵+宮崎哲弥
一揆か、逃散か―格差社会と「希望なき時代の希望」 二神能基+森永卓郎
「勝ち負け」の欲望に取り憑かれた日本―「不平等ブーム」の中で 佐藤俊樹
二極化社会も悪くない―「金持ちは悪」という発想を捨てよう 渡部昇一+日下公人
「格差社会」なんて怖くない―サバイバルのための子育て術 日垣隆