馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

脛骨近位成長板損傷 2ヶ月齢 非定型タイプ

2020-05-01 | 整形外科

繁殖雌馬の開腹手術前、2ヶ月齢の子馬が脛骨を折ったようだ、との連絡。

来院して待ってもらうことにする。

開腹手術中に馬運車の中でX線撮影したら脛骨近位成長板損傷とのこと。

しかし、定型の成長板の内側が開いているのではないという。

繁殖雌馬の開腹手術は私がやる。それが最も早く終わるから。

          ー

私は空腸捻転の馬の麻酔覚醒を観て、手術は他のスタッフに任せることにした。

Salter-Harris type 2 の成長板損傷なのだが、骨端部の三角ピースがいつもの外側でなく頭側にある。

破片があり、外側皮質は大きく割れている。

脛骨稜頭側を曲切皮し、さらに筋膜を開く。

骨折部の整復はひどくたいへんだった。

3人目の術者も必要。

時間外診療になるが、夜間当番でない獣医師も手伝ってくれる。

「帰ってイイよ」とは言えない。総力戦が必要だから。

そして術者は休みだったのに呼び出した。

頭側に11孔のブロードLCP。

locking cancellus screw (Paki-screws !!)が3本、5.5mm cortical が5本、LHSが2本、4.5mm cortical が1本。

内側にはT-LCP 8孔が入っている。

横棒部分にはlocking cancellus と5.5mm 。

縦棒部分はLHSが4本、5.5が2本、4.5が2本。

          ー

とても難しい骨折だ。

成長板離解だけでなく、骨幹端も損傷がある。

外科侵襲も大きいので感染のリスクも高い。

しかし、子馬はなんとか立ち上がった。

なんとか治ってもらいたい。

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木蓮の花が咲き始めた。

木蓮のつぼみが ♬

開くのを観るたびに ♫

マグノリアの花たちを何本か植えている。

万感の想いは言葉にならない。