Equine Veterinary Journal に興味ある研究報告が載っていた。
The effect of hay grid feeder on feed consumption and measurement of the gastric pH using an intragastric electrode device in horses : A preliminary report
馬の飼料摂取に格子状飼料袋があたえる影響と胃内電極を用いた胃pH測定:予報
要約
研究実施の目的
肥満と胃潰瘍は馬に高率に認められる。
胃の扁平上皮の潰瘍を防ぐための管理変更には飼料給与回数を増やすことや牧草の自由採食がある。しかし、これらを実践すると馬を肥満させる。
目的
採食された乾草の量、胃内pH、および馬が採食する間に床と乾草袋への活動を比較すること。
研究のデザイン
横断的実験研究。
方法
pH電極を胃に挿入して胃内pHを48時間測定した。
馬は体重の1%の乾草を1日2回給与された。
馬は24時間、床から、あるいは市販の格子状乾草袋から飼料給与されるようにし、その後の24時間はもう一方のプロトコルに変えられた。
馬は持続的に録画撮影され、採食、飲水、歩行、佇立、寝ている時間のパーセンテージが算出された。
2ポイントのデータはペアtテストで比較され、通しでのpHは繰り返し測定ANOVAで比較された。
結果
馬は、格子状乾草袋に比較して、床で与えられたときに、あきらかに多くの量の乾草を消費した(n=9;P<0.001)。
2群間で、平均の胃内pH(n=6;P=0.97)、持続胃内pH(n=9;P=0.45)、pH4.0未満だった時間の長さ(n=6;P=0.54)、馬が採食と飲水に要した時間のパーセンテージ(n=9;P=0.52)、歩行あるいは佇立(n=9;P=0.3)、あるいは寝る(n=9;P=0.4)について明らかな差はなかった。
いずれの群においても、馬は夜にくらべて日中により多く採食に時間を使っていた(n=9;格子状乾草袋P=0.003;床給餌P=0.007)。
結論
研究に用いた格子乾草袋は馬が採食に使う時間を減らすことなく馬によって消化される乾草の量を減らすことに用いることができるかもしれない。
(引用終了)
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研究にもちいられた hay grid feeder 格子状乾草袋はこれ。
かつて乾草を入れておくカゴ(草架)が馬房の壁の高い所によく付けられていた。
しかし、馬が上を向いて草を食べるのは不自然だし、ホコリが立つので、今は利用しているところは少ないと思う。
乾草を床に置いて自由採食させるのは良いことなのだが、食べたいだけ食べさせると馬は太ってしまう。
このhay grid feeder は、自由採食ほどは食べられないのだろう。格子の穴はかなり小さい。
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この研究では、hay grid feederで長い時間、乾草をゆっくり食べられることで、馬の胃内pHが高く保たれる。という結果が本当は欲しかったのだろう。
どうしてそういう結果がでなかったか、胃内電極の位置などが考察でうんぬんされている。
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馬は1日のうち12-16時間、歩き回りながら採食しているのが本来の生活で、馬房に閉じ込められて、1日数回の給餌を短時間に食べてしまって、
あとの時間はすることがない。というのは不自然で、諸悪の根源になっている。
サク癖や熊癖(ゆうへき)などの悪癖を覚えたり、絶食状態が続くことで胃内のpHが下がって胃潰瘍になりやすいと考えられている。
この研究報告は「予報」ということになっている。
次報で計画どおりの結果がでることを期待したい。
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ワンコも早食いはよくないと考えられている。
早食い防止のための食器なども考案されて市販されていている。
このおもちゃは・・・・・・大型犬には強度が足らなかったらしく、1,2ヶ月で破壊された。
今のところ数ヶ月もっているのはこちら。
おきあがりこぼしになっていて、ただ押したり転がしたりするだけではエサはでてこない。
でも、なんだか観てるとイライラしてよけい胃潰瘍になりそうな気もする・・・・・・笑。