馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

酪農のイメージと現実

2006-09-22 | 牛、ウシ、丑

この夏も、

「どうして馬の獣医師になったんですか?」

と、何人かの実習生に聞かれた。

別にたいして考えていたわけではない。

北海道で大動物の獣医師になりたいと思い、牛と馬とどちらか考えて、馬かな?と思っただけだ。

馬かな?と思った事情もあるんだけど、それはまたそのうちに。

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先日、もう勤めて10年以上になる獣医師と、馬の手術をしながら言葉を交わした。

私の地域では、軽種馬の診療、乳牛、そして肉牛の診療の比率が同じくらいになってきているのだが、彼の中では肉牛への興味が増えてきているらしい。

「北海道の酪農っていうと、緑のマキバに牛が放れているイメージでしょ。でも、今の酪農はそんなことはしてませんよね。」

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P9120015_1 左は某牛乳のパッケージの絵だ。

確かに、この会社だけではなく、北海道の牛乳は緑のマキバで牧草を食べている牛のイメージを売り物にしている。

しかし、放牧酪農がすでに少数派になって久しい。

北海道でも乳牛はコンクリートの上で飼われ、輸入された飼料を食べている。

それが悪いというつもりは毛頭ない。

しかし、現実と異なるイメージをいつまでも売りものにするのはいかがなものか?

P9020006                           -

P9030012 ついでに、わが家で買っているほかのパッケージ。

「よい土、よい草、よい牛が・・・」

「良質な生乳のみを使用し、・・・」

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消費者は健康に飼われた牛のミルクを求めているし、乳業メーカーも良質の生乳を求めている。

酪農家の毎日が激務なのは知っているつもりだ。

利潤、経済効率のみを追求し、多頭数化、大規模化していくのが良いかどうか。

輸入飼料、購入飼料に頼って、高泌乳を追求するのが、本当の意味でわりにあうかどうか。

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 獣医師が決めることではない。

しかし、おきてくる問題に対応するだけが獣医師の仕事ではないだろう。と、思う。

こういう酪農を追及している人もいる。

http://blog.livedoor.jp/cowbell2000/