毛色や、肢の形がヘン? そう重種、重挽馬の子馬だ。ひょっとすると、重種は軽種より鼠径ヘルニアが多いのかもしれない。
お母さんは乳母として出稼ぎに行っているので、子牛用のミルクで育てられている。
右は皮膚と総鞘膜を切開し、小腸をできるだけ押し込んだところ。押し込んでも小腸はすぐに出てくる。精巣は取ってしまって(去勢して)鼠径は完全に縫ってしまわなければいけない。
この子馬は左だけのヘルニアだったが、反対側も去勢した方が良い。後で反対側がヘルニアを起こす馬が多いのだ。
輪といっても、均一な組織で輪になっているわけではなく、腹筋の端と、内股の筋肉の端を縫い合わせるようなときもある。
結構大きな血管があるので、ひっかけないように注意が必要だ。
腸管を腹腔へ押し込んだり、押し込んだ腸管がまた出てこないようにするには尾側を高くしてやりたい。
牧場でやるなら、後肢を持ち上げるとうまく腸管を押し込めることもある。
生まれたばかりの子馬で、総鞘膜が破れていない鼠径ヘルニアなら後肢を持ち上げて腸管を押し込み、バンドを巻いて腸管が出てこないようにしておくと、馬がしっかりしてくるにしたがって自然に治ることもある。
今日は手術台の後を少し高くした。
鼠径ヘルニアを起こしていない側は、去勢して総鞘膜を腹腔へ押し込み鼠径輪を縫合した。
両側とも鼠径輪を縫うのにはプロリン(エチコンの非吸収性モノフィラメント糸)をした。
私なら吸収糸でやるかもしれないが・・・・・
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どんな手術も慎重かつ大胆にやらなくてはいけない。そのためには事前の学習、練習、準備、経験が大切だ。
経験は1例1例積んでいくしかないが、本で学習し、器具の使い方を練習し、麻酔や器具の準備を完全にしておくことは誰にでもできる。
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