チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

「明石海峡船景色」第5回 フェリー客船編(2)

2009-08-06 22:05:02 | 船景色
8月6日(木)

 高速道路料金が休日1000円になった影響で苦境に立たされているフェリー業界。もし民主党が政権を取ると無料になるということですが、そのあおりを受けて、仮にこの種の交通手段が消えて行ったとしても、「社会構造の変化の中で、時代のニーズに合わないものは仕方がない」ということで済まされてしまうのでしょうか。

 かつて、時代の変化ということで、大都市の路面電車が次々と姿を消しましたが、今なお、思いつくだけでも、広島、松山、高知、熊本など、たくさんの都市で庶民の足として愛されて活躍しています。都電の中でかろうじて残った荒川線も、今や都民にとって欠かせない交通機関になっています。

 国家の政策というものは、地球がそして人類が今どんな状況に置かれていて、今後どういう社会を作り上げて行かなければならないのかということをきちんと踏まえて進めて行かなければなりません。しかし、世の中を動かしている面々には、どうもそのような視点が欠けていると言わざるを得ません。

 もちろん、船舶も化石燃料で動いているわけで、当然ながら動力源の改善は必要不可欠です。しかし、いくら車のハイブリッド化が進んでも、水上交通のほうがエネルギー消費の効率という点では比較にならないくらいまさっています。なにしろ水に浮かんで進んでいるのですから。

 ところで、瀬戸内海は関西と四国・北九州を結ぶ大型フェリーの、いわば銀座通りのような海になっています。もしかすると、フェリーもSLと同じように姿を消して行って、いつの日か、懐かしい思い出の中で、残しておけばよかったと悔やむ日が来るのかもしれません。そんなことを思いつつ、心を傷めながらカメラを構えることになります。


 前回の記事(2月1日付)は、秋から冬にかけての日照時間の短い時期だったので、ジャンボフェリーやオレンジフェリーなど、日中に通過する船しか載せられませんでしたが、今回は4月から7月までの、陽の長い時期の早朝と夕方にやって来る船が中心です。

 船の弱点は時間がかかることです。フェリーで言えば、目的地に着いたらすぐに移動できるように、車の運転手が船中で身体を休めておくのが効率的なのでしょう。したがって、長距離フェリーのほとんどは夜行便です。片道12時間くらいの航路になると、冬場の眺めはほとんど夜景と夜空だけなのかもしれません。


  大阪南港と門司を結ぶ「名門大洋フェリー」
  
   
 船体には「CITYLINE」の文字。上は6時半過ぎに通過した上りの「きたきゅうしゅう」号。下は18時過ぎに通った下りの「おおさか」号です。ほかに「きょうと」や「ふくおか」という名称の船もあります。

  おなじみの「さんふらわあ」
  
   
 大阪・神戸と大分・別府を結びます。途中、松山に寄港する便もあります。上は「ごーるど」号、下は「ぱーる」号で、共に朝6時半ごろ通ります。下り便は全て20時以降に通るので写真は無理です。なお、この二隻はダイアモンドフェリーという会社の船ですが、関西汽船も「こばると」号や「にしき」号などを所有、共に3隻ずつの都合6隻が運行しています。


    船上のラジオ体操朝ぐもり   弁人


  5月の末、いつもと違う朝の遅い時間に「さんふらわー」が
   
 調べたところ、鹿児島の志布志から大阪へ向かう「さつま」号で、ふだんは四国の南から紀伊水道を通る「南九州航路」の船でした。外海が荒れている時なんかに瀬戸内海に迂回してくるようです。

 5月の末は外海が荒れていたのでしょうか、翌日には「オーシャン東九フェリー」という東京と徳島、門司を結ぶフェリーの「おーしゃんのーす」号がやって来ました。
   
 この航路もふだんは外海で、門司から周防灘を抜け、四国沖を通って徳島へ向かうのですが、この日は明石海峡大橋をくぐって大阪湾を右に旋回して行きました。

 前回の記事で朝の上りの便を紹介した「阪九フェリー」。朝の第2便は7時頃の通過なので2月頃から見えますが、夕方の下り便は春から夏にしかカメラに収まらない時間帯にやって来ます。18時過ぎと19時過ぎの2便で、下の写真は、第1便の「すおう」号とちょうど暮れかかった頃に来た第2便の「つくし」号です。
  
   

 船は動いているのでカメラで撮れるのは上の時間帯までです。もっと暗くなってからやって来る観光クルーズ船「ルミナス2」も撮ってみましたが、やはりシャッタースピードが遅いのできれいには撮れませんでした。
  


     夕凪の瀬戸も涼しげクルーズ船   弁人


 最後に、冒頭の高速道路料金の件に関して、ちょっとつぶやきます。

 衆議院選挙に向けて各党から「マニュフェスト」なるものが出されました。大型補正で多額のバラマキをした自民党が、民主党の政策を「実現性のないバラマキ」だと攻撃しています。「子ども手当て」「高速道路無料化」と掲げられると、たしかにそういう印象を与えています。

 民主党に注文。

 なぜバラマキでないと堂々と反論しないのでしょうか。自民党への反論のポイントが「今までの政策への反省の欠如」「民主党に対して反論する資格はない」というところに傾き過ぎていて、双方の政策の違いについての説明があまり見られません。

 「ガソリンの暫定税率の廃止」も「高速道無料化」も、元々は基本的にそうあるべきだという視点から出てきたはずだと私は思っています。もしそうなら、政策として掲げた以上、視点の違いを明確にし、さらにその結果生じるであろうひずみについてもきちんと明らかにし、その対処策まで示さないと説得力が生まれません。

 自民党の「高速1000円」のほうこそが民主党の提案に対抗するための思いつきのバラマキで、「無料化」や「ガソリン税廃止」は違う意味を持っているということ、地球温暖化や二酸化炭素排出を促進させるための施策ではないということをきちんと説明しないと、マニュフェストなんて、結局は選挙前の人気取りのお題目で、実施されれば国民の負担が増えるだけということになってしまうのではないでしょうか。

 政権を取る気なら、もっと説得力のある説明が必要だと思います。そうでないと、今後、どのような事態が待っているのかわかりませんが、フェリー業界も浮かばれないと思います。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お膝元でも遥か彼方の甲子園 | トップ | お盆休みの甲子園日記 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

船景色」カテゴリの最新記事