チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

ありそうでないもの(1)「長十郎」

2009-09-12 13:02:11 | 身辺雑記
9月12日(土)

 「ありそうでないものはナシ」ということで、今回は「なしのはなし=梨の話」です。

 私は酸っぱいものが苦手なので、リンゴはたまに口にしますが、ミカンやグレープフルーツなどのオレンジ系のものにはほとんど手を出しません。果物なら、梨か桃です。

 立秋を過ぎると梨の季節です。叔母のいる千葉の松戸・流山方面には梨園がけっこうあって、お盆のころに送ってもらいます。昨今は「幸水」か「豊水」です。子どものころに食べていた梨より確実に進化していて、甘みも水けも申し分なく、誰もが「これが梨」と思っているに違いありません。
 しかし、昔の思い出の梨、「長十郎」、あのシャキシャキっとしたした歯ざわり、味は淡白だったのかもしれないが忘れられません。

 この梨が消えてからどのくらいになるのでしょうか。もしかしたら、大人になってから一度も食べていないのかもしれません。
 就職した当時、南武線の溝ノ口のほうに住んでいる友人がいて、こんな会話をしていましたから。

 「俺のほう、のどかなもんよ。けっこうな梨の生産地でさ、梨園いっぱいあるよ」
 「そうだね、電車からも見えるね。・・僕は長十郎が好きなんだけど、最近見なくて」
 「長十郎じゃなくても、おいしい梨はちゃんとあるんだからいいんだよ」

 おそらく、「長十郎」の欠点を「二十世紀」系と掛け合わせることで解消したのが今の梨なのでしょう。そのかわり、歯ごたえにしまりのある「長十郎」が姿を消してしまった。

 以前、横浜線沿いの道を走っている時に、中山辺りだったか、梨の直売所があったので車を止めてみましたが、やはり「長十郎」はありませんでした。

 豊かな国日本? たしかに何でも手に入りそうな日本ですが、無いものは、やはり無いのです。店頭に並んでいるものの中から選ぶしかありません。


 ところが、昨年の秋の初め、川崎の小学校の総合学習の話題が新聞に載りました。農園と協力して「長十郎」を栽培、収穫したという記事でした。
 さっそく、川崎市へ問い合わせ、農園を紹介してもらいました。しかし、明石移住計画の算段に追われて時間が経ってしまい、連絡をとった9月中旬には「今年は終わりました」ということで、小さな夢の実現はお預けとなりました。


 先月下旬から逗子に帰っていたので「今年は逃さんぞ」という思い。9月に入って早々に車を登戸へ走らせました。
 道沿いに並ぶ梨園
 
    

 やはり並んでいるのは「豊水」「新星」といった品種で、「長十郎」を扱う梨園は限られたところのみなのです。そのうちのひとつが丸杉園(正確には○の中に杉の字の表記)。
  

 ご主人は近くの梨園で収穫の仕事でしたが、私の到着に合わせて直売所のシャッターを開けて待っていてくれました。価格、4つで500円でした。


    これなりと選びし梨のいと重き   弁人



 ということで、これぞ、もぎたての「長十郎」!!
  


    よく見よと姿凛々しき長十郎    弁人



 秋の夜長に虫の音を聞きながらの「長十郎」三昧でした。

 ということで、今回は「ありそうで、ない」ものが「あった、あった」、さすが「ありの実」というお話でした。


コメント
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