レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

修道士アセルスタンその他

2009-02-15 08:10:31 | 
 『神の家の災い』byポール・ドハティー
 創元推理文庫。
 14世紀のイングランド、幼いリチャード2世が即位し、実験は叔父ジョン・オブ・ゴーントが握っている時期が背景。ロンドンの検死官クランストンと、修道士アセルスタンのコンビが事件にとりくむシリーズの3冊目。
 大食いデブ巨漢のクランストンには美しい妻がいて、ラブラブながら尻にしかれ気味。双子の男児が生まれたところだけど、どうせなら母に似たほうがよかったろうに。
 アセルスタンは、十字軍に行って弟だけ死なせたことに罪悪感を抱いている身の上で、目下町の教会を管理している。若い未亡人と憎からず想い合っている状態。
 この3巻目では、クランストンがジョン・オブ・ゴーントにふっかけられた謎の連続殺人の真相と、聖遺物(?)の奇蹟と、アセルスタンがいた修道院の連続殺人と3つが並行する。
 修道院って、殺人事件の舞台にしばしば使われるなぁ。(シスターのはさすがに見たことないが。) 日本でいうなら、寺でのミステリーか。「叡山延暦寺殺人事件」--事件のあとで焼き討ちにあって、結局だれもいなくなったなんてエピローグがついたりして。ブラック。「林泉寺殺人事件」、謎ときに活躍した利発な少年がのちの謙信だという話があっても楽しそう。「壬生寺~」、当然新選組絡みの想像。
 

『渡された場面』 松本清張
 新潮文庫の「おとなの時間」としてオビつきで並んでいたので購入。
 ミステリーなので詳しく書くことは避けるけど、盗作が事件のカギとなる点に興味を感じた。犯人がたいへんイヤな奴なので、捜査の迫っていくのが気持ちよかった。
 もう一つの事件の犯人にはちょっと同情したけど。犬かわいそう。
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2 コメント

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こんばんは (サラ)
2009-02-16 21:53:52
青池さんの「王城-アルカサル-」完結編、外伝の影響で、「ジョン・オブ・ゴーント」の名前に反応してしまいました。
青池さんによると「中世の人気者はいつでもどこでも黒太子 弟(ジョン・オブ・ゴーント)は不人気」らしく、映画「ロック・ユー」でも考証度外視で登場したのは黒太子であったとか。

謎の連続殺人の真相解決を「ふっかけた」ということは、この作品でもやや嫌な奴描写なのでしょうか。

ちょっと脱線しますが、ジョン・オブ・ゴーントって、どこかで聞いた名前だと思っていたら、ジョセフィン・ティ「時の娘」最初の方に記載の系図に出てました。
そっか、この人の庶子認知がリチャード三世の悲劇の一端でもあるのだな。

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はい。 (レーヌス)
2009-02-17 20:34:50
 幼いリチャード2世との不破が早くもほのめかされています。このあと話に絡んでくることが期待されます。
 シェイクスピアではわりに立派に描かれていますけどね。蒲生総さんでもでしたか。「歴史ロマンDx」が休刊しなければ『ガーター騎士団』の続きもさらに進んでいたのでしょう。なにかと惜しまれます。
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