レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

グリムネタミステリーアンソロ

2018-12-19 17:59:41 | 
スティーヴン・グリーンリーフ『匿名原稿』
 ビブリオミステリーとして紹介されていた本の1冊。
 探偵タナーは、親友の出版者の依頼で、ある原稿の作者を探すことになる。匿名で送られたその小説はたいへん面白くベストセラー間違いなしだが、未完。ぜひとも見つけ出して続きを手に入れてほしいという。内容は、青年教師が女子生徒への性犯罪の濡れ衣を着せられて服役させられたというもので、これは作者の実体験で復讐を企てているのではとタナーは推測する。
( 匿名の面白い小説の続きを入手せよ!という状況は、スペインの『螺旋』を思い出す。あれも面白かった。)
  探偵タナーはシリーズものなので、ほかのもいずれ読んでみたい。


『赤ずきんの手には拳銃  ワンス・アポン・ア・クライム』 
『白雪姫、殺したのはあなた  ワンス・アポン・ア・クライム』 原書房
  図書館でたまたま目についた本、出たのは99年ごろ。そのころ日本で『本当は恐ろしいグリム童話』by桐生操 がヒットした影響で「童話」の残酷面を強調したブームがあった。(レディコミの「残酷童話系」もその中で発生したと言えるだろう※)
 それとは関係なく編まれた、英米作家のグリムメルヘン(だけでもないが)を下敷きにしたアンソロジーで、原書『ワンス~』を2冊にしてある。
  『ラプンツェルの復讐』、頭いいけど抜けてるコンピューター技師の夫が誘拐されて、刑事の妻が脳筋男を助っ人にして救出する。囚われ人が男でしかも髪の毛をたらすどころかハゲの未来がありそうだというあたりがユーモラス。敬意と信頼で結ばれている夫妻の在り方がたいへん好ましい。
 『おかしの家に囚われて』 継母の悪だくみと因果応報(?)、ハラハラした~!
 『さあ。斧を持ってきておくれ』 「カエルの王様」がネタ。まるで少女マンガな結末。
 『いさましいちびの衣裳デサイナー』
  ネタは「ひと打ちで七匹」の仕立屋の話。いっぺんに7人分の衣裳を片づけたことを自慢したデザイナー(ゲイでオカマ)が凄腕の殺し屋と誤解されて~~。たいへん笑える展開。

※このジャンルでいまも残っている雑誌は「ぶんか社」の『まんがグリム童話』、表紙での誌名表記は『いちばん残酷なグリム童話』。略称「残グリ」。実際にはグリムに限らず、歴史、神話伝説、メルヘン、古典等を素材として、エログロな味付けでアレンジしているが、ハード~ソフトの程度は作家・作品による。私は、こういう系統の少女誌が欲しいと強く願っている。
姉妹誌に『ほんとうに怖い童話』(略称「ほん怖」)、『波乱万丈の女たち』がある。
 いずれにせよこのところ私はご無沙汰している。目にすれば、どんなのを取り上げているのだろうかと点検するが、数年買っていない。



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2 コメント

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Unknown (サラ)
2018-12-20 20:27:41
「歴史、神話伝説、メルヘン、古典等を素材として」て、読みでがありました。残グリ雑誌。

去年だか今年の初めだかに、Kindle Unlimitedを利用して読む機会がありました。

好んで読んでた頃とは雰囲気が変わってるように思いました。歴史、神話伝説、メルヘン、古典等の素材もありましたが、真偽不明な悪習、風習をセンセーショナルに仕立ててる感じで。
二軍クラスに落ちた気がしました。

「昔は良かった」フィルターが入ってて、辛くなってるのかもしれません。




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コンビニで目にします (レーヌス)
2018-12-21 13:17:11
 マンガを中身までチェックできるのは書店よりもむしろコンビニのほうが便利ですね。
 かつて花ゆめの黄金期に活躍していた本〇さんが出ているのを見るとなんだか痛ましい気持ちになります。
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