レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

湿地 アイリーン 疑惑

2013-12-28 15:34:48 | 
アーナルデュル・インドリダソン『湿地』  東京創元社

 日本で紹介されることは珍しいアイスランド製ミステリー。
 レイキャビクである老人が殺され、それはかつて強姦で訴えられたが不起訴になった過去のある男だった。被害者はそれで生まれた子を可愛がったが、病で幼くして死亡し、母親は絶望して自殺した。そして、殺された男にはほかにもそういう犯罪があったことがわかってくる。
 調べにあたる刑事の家庭の事情も並行して描かれながら、遺伝病が鍵となって調べが進んでいく。

 ミステリー読みながら、ああ~殺されていいよこんな奴~~!と思うことは少なくないが、この話もそう。


キャロル・ネルソン・ダグラス『お目覚めですか、アイリーン』 創元推理文庫

 『おやすみなさい、ホームズさん』に続くシリーズ第2作。やはりカバーイラストが美麗。
 ボヘミア王との一件にカタをつけて、ハンサムで優秀な弁護士ゴドフリー・ノートンと結婚したアイリーン、夫妻は事故死したと世間で誤解されたことに乗じてしばらく静かにしていたけど、やはりそれでは収まらず、トラブルに関わっていくというかトラブルが近づいてくるというのか。
 パリでサラ・ベルナールとお友達になって、二人で男装して街へくりだしたり、かつて舞台のために身につけていたフェンシングの腕前を生かしたり、痛快。

 読んだあと図書館に寄贈したが、これが蔵書に加えられたら今後シリーズが購入されるようになってくれないだろうか。


『疑惑』 Fr.デュレンマット   同学社
 ブラックな喜劇で知られる、現代スイスを代表する劇作家(故人)の初期のミステリー小説。
 病で先が長くない老警部が、友人である医者から、奇妙な話をきかされる。大戦中の強制収容所で非道な行為をしている医者の顔が知人に酷似している、しかしその知人は当時チリにいたはずなのに。そこから始まる真相究明。
 永世中立国として評価される国スイス、その中での批判精神がそこここに伺える、苦味のある物語。
 
コメント
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