レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

確信犯

2006-09-27 15:03:01 |   ことばや名前
 先日、ある事件の判決のニュースで、「確信犯」という言葉が出てきた。
辞書では
「確信犯:政治上の信念に従って、法律を犯すことを恐れない犯人」「政治犯・思想犯など」 となっている。つまり、己の行動は正しいと「確信」して犯罪にはしったということだろう。自爆テロなんてのもそれか。
 しかし世間では、わざとやってるという意味で使われることが多く、私もいまさら驚かなくなっている。
 --で上記の裁判で、判決文かなにかにこの言葉が出てきたのだが、それはどうも「悪いとわかっててやったのはけしからん」という意味で使っていたと思う。
 おい、法律の専門家までが世間の誤用に屈しないでくれよ。この語を使わなくたって表現できるでしょうに。
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天才少年と癒し少女

2006-09-27 14:59:04 | マンガ
 木原敏江『杖と翼』、川原泉『レナード現象には理由がある』
 この両者を同じ項目で述べることには、ひとつしか理由がない。

 川原作品としばらく離れていて、(『天上の愛 地上の恋』めあてで買っていた)「メロディ」で部分的に読んでいた『ブレーメンⅡ』はあまり面白いと思えなかった。久々の読みきり『レナード現象には理由がある』で、おお、川原節復活!と思った。
 エリート進学校にまぐれで受かってしまった蕨よもぎ、その隣人は、秀才・運動神経・顔・家が大病院、と天から四物の飛島穂高。穂高は医者を志望しているが、父親に、おまえはデキが良すぎて思いやりに欠けているんじゃないか、それは医者には心配だ、と言われて、一方あまりにノホホンとした蕨にムカついてヒドイこと言ってしまう。珍しく自己嫌悪。あっけなく和解して、こんどは蕨に慰めらる。彼女は、雷にうたれたせいかヒーリング能力を持っているのだった。
 これと同じ進学校を舞台として連作になって、その『~がある』シリーズが単行本になった。ふつうに「花とゆめコミックス」でなく、大判(A5)、そのぶん高いので出したのは、『笑う大天使』で注目される自信のためか?もっとも、『ブレーメンⅡ』もそうだったのでたいして意味はないのかもしれない。
 「週間ベストセラー」のコミックス部門の20位にはいっていた。こういう売れセンには少女マンガが少ないし、たいていは読みたくない。そんな中で、多少なりと好きな作家なので、この際買うか!というわけで購入。
 私が関心あったのは、『真面目な人には裏がある』。連載の途中を本誌で読んだ(『大奥』CDドラマの全員サービスに応募するために買った号)。
 席替えで日夏晶の隣人になったのは「軟派の塔宮」、以前はサワヤカ系だったのにいまは女たらしの名をはせているヤツ。晶の兄・葵が、紹介したい人がいると言うので結婚かと思われたところ、訪問者は塔宮兄で、 葵と
ゲイ婚したいと言う。固まる両親。晶は、友人にBLの世界を教えられていたので多少の免疫があってわりに冷静。塔宮弟曰く、彼がタラシになったのは、長男のゲイ宣言に恐慌をきたした両親が、下の子までそうなるのではと心配したからだと言う・・・。
  --私はな~、節操もって同性とつきあうよりも、異性とだらしなくチャラチャラするほうが問題だと思うんだがな~~。

 『杖と翼』は、フランス革命を背景としている。(木原さんは旧作でも革命ネタで2作描いていて、うち一作は『ベルばら』よりも前だった。)
 主人公、おてんば美少女の貴族令嬢アデルの初恋の人としてサン・ジュストが登場する。『ベルばら』でとばした時期をクローズアップしていて、ジャコバン派の失脚までの数年間。
 努力しなくてもなんでも出来てしまうおかげで感動を知らなかったサン・ジュストが、アデルおよびその聡明な母との出会いをきっかけに、理不尽な世の中を変えることに生きがいを見出したという発端。そしてこのアデルにはなぜか不思議な力があって、病や怪我を癒すことができるのだった。
  『レナード~』の四物少年も、できすぎてつまらんと本人がもらす場面があった。


 なんの関連もない、作風もぜんぜん違うこの2冊(?)を一緒に並べてみたのはこれ、つまり、空しさを感じた天才少年と癒し能力のある少女という組み合わせが偶然一致していたことが理由である。それにしてもこの項目のタイトル、これだけ見ると甚だ古い、フェミな感覚からするとムカっとしそうな組み合わせなんだが、両作品ともそーゆー昔の男女観ではない。

 『杖と翼』は、コミックスが出てからたいしてたっていないのにもう文庫になってしまった。「大幅加筆」が気になってはいたのだがしばらく見送り、先日BOで入手。まだ読んでない。しかしひとつモンクを言おう。
 最終巻に、穴埋めにまったく関連のない短編を入れるのはやめてほしかった。第一、ついさきごろ本誌で番外編が載ったではないか。どうせならばそういうの描き下ろしでやってもらいたかった。せめて作者のフランス旅行記とか。
 読んだら感想を書きたくなるかもしれないが、いまはこれだけ。 
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