晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6

2021年05月15日 | ISS(国際宇宙ステーション)
昨夕の撮影に引き続きモーニングパスで惑星カメラテストです。

イベントデータ


 直距離が500kmオーバーなので条件としてはよくありませんが、
この先天気が悪くなる予報ですので9回目のテスト決行です。

 北天通過コースは撮影可能範囲が真北から北北東までとなるので
限定的な撮影となりました。

 さて、今回の露出ですが昨夕の撮影よりシャッタースピードを速めて
0.813msで撮影しています。ゲインは距離も遠いので350まで上げて
みました。

 空の状態は昨夕とほぼ同じですが星の瞬きが若干目立っています。
気流が少し悪くなったように感じます。

 こちらは撮影した動画をしきい値100で編集したものです。


 今回初の試みとしてコンポジットをしてみました。

6枚の写真をコンポジットしてからステライメージで画像処理

 こちらがコンポジットする前の1枚画像



 わずか6枚のコンポジットですが効果はあるようです。今後、効果的なコンポジットに
ついても探っていくことにしましょう。



過去ブログ↓
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その3
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1

X-37B 観望記録

2021年05月15日 | X-37B
 5月14日、ISS通過の30分前にX-37Bが好条件で通過した。

 惑星カメラによるISS撮影の直前だったのでX-37Bも惑星カメラで撮影しよう
と思って待ち受けていたのだがみごとに失敗した。

 以下、その観望&撮影失敗記録である。

X-37Bのイベントデータ



明るさ0.6等級はX-37Bではベストと言って良い明るさである。

 撮影計画としては、20時06分にカストルとポルックスの間を通るのでここを
第1発見ポイントとして待っていたのだがそれらしき衛星は全く見えなかった。

 そうこうしているうちに時報が20時07分を告げたので慌ててしし座を見ると…
おっと、いました! かすかな微弱光点がししのしっぽを通過しています。

 うわ~、かなり暗いです。2等級あるかないか…といった感じです。すぐファインダーで
追尾しましたが、撮影後に動画を確認してもなにも写っていませんでした。

 惑星カメラはIRパスフィルターを外してシャッターは3ms、ゲインも400のマックスにして
いたので感度的には写っていておかしくないので追尾できなかったのが原因かと思います。

 こちらは記録用に撮影したしし座を通過するX-37Bです。

 これを見ると、しし座の頭で明るくなり始めているのが分かります。下から昇ってきた
Cosmos2278Rocketの明るさがMAXで2.1等級なのでX-37Bがいかに暗かったかが分かります。

Cosmos2278のイベントデータ



 最近ツイッターで話題になったX-37Bに関する写真があります。



 写真の出所は不明のようですが1枚目はカーゴベイの中に収納された状態の太陽電池パドル
が写っています。カーゴベイは荷物室だと思っていたのですがメインは太陽電池パドル収納庫
だったのですね。(太陽電池パドルの下には荷物室があります)

 スペースシャトルは太陽電池ではなく燃料電池に依存していたので長期滞在が出来なかった
のですが、X-37Bはその点を見事に解決した往還型宇宙船といえます。

 2枚目の写真は太陽電池パドルを展開した状態を軌道上で撮影した写真ですが、これまた
初めて見る写真で超ビックリです。他にも数カットの写真が公開されており、太陽電池
パドルが興味深い動きをしていて、なるほどと思うことがたくさんあったのですが…

 あれ? これってブログネタにしていいのかな…??

 このページがいつのまにか削除されているときは何らかの警告があったんだ~ 
とお察しください。(笑)

ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5

2021年05月15日 | ISS(国際宇宙ステーション)
なかなか天気に恵まれず惑星カメラによるISSテスト撮影が中断状態にありましたが、
やっと晴れました~!

ということで、ISS拡大撮影(惑星カメラ編)8th トライアルの記録で~す。

撮影日時は5月14日20時30分、イベントデータは下記のとおり。



久々の天頂通過コースで条件としては申し分ありません。

本日の撮影は、Powermate2×+174MM+IR Pass Filter(685nm)の最強システムです。
 焦点距離3000mm、カメラの写野角はわずかに0.22°×0.14°です。これはファインダーの
センターサークルを二回り小さくした大きさなのでピンポイントで導入する必要があります。

 撮影のカギとなるパラメーターですが今回はこれまでの経験則を生かして…
シャッタースピードは0.988ms、ゲインは280(70%)でトライします。

 空の状態はモヤッとした透明度がイマイチの感じですが、夕方から飛行機が
長い飛行機雲を引きずって飛んでいたので気流は悪くない感じがします。

 おっと、時間です。ISSが南西の空に現れました。深呼吸をして撮影開始です。

 案の定、天頂付近は追尾できませんでしたが何とか撮影できました。

 今回もPIPPで動画を編集しています。しきい値は100にしてあります。


 途中で何度もロストしているので動画がぶつ切れですが、クルードラゴンも
ズベズダの太陽電池パドルもはっきり写っています。8回目にしてやっとまともな
動画が撮れた感じがします。


こちらの動画はキャプチャーした画像をすべてつないだノーカット版です。

 この映像を見ると、見え始めから天頂まではスムーズに追尾できていますが
天頂前後は追い切れていないことがよくわかります。


 下記画像は全てのコマをチェックしてクリアに写っているコマをピックアップして
ステライメージで画像処理したものです。








 直距離430kmでの拡大率はこのくらい… デジカメで撮るより大きく写っていますが、
惑星カメラ174MMの画総数は230万画素なので解像度的には劣ります。


 今回はこれまで撮影したどのISSよりも高解像度の写真が撮れましたが、新たな課題も見えてきたので、さらにテストを重ねて行くことにしましょう。

 ISS拡大撮影のベストシーズンは8月です。梅雨に入る前にあと数回はテストしたいところですが
今年の梅雨の天気はどんなもんでしょうね~。五月晴れが多いといいのですが…。


過去ブログ↓
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その3
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1

日本人宇宙旅行者はユーミンではなくZOZO創業者の前澤友作氏だった!!

2021年05月14日 | 宇宙開発
 12月にソユーズMS-20でISSへ向かう宇宙旅行者2人について5月13日に何らかの発表があると注視していたがその発表は驚くべき内容だった。

 プレスリリースしたのはこのツアーを企画しているスペースアドベンチャー社。(Web
 
 記事によると、前澤友作氏が国際宇宙ステーション(ISS)へのミッションに向けて、必要な健康診断に合格してミッションの準備を始めており、6月からロシアのスターシティにあるユーリ・ガガーリン宇宙飛行士訓練センターで約3ヶ月間の宇宙飛行訓練を開始するとのこと。

 そしてさらに驚くべきことは同乗者が前澤氏のアシスタント、平野陽三氏だということ。
ソユーズMS-20の搭乗者はなんと2人とも日本人であった。


 スペースアドベンチャー社の記事では「平野洋三さんは大学卒業後、写真部のキャスティングディレクターに就任。現在は映画プロデューサーとしてSPACETODAYに勤務。ISSでは前澤氏の使命を記録する責任を負う。」と紹介している。

 12月にリフトオフするソユーズMS-20ミッションは史上初めて二人の宇宙旅行者をISSへ送る打ち上げとして以前から注目されており、さらに、その二人が女性であるということで話題になっていた。

 その一人がユーミンであるという情報は疑問視されている面もあったが、もう一人の搭乗予定者ヨハンナ・マイスリンガーさんについては具体的な情報が出ていたので確実視していたところだが、みごとな大どんでん返しだった。

 スペースアドベンチャー社のCEOは以前から二人の旅行者は決まっているがまだ発表は時期尚早だと述べていたので、正式クルー決定までにいくつかのエピソードがありそうだ。

 スペースアドベンチャー社が行っているISSツアーでは、バックアップクルーも同様に6か月間の訓練を行うことになっているが、今回の記事ではバックアップクルーについては触れていない。今回のツアーでバックアップクルーが誰になっているのかはとても興味があるところだ。

 具体的なスケジュールも発表されている。2021年12月8日にバイコヌール宇宙基地からロシアのソユーズMS-20で打ち上げられ12日間滞在するとのこと。現在ISSで船長を務めている星出宇宙飛行士は遅くとも11月上旬には帰還するので史上初のISSに日本人3人滞在とはならないが、1年間に4人の日本人がISSに滞在して2人が宇宙旅行者とは超ビックリである。

 MS20の一つ前のミッションになるMS19(10月リフトオフ)では、ロシアの女優と監督が搭乗して宇宙で初の映画の撮影を行うことも決まっており、また、ブルーオリジン社では7月20日に初打ち上げとなる有人ニューシェパードの1席をオークションの落札者に提供すると発表するなど民間企業による宇宙旅行ビジネスが爆発的に加速している。

 スペースアクシオム社が計画している宇宙ホテル計画も予定より早い時期に実現するのではと思われる。宇宙は手を伸ばせば(かなりの無理が必要だが)届くところまでに近づいてきた感じがする。



長征5号Bロケット・コアボディ 目撃記録

2021年05月13日 | CSS(中国宇宙ステーション)
 5月9日11時24分(JST)、長征5号B ロケットボディが大気圏に突入しインド洋に落下した。
以下は落下前日に目撃した長征5号B ロケットボディの記録である。

 予報では5月8日02時53分に地球の影から出て地平線に向かって高度を下げていく様子が見られる、となっていたが、見え始めがペガスス座(高度33° 方位:東北東)でR/Bまでの直距離が908kmなので条件としては良くない。

 予想光度は不明だが、軌道が高度152km×245kmとかなり低くなっているので、多分見えるだろう、とこの時は楽観視していた。

 現在時刻は02時30分… 時間までまだ20分以上あるが02時35分に中国宇宙ステーション天和が地球の影から出てこぐま座を通過する予報が出ているので、その出現を待つ。

 中国宇宙ステーションのコアモジュール「天和」を見るのは今回が初めてである。

 来た! 徐々に明るくなった天和はこぐま座を通過してポラリスの上で最大光度になった。
明るさは北斗七星とほぼ同じ2等級である。

2021/5/8 02h35m22s~02h36m46s D810A 24mm ISO1600 f3.2 3sec × 11

こちらは上記写真のGIF画像です。(クリックで拡大)

 天和の全長は16.6m、直径4.2m、質量22.5tで中国がこれまで打ち上げた宇宙船の中で最大である。予定では来年の春に実験室の「問天」、夏に2つ目の実験室「夢天」が打ち上げられて完成となる。

 さらに2024年には宇宙ステーションと編隊飛行しながら宇宙を観測する宇宙望遠鏡「巡天」が打ち上げられる予定になっている。

 実験室と宇宙望遠鏡の打ち上げ時は今回と同じ長征5号Bで打ち上げられるのでそれまでにロケット制御等の対策が施されなければまたしても世間を騒がすことになるだろう。

 さて、そろそろ長征5号Bのコアロケットボディ(CZ-5B R/B)が地球の影から出る時間だが、目をこらしてペガスス座を見てもそれらしき物体は全く見えない。

 …遅れているのだろうか? と思ったときフラッシュする光を一瞬だが視界に感じた。ん!? あれか? 慌てて双眼鏡を向けてみると… いました! 長征5号Bという確信は持てませんでしたが不規則に明滅する物体が右斜め下に移動しています。

 ふ~む、フラッシュする衛星は過去にも見たことがありますが(過去ブログ→謎の閃光衛星)これほど不規則に明滅する衛星はこれまで見たことがありません。ふむ、これがCZ-5B R/Bのようです。

2021/5/8 02h53m42s~02h54m26s D810A 34mm ISO1600 f3.2 1.6sec × 11

 上記写真のトリミング拡大画像


 GIF画像にすると実際に見た様子にかなり近い感じがします。(クリックで拡大)



 こちらは2ショット目の写真8枚を比較明合成した画像。分解が始まってるのでは…と思わ
せる軌跡である。長征5号Bのコアボディは、全長33.2m、直径5.0m、質量は18tもある。

2021/5/8 02h54m34s~02h54m48s D810A 34mm ISO1600 f3.2 1.6sec × 8(トリミング)

 本日のラストショット。

2021/5/8 02h54m56s~02h54m58s D810A 34mm ISO1600 f3.2 1.6sec × 3

 CZ-5B R/Bは不規則な明滅を繰り返しながら遠ざかり、やがて見えなくなった。落下直前とはいっても普通の人工衛星と同じように見えると思っていたので、今回の見え方はまったくの予想外であった。全長33.2m、直径5.0mの長大なロケットがコントロールを失って縦回転していたのだろう…でなければ、あのような不規則な明滅はたぶんしないだろう。この写真を撮影した32時間29分後にCZ-5B R/Bはインド洋に落下した。

 さて、今後であるが5月20日頃に食料や実験機器などを積んだ無人補給船「天舟二号」が天和とドッキングして、6月10日頃には3人の宇宙飛行士を乗せた「神舟十二号」が天和とドッキングして3~4か月の長期滞在を始める予定となっている。

 ということで、拡大撮影の対象がまた一つ増えました。