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2021年は宇宙旅行元年!

2021年02月06日 | 宇宙開発
いよいよ民間人が宇宙旅行に行ける時代になりました!

野口宇宙飛行士が搭乗したスペースXCrew-1の成功を受けて
クルードラゴン宇宙船を使った商業宇宙旅行が本格的に始まります。

スペースXの他にもブルーオリジンのニューシェパードやソユーズ宇宙船など
今年中に商業宇宙旅行を始める計画(ソユーズは再開)が目白押しです。

宇宙旅行といっても具体的にはどのようなツアーなのか、
気になるお値段はいくらなのか、気になりますよね~。

そこで現在計画されている宇宙旅行スケジュールを辿りながら
その疑問を解き明かしていきましょう。

その前に宇宙旅行の基本事項ポイントを押さえておきましょう。

現在計画されている宇宙旅行には3つの種類があります。

その1〈軌道宇宙飛行〉Orbital space tourism
これは宇宙船に乗って地球周回軌道を回るツアーです。
ISSに滞在するツアーでは通常6~8日間の宇宙旅行となります。
ISSに寄らず地球周回のみの場合は2~4日間程度の旅となります。

このツアーの目玉は何と言っても長い時間美しい地球を眺められることです。
宇宙船は90分で地球を1周します。無重力空間を楽しみながら見る地球は
一生の思い出になること間違いなしです。

その2〈準軌道宇宙飛行〉Sub-Orbital space tourism
こちらはロケットで高度100kmまで上昇し、そこから自由落下しながら
丸みを帯びた青い地球と黒い空、無重力体験を楽しむツアーです。
ブルーオリジンのニューシェパードを利用した場合、搭乗時間は
わずかに10分ほどですが、安全性が高く安価であることが魅力です。

その3〈月周回宇宙飛行〉Lunnar mission
これはロケットに乗って月まで行って戻ってくるツアーです。
旅行期間は約10日間です。その内訳は地球軌道上で2日間、月までの
行程が5日間、45分間で月軌道を1周して、自由帰還軌道で2日間
かけて地球に戻り、地球軌道を離脱して太平洋上に着水します。

高度100kmの低軌道から月面を見ることのできる時間は
わずかに45分間ですが、これまで月の裏側を見た人は、
アポロ宇宙船で月に行った24人だけです。月の表とは
真逆の荒涼とした裏月面ウオッチングは、あなたの人生観を
変えるのに十分すぎるエキゾチックな体験となります。

それでは現在発表されている宇宙旅行スケジュールを見てみましょう。

 リフトオフ予定日  便名     使用宇宙船     乗客数  ツアー会社     日程
A2021年10月  Inspiration4   スペースX(レジリエンス)  4名  なし(チャーター便)2~4日間
B2021年12月  ISSツアー(9th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  10日間
C2022年1月    Ax-1    スペースX(レジリエンス)  4名  AXIOM space    8日間       
D2021年~22年 Crew Dragon mission スペースX(未定)4名  Space Adoventurs  3~5日間
E2023年6月   ISSツアー(10th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  14日間
F20XX年X月  DSE-Alpha   ソユーズ+ブースター  2名  Space Adoventurs  10日間

〈補足説明〉
A:Shift4ペイメントの共同創設者兼CEOであるジャレッド・アイザックマンがスペースXからロケットとクルードラゴンをチャーターして飛び立つ世界初の民間人だけによる宇宙旅行ミッションです。ジャレッド以外の乗組員は現在選考中で3月に発表される予定です。ISSには寄航せず自動操縦で地球を周回し帰還します。使われる宇宙船は現在ISSに係留してあるレジリエンスであることをスペースX社が発表しています。

B:スペース・アドベンチャーズ社が2001年から行っているISSツアー企画で、これまでに7人の民間人をISSへ送り出しています。このツアーは2011年のスペースシャトル引退に伴いソユーズの一般利用ができなくなったためしばらく保留になっていましたが、クルードラゴンによる人員輸送が可能となったことから2019年6月にNASAが宇宙観光用にISS開放を許可したことでツアーが再開されました。費用はツアー開始時(2001年)は2000万ドルでしたが最終的には3500万ドル(35億円)まで高騰しています。今回の費用は公表されていません。

C:アメリカのベンチャー企業であるアクシオム・スペース社が企画している宇宙旅行です。すでに4名の乗組員が発表されており、アクシオム・スペース社の副社長で元NASAの宇宙飛行士であるマイケル・ロペスが司令官として搭乗します。不動産会社のマネージングパートナーであるラリーコナーがミッションパイロットとして、他にMAVRIK社のCEO兼会長のマーク・パシーと元イスラエル空軍のパイロットであるエイタン・スティベが搭乗します。費用は5500万ドル(約60億円)。ISSに8日間滞在します。使用する宇宙船はこちらもクルードラゴンのレジリエンスです。

D:こちらはスペース・アドベンチャーズがクルードラゴンを使用して行う宇宙旅行で観光用に4つの座席が提供されています。費用は1座席5500万ドル(約60億円)です。このツアーは宇宙飛行士が乗らず完全自動操縦で運用されます。そして特筆すべき点はISSには寄らずにISSの3倍以上の高度に達する高楕円軌道に挿入されることです。この軌道の遠地点ではジェミニ11号が1966年に達成した高軌道記録(1373km)を超えることになります。ISSの高度は約400km、スペースシャトルの最大運用高度は610kmだったのでそれをはるかに超える高度となります。このツアーの目玉は、惑星地球をより実感できる視点から丸い地球を眺められることにつきます。日程は3日間(最大で5日間)となっています。

〈参考資料〉ジェミニ11号が高度1373kmから見た地球



E:スペース・アドベンチャーズ社による10回目のISSツアーです。こちらはISS滞在期間が14日間に延長されており、オプションとして90分間の船外宇宙遊泳が用意されています。オプションツアーに参加する場合は1500万ドル(15億円)の追加費用が発生します。船外宇宙遊泳は地球と直接対峙することができるので宇宙船の窓から見る地球を遥かに超えたまさに神の視点で美しい地球を見ることができます。

F:こちらはスペース・アドベンチャーズ社による月周回飛行ツアー企画です。すでに予約販売が始まっており、1席は2007年に1億ドル(100億円)で予約が入り、もう1席も2011年に1億5000万ドル(150億円)で売却され、すでにSold outとなっています。ソユーズは1962年に設計された古い宇宙船ですがそもそも月周回を意図して作られた宇宙船なので月周回は特に問題ないということです。地球軌道上でドッキングするブースターはゼニット・ロケットブースターを予定していますがソフトウエア等の準備のため実質的な計画は未定となっています。

さて、今回は、おもに軌道宇宙飛行(Orbital space tourism)について紹介しましたが、2021年のトップを切って民間宇宙旅行を成功させるのはブルーオリジンのニューシェパードではないかと、個人的には思っています。

長くなったので、続きは次回のブログで~。