晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

30cmドブソニアンで土星と木星を撮影

2023年11月10日 | 観測グッズ
今日のブログは自動追尾機能のない30cmドブで木星・土星を拡大撮影をするというこれまでやったことのない実験的撮影の記録で~す。

 自動追尾機能のないドブソニアンはポンセットマウントに載せなければ惑星の拡大撮影はムリだよね~と思っていたのですが、ISSの拡大撮影と同じようにすればできるのでは…という考えが浮んだので撮影システムを考えてみました。

 具体的にはISSの撮影と同じシステムで手動で惑星を導入して、ファインダーとPCモニターを見ながら惑星カメラの写野に収まるよう手動で追尾(微調整)するという方法です。しか~し、これにはひとつ問題があります。

 それは、ISSの撮影システム(30cmドブ+ Powermate2× )はF10(f 3000mm)なので焦点距離が圧倒的に足りないということです。

 そこで今回はパワーメイトは使わずアイピースによる投影法でやってみることにしました。30cmドブに18mmアイピースを装着して拡大撮影カメラアダプターで惑星カメラにつなぐと、カメラアダプターの光路長から計算して合成焦点距離は7,250mm(F24)になります。

 これで動画を撮影して、撮影後はISSの時と同じようにPIPPでセンタリングして、その後はいつもの惑星画像処理(AS!3→RegiStax6→ステライメージ)を行います。

 撮影時間は木星が60秒、土星は240秒程度としてどれだけ惑星を捕獲できるかが勝負ですが実際撮影してみると、さすが焦点距離7,250mmの狭視野です。捕獲率は全体の2割にも満たない感じでした~。


 そんなこんなで撮れ高はほんの少しでしたが、写っている画像はさすが30cmと思わせる解像度でした。撮影はROI Max(1936×1096)で行ったのですが画角はこんな感じでした。↓

 
 で、こちらがPIPPでセンタリングした画像の一部です。


 撮影データを見ると動画6816frameの中で土星が写っていたのは1039frame、その40%をスタックしたので実質のスタック数は約400枚ほど… それを画像処理したのがこちらです。スタック枚数が少ないのでこれ以上の画像処理はできませんでしたがとりあえず土星らしい姿にはなったようです。


2023/11/9 18h17m Shutter=22ms Gain=350 (58%) Duration=240s 40%of 1039/6816frames


木星でもテストをしてみました~。

 木星は84秒間(4876frames)撮影して写っていたのは842frames 、それを70%スタックしたので実質のスタック枚数は589枚(総露出時間5.3秒)です。

PIPPでセンタリングした木星動画


 さすがにスタック数が少ないのでこれが精いっぱいでしたが、気流の割にはそこそこ模様が出たように思えます。右に見える衛星はエウロパです。


2023/11/9 21h14m(JST)CMI=58.1° CMII=154.2° CMIII=193.5°
Duration=84s  Shutter=9ms Gain=312 (52%) 70% of 842/4876frames

 今回の実験的撮影ではやや拡大率が大きすぎる感があるので次回はアイピースを25mmにして撮影してみようと思います。25mmのアイピースでは焦点距離が4800mm(F16)になるのでもう少し取り回しが楽になるかな、と考えていますが、あまり変わりはないかも…

 投影法での撮影はアイピースの性能(望遠鏡との相性も含む)で写りがぜんぜん違うのでアイピース選びが大事になります。次回のテスト撮影では複数の25mmアイピースを使用してアイピースの違いによる差もテストしてみることにしましょう。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
土星ふらふら (ich)
2023-11-10 21:21:55
晴れスターさん
 30cmドブを手動で惑星撮影とは,強者ですね。それもISSで鍛えた追尾の腕があればこそです。土星が視野を横切る動画は,昔モーターのない望遠鏡はこうだったなぁ,と郷愁を感じさせるものでした。でも写りはさすが30cm,きれいな土星がふらふらと視野外に出て行く姿はかわいいですね!
 さて,前回教えてもらったChristopher Go氏の11/3の画像を見てみました。はっきり言って,別に視差を感じることはないですね!もっと衛星と影が重なる写真を見た気がしたのです。それにしても,氏の木星はすごいですね。ハッブル宇宙望遠鏡で撮ったみたいです。こんなに写るなら止められないでしょうね。ま,あんなに写らなくても止めていませんが…。
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分かっているけど… (晴れスター)
2023-11-11 01:21:00
ichさん
 こんばんは~、そうそう昔の望遠鏡は赤道儀も手動だったので視野からはみ出しそうになった時に赤経軸を回して戻して、戻しすぎて逆に見えなくなることもあったな~と思い出しました。古き良き時代ですね。
 Christopher Goさんの撮影する木星は撮影地がフィリピンということもありますがいつ見ても素晴らしいですね。Christopher Goさんの自然な風合いの木星像をみると自分は過度な処理のしすぎだな~といつも思うのですが、ついつい強調してしまうんですよね~、分かってはいるのですが…。
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