晴れ時々スターウォッチング

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11月3日の木星(衝)

2023年11月06日 | 木星
11月3日23時48分に木星が2023年の衝を迎えました。

 その瞬間を撮影すべく準備を始めたのは木星高度が60°になる21時30分を過ぎたころ…

 いつもの手順として惑星カメラを装着して始めに恒星でピント合わせを行いますが、今回はここで第2回目の光軸修正を行いました~。

 修正は恒星を惑星カメラで捉えてPC画面上にディフラクションリングを写して、それを見ながら副鏡の修正ネジを調整するという方法でやってみました。

 この方法だとディフラクションリングを見ながら直接修正ネジを動かすことができるので効率よく微調整ができます。

 気流が悪かったのでディフラクションリングは揺れていましたがアイピースで見るより大きく見えるので調整はしやすい感じがしました。

 で、こちらがその時撮影した焦点内像の動画です。筒内気流でブレブレですがじっと見てると、内輪、中間輪、外輪が見える瞬間があります。完ぺきではありませんが前回の調整で追い込めなかったところは解消できたように感じます。

ディフラクションリング(焦点内像)



 さあ、ここから木星の撮影開始です。木星の高度は60°を超えているので今回もADCを外しています。残念ながら今日の木星は気流がめまぐるしく変わって落ち着くことがなかったので画像によってレジスタックスのパラメーターを変える必要があって画像処理には時間がかかりました。

 そのため光軸修正の効果があったのかまったく分からない画像ですが、衝というメモリアルな日なのでとりあえず撮影した画像を全て記録として残しておくことにします。



22時15分 本日のファーストショット! 木星のすぐそばで第3衛星ガニメデが輝いています。
2023/11/3 22h15m(JST)CMI=227.0° CMII=8.5° CMIII=46.2°
Duration=60s  Shutter=14ms Gain=285 (47%) 25% of 4287frames ap38




22時19分の木星、ガニメデ、イオ  イオは19時~20時台に木星面を通過したようです。


この時点でのシーイングはこんな感じでした。

22時50分、高度64°  ガニメデの木星面通過まであと少しです… 気流は更に悪くなってきました。



23時02分、高度65°  木星表面に衛星ガニメデの影が見え始めました!



23時11分、高度65°  ガニメデの影がまん丸です! 衛星本体と影の距離が近~い!



23時16分 木星面を通過中のガニメデの表面が画像として写るほど明るいのは衝の影響なのでしょうか?



23時25分、高度65° 大赤斑が正面にきましたが、気流が改善する気配はまったく見えません…



23時28分、65° 11/3の木星正中の時刻は23時20分でした。このあと高度は徐々に下がります。



23時36分、高度65° 23時30分すぎに気流が良くなってきたぞ~、と思ったのですが、



23時48分 2023年 木星の衝の瞬間フォト!  衝の瞬間の気流は最悪でした…

2023/11/3 23h48m(JST)CMI=283.5° CMII=64.6° CMIII=102.3°
Duration=90s  Shutter=9ms Gain=315 (52%) 25% of 9997frames ap36



2023年11月3日23時48分の木星(衝)


23時51分、高度64°  この頃から気流がやや落ち着いてきました。

 

23時58分、高度63° 本日のベストフォト! この時間は気流が落ち着いてガニメデの影がクッキリでした~




0時09分、高度62° 気流が良くなったかと思えば次の瞬間には気流が悪くなる…今日の木星は撮影者泣かせです。

 

0時30分、高度60° まもなくガニメデの影が木星表面から外れていきます。



0時39分、高度59° 本日のラストフォト、ガニメデのベストフォト!

2023/11/4 0h39m(JST)CMI=315.0° CMII=95.8° CMIII=133.5°
Duration=90s  Shutter=9ms Gain=319 (53%) 25% of 8947frames ap36




こちらは22時15分から0時39分までのザックリGIFアニメで~す。



 11月3日の天気図を見ると仙台には寒冷前線がすぐそこまで迫っていて、翌日4日には寒冷前線が通過したので気流が良くない状態とはいえ撮影できたことは超ラッキーでした。


参考資料〈11月3日21時の天気図〉

 今年は1ヶ月遅れで季節が進んでいた感じでしたが、さすがに冬の気流がやってきたようです。Windy予報を見るとこの先250hPa/10kmの風速が40mを下回ることはまったくありません。

 11月14日には天王星が衝を迎えるので撮影にチャレンジする予定ですが、木星の撮影に関しては今回の撮影が千秋楽となりそうですね~。

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2 コメント

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Unknown (ich)
2023-11-07 11:25:25
晴れスターさん
 衝の木星、2時間分のgifアニメは見ごたえがあります。刻々とシーイングが変化する様子が分かり、大変参考になります。「今日のシーイングは?」なんて、その時だけでは判断できませんね。
 このときのガニメデ通過はアストロアーツの投稿サイトで見ていましたが、他の人の写真ではガニメデと影がもっと重なっていました。5天文単位も離れても、見る方の緯度数度の差が影響するなんてちょっとびっくり!だれかフィリピンあたりで撮っていないかなぁ。
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ガニメデの影 (晴れスター)
2023-11-07 23:43:05
ichさん
 こんばんは~、アストロアーツで11/3の木星画像は見ていましたが、ガニメデと影の重なり具合のちがいについては気付きませんでした~。ALPO-Japan 月惑星研究会の木星観測報告にはフィリピンで観測をしているChristopher Goさんが11/3に撮影した写真があるのでそれを見れば比較できるかも…。お時間があるときにぜひご参照を~。
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