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P.S.T.の3つのフィルター

2010年09月28日 | 観測グッズ
Hα太陽望遠鏡P.S.T.には3つのフィルターが装着されています。


1.ERF(エネルギー遮断フィルタ)

P.S.T.は、低コスト化のために、ERF(エネルギー遮断フィルタ)は、
対物レンズ表面に直接コーティングすることで済ませています。

2.メインフィルタとなるエタロンフィルター

P.S.T.の場合、エタロンフィルターは対物レンズ前面ではなく
光路中に置かれているため直接見ることはできません。

鏡筒の付け根にあるティルトダイヤルでエタロンフィルターの
傾斜調整ができるので、この付近にあるものと思われます。

3.ブロッキングフィルター

ブロッキングフィルタ(BF5相当)は接眼部にあります。

それぞれどんな働きをするのでしょうか?

KYOEIのホームページに詳しい説明がありましたのでメモさせてもらいましょう。
● コロナドフィルターの構造
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コロナドαフィルターのメインフィルターはエアースペース・エタロンタイプです。このタイプはフィルター基盤に無膨張素材を使うことができるため、温度的にきわめて安定しています。その反面、入射光束の角度制限が厳しく、収束光束中に挿入するのは現実的ではありません。そのため、ASP-60、AS1-90は対物レンズの前方に設置し太陽の視直径による±0.25°の偏角で入射させ、Helios 1では発散系を挿入することで主光線をコリメートしてメインフィルターに入射させています。メインフィルターの後方に挿入するブロッキングフィルターとのコンビネーションで、メインフィルターの副透過波長を完全にカットし、Hαラインのみ透過できるようになります。メインフィルターは完全にリジットな状態で固定されているため、視野全面が均一なHαラインになるメリットがあります。

● エタロンとは?
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構造的には、2面の高反射フィルターを向きあわせに配したものです。これを一般的に「エタロン」と呼び、その原理はファブリ・ペロー干渉計です。
エタロンの中を白色光の平行光線が通過しようとしてもそのほとんどがコーティング面により反射されますが、2つのコーティング面の間隔を任意の入射光波長の1/2の整数倍にすれば、特定波長域の光線はエタロンを完全に透過します。コロナドフィルターはHα線のみを効果的に透過するよう設計されています。エタロンの透過波長幅が可能な限り狭く、付属の「ブロッキングフィルター」によって副次的透過波長を完全にカットすれば、Hα線だけを透過するエタロンシステムが実現します。
エタロンは、実現できうる精度の限界が要求される光学構造です。必要な波長だけを透過し、高い透過率を実現するためには、フィルターの平行精度(平面精度)を1/100波長(λ/100)より高めなければなりません。物理的にはパーフェクトな平面に比較した誤差を0.0000002インチ未満に抑えることが必要なのです。

上は、超狭域Hαフィルターの透過帯域を表したグラフです。グラフでは副透過波長域を伴うエタロンからHα線のピークだけを取り出すブロッキングフィルターの役割がよく判ると思います。
エネルギー遮断フィルター(E.R.F)は、エタロンに入射する波長域を制限し、望遠鏡内部が必要以上に高温になるのを防ぐ効果を第一に、ブロッキングフィルターの短・長波長域のリークをカットする働きも併せて持っています。3000nmに至る領域までの赤外カットの役割もあり、これは特に安全面からの配慮です。

さらに詳しい元記事はこちら→kyoei

さて、このエタロンフィルターは宇宙空間でも耐えられるほどの
高い耐久性を持っているそうですが、ERFとブロッキングフィルター
の耐久性は著しく悪いようです。

実際、P.S.T.のユーザーから
「最初はよく見えるけど、2~3年で見えなくなるよ。」
という話を聞いたことがあります。

ERFは紫外線やけをおこすと、コーティングがまだらに
なってしまうようです。

上記のグラフにあるようにERFは700nm~3μmまでの赤外域
と630nm~遠紫外域までの波長を完全にカットします。
ERFの効果がなくなることは非常に危険です。

そこで、紫外線やけを防ぐために…

対物側にケンコーL41/UVカットフィルターを装着しました。

ブロッキングフィルターは湿度変化と温度変化に弱いそうなので

付属の接眼部キャップをきっちりはめ込んで、

外気になるべく触れない状態にして、ドライボックス保管です。

これで保管はバッチリです。あとはなるべく使わないようにすれば完璧ですね。(笑)

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