19日午後、私は本会議で請願の賛成討論を行いました。
浦安市立T小学校特殊学級担任による児童への強制わいせつ事件民事裁判一審の判決への「控訴取り下げ」請願賛成討論を行います
午前中の議案第一号でも明らかにしたように、今回の市側の控訴はどう考えても正当な合理的理由を見出すことが出来ないものであることはご理解いただけたと思います。
これは、判決など読んでいない市民にもわかることだったのでしょう。ですから、大変短期間で、5千筆を超える署名が全国から集まりました。締切日を2月末にしましたが、未だに署名が寄せられている現状です。
また、先ほどの森田ゆりさんはご自分がかかわっていますCAPの全国の仲間に「この署名に協力しなくて、CAPの意味がないのでは」と檄を飛ばして下さっています。講演にいく先々でも、この事件のことを話して下さっており、先週土曜日には、市川市の男女共同参画センターでも訴えをして下さっていました。
また私が傍聴した2月18日の県文教常任委員会での審査でも、自民党議員は「個人的には、控訴しない方が良かったと思う。この元教師は無罪であれば、退職せず堂々と教師を続けられたはずだ。高裁で二審判決が出ても、上告は止めて欲しい」と発言され、また、民主党議員は「この問題の先生は児童ポルノを所持していたのは事実か」と質疑しています。この質疑に対して当局は「はい、コンピューターの中に残っていました」との答弁を行っています。すると同議員は「児童ポルノを持っていた元教員のやっていなと言う発言は信頼できるのですか?」と厳しく迫る場面もあり、傍聴に行った私も驚く内容で県の控訴を非難することに発言が集中していました。
千葉県が控訴した理由の一つに、浦安市が控訴したからというものがあります。浦安市が控訴を取り下げれば、県の控訴理由がなくなる、つまり県も控訴取り下げる可能性があります。その意味では、浦安市が控訴したことは大変重いのです。
浦安市は刑事事件で無罪だったということを控訴理由の一つにしています。しかし、刑事裁判では、その判決の中で、何度も「被告人の言うことは疑問をさしはさむ余地がないように思われる」と述べています。無罪と無実とは違うことを考えて頂きたいのです。
無実でなかったからこそ、今回の民事判決があったのではないでしょうか。
市が控訴のよりどころにしている「無罪」であったという点ですが、これは、強制わいせつ罪が無罪であったと言っているに過ぎません。今回民事判決で認められているのは、この強制わいせつ事件ではなく、暴行の事実です。刑事事件の無罪とは異なる事実での認定です。そしてこれは、先ほどもお示したように、証人がいたり、被告本人が法廷で認めていたりして、どれも疑義をさしはさむ余地はないものです。
3月5日、教育長は(教育民生常任委員会の席で)、
「子どもたち、そして保護者の心情的な事実に耳を傾ける、傾聴する、そしてそれを受容的に受け止めていくということは、私たちは基本的にだれも大事にしていることです。同時に、客観的事実をきちっと分析する、客観的事実を明らかにしていくということも、これも欠かせないものであり、何としてもしなければならないことです。そう言う意味では、刑事裁判では無罪になっております。
今回、民事裁判で市が訴えられたものですが、その中で、事実誤認がある、あるいは評価の仕方に疑問があるんですよ。それを審理を求める態度と、教育の目標としている立場にあるものが金額が少ないから、認められた内容が少ないからこれでいいんだよと、疑問があるけれども、これは違うと思うんだけれども、それを言うべきじゃないよというようなことを私どもがするということは、私は逆に子どもたちや、毎日子どもたちと一緒に指導している教職員の皆さんに申し訳が立たないという思いがいたします。」と答弁されています。
今回の請願は、決して「心情的な部分に目を向けて欲しい」と言っているのではありません。客観的事実に基づいた千葉地裁判例に従ってほしいと言っているのです。
「金額が少ないから、手を打ってほしい」とお願いしているのでもありません。
性被害者の置かれた状況を教育者であるならば、きちんと客観的に見て欲しいと言っているのです。
全国から短期間に5000を超えるほど集まる声、これに耳を傾けることは、子供たちや子供たちを指導している職員さんに決して申し訳がたたないなんてことはありません。
寧ろ、控訴したこと、そして、いまだに取り下げをしないことの方が模範を示すべき教育者として申し訳が立たないのではないでしょうか。
最後に、私は原告少女を良く知る市の職員さんが以前私に漏らした言葉をお伝えします。
「Mちゃんは嘘をいう子ではありません」、この言葉の意味を噛みしめて頂きたいと思います。
市が行った控訴に反対した市議も、この請願に賛成した市議も少数(広瀬、元木、井原、美勢、折本・敬称略)で、市の控訴を議会は「良し」としました。残念な結果です。